2726 パルグループホールディングスの業績について考察してみた

2726 パルグループホールディングスの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2023.Q1 2022.05 39,183 4,423 11.29%
FY2023.Q2 2022.08 39,010 3,159 8.1%
FY2023.Q3 2022.11 42,479 4,805 11.31%
FY2023.Q4 2023.02 43,810 3,435 7.84%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q4 2017.02 29,647 1,118 3.77%
FY2018.Q1 2017.05 30,359 2,589 8.53%
FY2018.Q2 2017.08 29,869 1,065 3.57%
FY2018.Q3 2017.11 31,231 2,570 8.23%
FY2018.Q4 2018.02 31,782 818 2.57%
FY2019.Q1 2018.05 32,167 2,699 8.39%
FY2019.Q2 2018.08 32,395 1,198 3.7%
FY2019.Q3 2018.11 32,985 2,915 8.84%
FY2019.Q4 2019.02 32,927 1,121 3.4%
FY2020.Q1 2019.05 34,138 3,665 10.74%
FY2020.Q2 2019.08 32,820 1,859 5.66%
FY2020.Q3 2019.11 32,714 2,486 7.6%
FY2020.Q4 2020.02 32,491 1,057 3.25%
FY2021.Q1 2020.05 15,834 -3,088 -19.5%
FY2021.Q2 2020.08 29,331 1,327 4.52%
FY2021.Q3 2020.11 31,894 3,211 10.07%
FY2021.Q4 2021.02 31,463 -67 -0.21%
FY2022.Q1 2021.05 31,210 1,793 5.74%
FY2022.Q2 2021.08 31,985 1,045 3.27%
FY2022.Q3 2021.11 35,317 2,795 7.91%
FY2022.Q4 2022.02 35,688 1,887 5.29%
FY2023.Q1 2022.05 39,183 4,423 11.29%
FY2023.Q2 2022.08 39,010 3,159 8.1%
FY2023.Q3 2022.11 42,479 4,805 11.31%
FY2023.Q4 2023.02 43,810 3,435 7.84%

沿革

株式会社スコッチ洋服店のカジュアル部門から分離し、1973年に大阪府にて株式会社パルを設立。ジーンズショップ「パル青山」の運営を皮切りに、衣料事業への参入を開始する。その後、インポートセレクトショップ、300円ショップの「3COINS」など雑貨事業においても多店舗を展開。2016年9月の会社分割方式に伴い、商号を株式会社パルグループホールディングスに変更する。株式は2001年12月JASDAQへ上場。2004年2月東証二部に、2006年8月東証一部に変更50以上のブランドを持ちSPA(製造小売業)率が8割を超えるアパレル事業者である

株主構成

有価証券報告書によると2021年8月末時点の筆頭株主は株式会社スコッチ洋服店で保有割合35.74%。日本カストディ銀行の信託口が9.55%、同社代表取締役の井上隆太氏が8.31%、日本マスタートラスト信託銀行の信託口が5.97%で続き、以降は保有割合5%未満でメガバンク2行、井上隆太氏の父親で同社代表取締役会長の井上英隆氏、国内信託銀行の信託口、創業者である井上一族が設立した公益法人パル井上財団、ノルウェイ政府が並ぶ。外国人株式保有比率は10%以上20%未満

取締役会

取締役は9名(社内7名、社外2名)、監査役は3名(社内1名、社外2名)、監査役設置会社である。代表権を持たない取締役のうち2名はプロパー、残り3名は株式会社新南海ストア、3401帝人、現4088エア・ウォーターを経て、同社に入社している。

代表取締役の経歴

代表取締役会長の井上英隆氏は1935年9月生まれ。1961年9月株式会社スコッチ洋服店を設立。1973年10月同社を設立し、代表取締役社長に就任。2008年5月英隆氏に社長を譲り、現在の代表取締役会長に就任した
代表取締役の井上隆太氏は1965年6月生まれ。関西学院大学を卒業後、1989年4月3401帝人に入社。1995年5月同社に入社、取締役に就任。2008年5月株式会社パルの代表取締役社長を務める

報告セグメント

衣料事業と雑貨事業の2報告セグメントと報告セグメントに含まれない人材派遣業等のその他に大別され、2022年2月期の売上高134,200百万円の構成比は、衣料事業が64.9%、雑貨事業が35.0%、その他事業が0.1%。営業利益のうち7割弱は雑貨事業で計上され、同セグメントの利益率は8.9%と衣料事業の3.9%に対し高くなっている。

