2726 パルホールディングスの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

株式会社スコッチ洋服店のカジュアル部門から分離し、1973年に大阪府にて株式会社パルを設立。ジーンズショップ「パル青山」の運営を皮切りに、衣料事業への参入を開始する。その後、インポートセレクトショップ、300円ショップの「3COINS」など雑貨事業においても多店舗を展開。2016年9月の会社分割方式に伴い、商号を株式会社パルグループホールディングスに変更する。2001年12月JASDAQへ上場。2004年2月東証二部に、2006年8月東証一部に変更。50以上のブランドを持ちSPA(製造小売業)率が8割を超えるアパレル事業者である。

株主構成

有価証券報告書によると2020年8月末日時点の筆頭株主は株式会社スコッチ洋服店で35.7%を保有し、次いで代表取締役社長の井上隆太氏が8.3%、同氏の父親井上英隆氏が2.3%、創業者である井上一族が設立した公益法人パル井上財団が1.3%と、創業一族で併せて47.7%を保有する。なお、同社は自己保有株式を5.0%保有する。
上位株主は信託銀行の信託口の保有も併せて13%確認されており、機関投資家が多い

取締役会

取締役は10名(社内8名、社外2名)、監査役は4名(社内2名、社外2名)の監査役設置会社である。取締役兼執行役員副社長の松尾勇氏は株式会社新南海ストア、取締役兼執行役員副社長兼内部監査の有光靖治氏は株式会社帝人、取締役の渡辺隆代市は株式会社大同酸素(現エア・ウォーター株式会社)を経て、同社に入社している。

代表取締役の経歴

代表取締役の井上隆太氏は1965年6月生まれ。関西学院大学商学部を卒業後、1989年4月帝人株式会社に入社。1995年5月に、現会長で父親の井上英隆氏が代表を務めていた株式会社スコッチ洋服店のカジュアル部門を分離して設立された株式会社パルに入社
2008年5月株式会社パルの代表取締役社長に就任。現在は、株式会社パルホールディングスの代表取締役社長であるとともに、グループ傘下の株式会社ナイスクラップの代表も兼任。

報告セグメント

「衣料事業」、「雑貨事業」、「その他事業」の3報告セグメントに大別され、
2021年2月期第3四半期決算の売上高77,059百万円の構成比は、衣料事業が70.6%、雑貨事業が29.3%、その他事業が0.07%。

2021年2月期 第2四半期決算説明会資料

事業モデル

衣料事業は、グループ全体で44ブランドを保有し、主要ブランドは性別・世代を問わないmixスタイルを提案する『Kastane』、メンズ『Lui’s』など。2000年代頃からSPA化率向上やMDサイクルの短期化に積極的に取り組み、2007年からSPA化率8割を維持し、さらなるMD改革により粗利率58%を目指している。また近年はECを強化しており、ZOZO TOWNと直営PALCLOSETの2つのチャネルを中心に衣料売上高に占めるEC化率向上に努めてきた。コロナ禍の追い風により、2021年2月期第二四半期時点でEC化率は23.9%と、前年同期比の17.9%から大きく上昇。
雑貨事業は、300~1,000円の価格帯に設定した『3COINS』を中心に、8ブランドを保有する。
尚、その他事業には、労働者派遣、職業紹介、店舗開発情報収集、不動産管理、ホテル経営などが含まれる。
2020年2月期の店舗数は、衣料部門で641店舗、雑貨部門で285店舗の合計926店舗を展開しており、ショッピングモールなどでの出店を主としている。
衣料・アパレル業界は、新型コロナウイルスにおける外出機会の減少、インバウンドによる海外観光客の来店減といった背景から需要が減少し、今後も回復の見込みが立たずにいる。その中で、「おうち時間」の増加からルームウェアや雑貨等のアイテムの販売は各社好調で、販売チャネルはECへのシフトが進んでいる。

競合他社

衣料事業ではファッションカジュアル専門店を展開する2685アダストリア(2020年2月期売上高222,376百万円)、衣料・小物のセレクトショップを展開する7606ユナイテッドアローズ(2020年3月期売上高157,412百万円)などが挙げられる。そのほかにもSPA比率の高いアパレル企業は複数存在する。
雑貨事業では2782セリア(2020年3月期売上高181,476百万円) が挙げられる。同社は100円ショップ等の均一価格でのショップの広がりを意識して価格帯を300円及び1,000円とし差別化している。

連結の範囲

同社グループは、パルグループホールディングス社を持ち株会社として、連結対象の子会社は11社、持分法適用子会社は2社で構成される。
。連結子会社は、国内8社、海外で3社。持分法適用子会社は、国内1社、海外1社である。このうち主要な子会社は、衣料事業を営む株式会社パル(グループ単体)であり、連結売上高に占める売上割合は約82%である。

強み・弱み

「パルマップ」という、自社独自の指標を使いファッション業界のトレンドに対応していることが同社の強み。トレンドを8つで認識し、それぞれのトレンドを補完可能な様々なジャンルのブランドを取り扱う。
さらに、AIを用いてEC販売と実店舗の連携を図り、適切な在庫管理を実現している点も強みである。
また、雑貨事業でオリジナル商品を中心とした「3COINS」が同社の売上高増加に寄与していることも強みの一つである。ファッション業界では値段の2極化が進み、ファストファッションかハイブランドかに属さない中価格帯のブランドの運営の難しさが増している。特定の顧客層から圧倒的な指示を得るブランドがないことは弱みである。

KPI

同社の進めるEC化、値下げ販売の傾向を把握できる衣料事業の客単価の動向、直営ECサイトでの取扱ブランドの数などはKPIとなり得る。
EC化率  2021年2月期第2四半期時点23.9%(前年同期比6.0pt上昇)
客単価の動向 衣料事業 同時点 前年度比92.2%
直営ECサイト 取扱ブランド数 同時点 3ブランド増加

業績

2016年2月期から2020年2月期までは、売上高、経常利益ともに、微増ながら増加基調であった。しかし新型コロナウイルスの影響により、2021年2月期の会社計画は売上高104,780百万円(前年比▲20.7%)、営業損失610百万円(赤字転落)、経常損失940百万円(赤字転落)と、減収・減益が見込まれる。2020年2月期の自己資本比率は49.1%であった。営業CFはおおむねプラスで推移し、投資CFは営業CFの範囲内のマイナスで推移している。