1757 中小企業ホールディングスの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1965年2月、賃貸住宅販売業を目的として、大阪府に「髙杉建設株式会社」を設立。1996年10月、商号を「キーイングホーム株式会社」に変更。1997年11月、大証二部へ上場(のちに東証第2部へ指定替え)。2004年10月、商号を「株式会社千年の杜」に変更。2005年8月、純粋持株会社に移行。2008年4月、商号を「東邦グローバルアソシエイツ株式会社」に変更するとともに事業持株会社に移行。2009年10月、商号を「クレアホールディングス株式会社」に変更。2021年4月、商号を「中小企業ホールディングス株式会社」に変更。都市開発、住宅建設、販売、リフォームや、不動産、広告、コスメティック、オートモービル関連事業を傘下の子会社で営む。赤字が恒常化しており、継続企業の前提に関する重要事象等に該当

株主構成

2020年9月末時点の保有比率に大量保有報告書を加味すると、大株主は個人株主の松林氏8.8%、個人株主の西山氏8.2%、オリオン1号投資事業有限責任組合8.0%、株式会社MTキャピタルマネジメント4.5%、株式会社SEED4.2%となっているとみられる。外国人株主保有比率は10%未満。なお、オリオン1号投資事業有限責任組合は、任務懈怠責任で2020年11月に予定された臨時株主総会中止による損害1億円について下記の旧経営陣4名に対して損害賠償請求している。同臨時総会において予定された株式会社オンサイトスクリーンの株式交換による子会社化が遅れたことによる機会損失が主訴のもよう。

取締役会

取締役は4名(社内4名)、監査役は3名(社内1名、社外2名)、監査役会設置会社である。2021年4月21日の臨時株主総会において取締役の刷新が可決された。旧経営陣であった黒田高史氏、松井浩氏、岩崎智彦氏、海東時男氏(社外)の4名が解任となり、新たに4名が選任され、社外取締役は6月開催予定の定時株主総会における選任に向けた準備中。監査役は変更がなければの杉浦氏、社外監査役の川端氏及び笹本氏のままでいずれも税理士資格を保有する。

代表取締役の経歴

代表取締役社長岡本武之氏は1969年5月生まれ。明治大学法学部を卒業後、日興証券株式会社に入社。その後2000年2月にイー・トレード証券(現SBI証券)株式会社へ転職、2004年6月、キャピタル・パートナーズ証券株式会社へ転職。2007年8月、自動車買取事業の準備(現セノーテキャピタル)設立を行った。2021年4月に同社の代表取締役社長に就任する。なお、2009年6月より代表取締役社長であった黒田高史氏は株主提案による選解任議案が可決され、2021年4月21日の株主総会において任を解かれた

報告セグメント

「建設事業」、「不動産事業」、「オートモービル関連事業」、「コスメティック事業」、「飲食事業」、「エンターテインメント事業」、「広告事業」の7報告セグメントに大別され、2020年12月期第3四半期の売上高1,198百万円の構成比は建設事業17.2%、不動産事業11.1%、オートモービル関連事業10.3%、コスメティック事業1.2%、飲食事業19.2%、エンターテインメント事業38.9%、広告事業2.1%である。このほかに売り上げが立っていない投資事業も抱える。

事業モデル

いずれのセグメントにおいても一般消費者及び法人顧客に対してサービスを提供している。建設事業は、注文住宅の受注・監理・施工・リフォーム・メンテナンス工事、給排水管設備の衛生診断・設備工事・更生工事、エネルギー関連事業(太陽光事業)、土木、内外装工事を行う。不動産事業は、不動産の売買・斡旋・仲介及び管理、投資用不動産の売買、不動産の維持・管理・賃貸借業務代行、不動産運用の企画・立案、不動産賃貸業務を対象とする投資を行う。オートモービル関連事業では、自動車用、バイク用オイルの製造、開発、販売、自動車用アフターパーツ卸販売を行っている。コスメティック事業は、コスメティック商品及び美容機器の販売・保守、美容関連広告を行う。2020年3月期まで株式会社ミュゼプラチナムに対し、美容機器の保守サービスを提供していたが、ミュゼプラチナムの親会社の異動に伴い解約となっている。飲食事業では、飲食店の経営、食材の製造・販売を行っている。エンターテインメント事業は2019年に100%子会社化したトラロックエンターテイメント株式会社で織田信成や内藤大助など元アスリートタレントを中心にエージェント・マネジメント業務、イベントの企画・運営を行う。広告事業では、インターネット広告媒体と広告代理店・広告主を仲介して、広告枠の仕入れ・販売を行うメディアレップ業務を行っている。
建設業界では、オリンピックに伴う都市開発に関連した建設工事やファシリティマネジメントが活発化していることに加え、各地の自然災害の復旧復興、防災、減災対策関連の需要もあり、建設業界の人手不足、労務費、資材購入費の高騰等が課題となり、受注機会の喪失や工期遅延等の問題が発生しやすい経営環境にある。