事業モデル

衣料事業では、消費者向けに衣料品の販売を行う。コアターゲットは下図の通りハイファッション~マスファッション層としている。

同社リクルート用HP TOP>パルについて>事業戦略

様々なブランドを展開し、トレンドが変わっても安定して業績をあげることができるとしている。またそもそもトレンドに左右されない「ライフスタイル提案型」のブランドも誕生している。

同社リクルート用HP TOP>パルについて>事業戦略

2000年代頃からSPA化率向上やMDサイクルの短期化に積極的に取り組み、2007年からSPA化率8割を維持、さらなるMD改革により粗利率58%を目指している。また近年はECを強化しており、ZOZO TOWNと直営PALCLOSETの2つのチャネルを中心に衣料売上高に占めるEC化率向上に努めてきた。コロナ禍の追い風により、2022年2月期第2四半期時点でEC化率は38.0%と、前年同期比の23.9%から大きく上昇。(MD=マーチャンダイジング、商品を消費者に届けるための施策)
雑貨事業は、300~1,000円の価格帯に設定した『3COINS』を中心に、8ブランドを保有する。
尚、その他事業には、労働者派遣、職業紹介、店舗開発情報収集、不動産管理、ホテル経営などが含まれる。
2022年2月期末の店舗数は、衣料部門で約600店舗、雑貨部門で約300店舗の合計902店舗を展開しており、ショッピングモールなどでの出店を主としている。衣料部門は退店により減少する一方、巣籠需要のニーズにより引き合いが強い雑貨部門の店舗数は増加傾向にある。
衣料・アパレル業界は、緊急事態宣言およびまん延防止等重点措置解除後、店舗への来客数も増加し回復傾向がみられるが、新たな変異株の出現などにより、先行きは未だ不透明な状況が続いている。

競合他社

衣料事業ではファッションカジュアル専門店を展開する2685アダストリア(2021年2月期売上高183,870百万円)、衣料・小物のセレクトショップを展開する7606ユナイテッドアローズ(2020年3月期売上高121,712百万円)などが挙げられる。そのほかにもSPA比率の高いアパレル企業は複数存在する。雑貨事業では2782セリア(2021年3月期売上高200,682百万円) が挙げられる。同社は100円ショップ等の均一価格でのショップの広がりを意識して価格帯を300円及び1,000円とし差別化している。

連結の範囲

同社グループは、パルグループホールディングス社を持ち株会社として、連結対象の子会社は9社、持分法適用子会社は3社で構成される。連結子会社は、国内8社、海外は中国とシンガポールに各1社。持分法適用子会社は、国内1社、海外2社である。このうち主要な子会社は、衣料事業を営む株式会社パルと株式会社ナイスクラップで、連結売上高に占める売上割合はそれぞれ約86%、12%である。

強み・弱み

「パルマップ」という、自社独自の指標を使いファッション業界のトレンドに対応していることが同社の強み。トレンドを8つで認識し、それぞれのトレンドを補完可能な様々なジャンルのブランドを取り扱う。さらに、AIを用いてEC販売と実店舗の連携を図り、適切な在庫管理を実現している点も強みである。また、雑貨事業でオリジナル商品を中心とした「3COINS」が同社の売上高増加に寄与していることも強みの一つである。ファッション業界では値段の2極化が進み、ファストファッションにもハイブランドにも属さない中価格帯のブランドの運営の難しさが増している。特定の顧客層から圧倒的な指示を得るブランドがないことは弱みである。

KPI

同社の進めるEC化、値下げ販売の傾向を把握できる衣料事業の客単価の動向、出退店数、PALアプリ会員数などはKPIとなり得る。
①EC化率:2022年2月期 37.8%(前年同期比6.4pt上昇)
②客単価の動向(衣料事業):2022年2月期 前年度比108.3%
③出退店数:同時点で「3COINS+」中心に47店舗出店、退店も77店舗で2022年2月期末比30店舗純減の902店舗
④パルアプリ会員数:2023年度に1,000万人計画、下図参照

2022年2月期決算説明会資料

業績

2016年2月期から2020年2月期までは、売上高、営業利益ともに、微増ながら増加基調、営業利益率は5.0%から6.8%に上昇した。2021年2月期は、売上高・営業利益ともに新型コロナウイルスの影響を受け大幅な減収・減益となったが、2022年2月期はECや生活雑貨の販売強化により増収増益となり、過去最高業績を更新しているフリーCFはプラスで推移。21年2月期には棚卸資産の増加により、営業CFのプラス幅が大きく縮小したが、22年2月期に回復している。2022年2月期の自己資本比率は50.5%

関連ありそうな記事