競合他社

本体事業である建設及び不動産事業について、1728ミサワ中国株式会社、1711株式会社省電舎ホールディングス、
2721株式会社ジェイホールディングスが挙げられる。

連結の範囲

同社の連結子会社としてクレアホーム株式会社(建設)、クレアスタイル株式会社(建設、広告)、株式会社サニーダ(建設)、MILLENNIUM INVESTMENT株式会社(投資)、クレア株式会社(建設、不動産、投資、コスメティック)、CVL株式会社(不動産、投資)、株式会社JPマテリアル(オートモービル関連)、クレア建設株式会社(建設)、トラロックエンターテインメント株式会社(エンターテインメント)、株式会社クリエーション(エンターテインメント)、不動産リーシングプロジェクト匿名組合(不動産)の11社が挙げられる。

強み・弱み

持分会社として多角的な分野の経営を行っているため、リスク分散が可能であること、労働組合結成されていないものの、労使関係は円満に推移していることが強み。主事業の建設事業において他社と差別化できるだけの優位性もしくは規模を維持できていないことが課題。また、販売先が限られた先に集中していたコスメティック事業や、タレントの人気に依存するエンターテイメント事業などにみられるように、経営の安定面で脆弱性が高く、連結子会社において債務超過しているものが多数を占め、グループ全体で継続して純損失および営業キャッシュフローのマイナスが続いていることから脆弱な財務体質であることが弱みとなる。

KPI

恒常的な赤字体質であり、トップラインの改善が急務のためKPIとして各事業の売上高の推移を挙げる。
・建設事業リフォーム、メンテナンス工事の売上高38百万円(前連結会計年度比9.0%増)
・建設事業給排水管設備工事の売上高90百万円(前連結会計年度比7.0%減、設備工事の完成工事高は前年度比39.3%増、構成工事の完成工事高は前年度比94.4%減)
・建設工事事業の売上高15百万円(前連結会計年度比49.8%減、新築工事の売上なし、土木・内装関連工事のみの売上)
・不動産事業の売上高338百万円(前連結会計年度1591.3%増、※株式会社S・U・Eへの匿名出資を行った結果、連結対象となり業績の影響を受けている)
・オートモービル関連事業の売上高75百万円(前連結会計年度比1.8%増)
・コスメティック事業の売上高573百万円(前連結会計年度比56.8%減)
・飲食事業の売上高704百万円(前連結会計年度比1.0%増)
・エンターテインメント事業の売上高429百万円
・広告事業の売上高5百万円
※2020年3月末有価証券報告書に基づく。記載のないものは当期新たに追加されたセグメントである。

業績

2016年3月期から2020年3月期までの業績は、10億円を下回る水準の売上高推移であったが、コスメティック事業を展開するアルトルイズムやエンターテイメント事業を展開するトラロックエンターテイメントなどの子会社化により2018年より10億円、20億円と水準が切りあがった。2020年3月期は前期比ほぼ横ばい。売上の水準は切りあがったものの、恒常的な赤字体質は脱却できていない。営業CFもマイナスがほとんど恒常化しており、財務CFは社債発行等を活用しプラス推移が続く。投資CFは連結範囲の変更も頻繁で、マイナスになりがちである。自己資本比率は8~9割と高い水準を維持していたが、積極的な事業多角化路線で買収展開を始めた2018年3月期以降低下し2021年3月期第3四半期時点の自己資本比率は35.2%であった。