3970 イノベーションの業績について考察してみた

3970 イノベーションの業績について考察してみた

PERAGARU管理人

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2024.Q3 2023.12 1,265 80 6.32%
FY2024.Q4 2024.03 1,438 88 6.12%
FY2025.Q1 2024.06 1,215 31 2.55%
FY2025.Q2 2024.09 1,376 154 11.19%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q4 2017.03 350 57 16.29%
FY2018.Q1 2017.06 329 1 0.3%
FY2018.Q2 2017.09 326 -11 -3.37%
FY2018.Q3 2017.12 350 37 10.57%
FY2018.Q4 2018.03 340 2 0.59%
FY2019.Q1 2018.06 348 -37 -10.63%
FY2019.Q2 2018.09 335 -24 -7.16%
FY2019.Q3 2018.12 364 -13 -3.57%
FY2019.Q4 2019.03 440 90 20.45%
FY2020.Q1 2019.06 466 34 7.3%
FY2020.Q2 2019.09 466 16 3.43%
FY2020.Q3 2019.12 514 35 6.81%
FY2020.Q4 2020.03 576 89 15.45%
FY2021.Q1 2020.06 678 94 13.86%
FY2021.Q2 2020.09 683 90 13.18%
FY2021.Q3 2020.12 723 123 17.01%
FY2021.Q4 2021.03 999 210 21.02%
FY2022.Q1 2021.06 884 106 11.99%
FY2022.Q2 2021.09 1,077 194 18.01%
FY2022.Q3 2021.12 1,171 185 15.8%
FY2022.Q4 2022.03 1,248 292 23.4%
FY2023.Q1 2022.06 1,112 151 13.58%
FY2023.Q2 2022.09 1,295 125 9.65%
FY2023.Q3 2022.12 989 117 11.83%
FY2023.Q4 2023.03 1,174 -50 -4.26%
FY2024.Q1 2023.06 1,010 88 8.71%
FY2024.Q2 2023.09 1,100 143 13%
FY2024.Q3 2023.12 1,265 80 6.32%
FY2024.Q4 2024.03 1,438 88 6.12%
FY2025.Q1 2024.06 1,215 31 2.55%
FY2025.Q2 2024.09 1,376 154 11.19%

沿革

2000年12年に法人営業の効率化に向けた事業運営を目的として株式会社イノベーションを設立。2007年7月に法人向けのIT製品比較・資料請求サイト「ITトレンド」を開設。2016年12月に東証マザーズに上場。本社は東京都品川区。IT製品の比較・資料請求サイトの運営が柱

株主構成

四半期報告書によると、2021年9月30日時点の筆頭株主は代表取締役社長CEO兼COOの富田直人氏で35.0% 、次いで富田直人氏の資産管理会社とみられる株式会社NTIが8.3%、株式会社日経ビーピーが5.8%、その他は保有割合5%未満でBNY GCM CLIENT ACCOUNT JPRD AC ISG (FE-AC)、個人投資家の佐々木幸弘氏、株式会社日本カストディ銀行の信託口、株式会社SBI証券、連結子会社のInnovation & Co.の代表取締役社長を務める遠藤俊一氏と続く。その他には国内外の金融機関が並ぶ。2021年6月25日付のコーポレート・ガバナンスに関する報告書によると、外国人株式保有比率は10%未満

取締役会

取締役は5名(社内2名、社外3名)、うち監査等委員3名 (全員社外)、監査等委員会設置会社である。取締役CFOの山崎浩史氏は、3405クラレ3548バロックジャパン・リミテッドの専務取締役を経て2018年6月に同社に入社し、現職に就任した。連結子会社3社と非連結子会社1社の監査役を兼任する。

代表取締役の経歴

代表取締役社長CEO兼COOの富田直人氏は1965年2月生まれ。横浜国立大学工学部を卒業後、1987年4月に6098リクルートに入社。2000年12月に同社を設立後、現職に就任。連結子会社1社の代表取締役と、連結子会社1社と非連結子会社1社の取締役を兼任する。

報告セグメント

「オンラインメディア事業」、「ITソリューション事業」、「金融プラットフォーム事業」の3セグメントに大別される。報告セグメントに含まれない調整額として、非連結子会社からの経営指導料が計上される。2022年3月期第2四半期の売上高1,961百万円は、オンラインメディア事業が1,374百万円で70.1%、ITソリューション事業が237百万円で12.1%、金融プラットフォーム事業が347百万円で17.7%、調整額が0.1%を占める。
セグメント利益率は、オンラインメディア事業が30%台中盤、ITソリューション事業が10%台から20%台を推移する。金融プラットフォーム事業は2022年3月期より新しく区分された報告セグメントであり、2022年3月期第2四半期のセグメント利益率は23.9%を占める。

事業モデル

主力のオンラインメディア事業では、勤怠管理システムや会計システム等の法人向けのIT製品比較・資料請求サイト「ITトレンド」の運営や、株式会社日経ビーピーのオンラインサービスの営業代行を行う。ITトレンドでは、法人向けのIT製品やアウトソーシングサービスを掲載しており、ユーザーは複数製品の比較検討や一括資料請求が可能。掲載企業から得る初回掲載時の初期費用と、資料請求件数に応じた成果報酬課金の2つが同社の収益源となる。2021年3月期末では730社の1890製品の掲載情報があり、サイトへの来訪者数(延べ人数)は前期比+21.7%の1571万人に達する。また、オンラインでのIT製品の展示会「ITトレンドEXPO」を2020年11月と2021年3月に開催。参加企業からのブース枠やセッション枠の料金を収益源とする。また、著名人やビジネスリーダーとのセッションを動画コンテンツ化し、ビジネス動画プラットフォーム「bizplay」に掲載。参加企業に対して動画視聴者数に応じた従量課金と引き換えに、動画視聴者情報を提供する。
国内のインターネット広告市場は2020年で前年比+5.6%に拡大しており、同社のオンラインメディア事業の中心となる運用型広告の年平均成長率は+18.5%と今後も成長が見込まれる分野である。同社では中堅・中小企業でのDX化推進の流れやテレワークの普及がITトレンドのニーズ拡大につながると考える。
ITソリューション事業では、オンラインメディア事業で掲載企業が獲得した見込み顧客の育成からクロージングに至るまでの営業支援を行う「List Finder」や、自社Webサイトへの集客等のコンサルティングサービスを提供する。List Finderでは、導入企業が見込み顧客の自社Webサイトでの閲覧状況や行動履歴を把握することができ、効率的な営業活動をサポートする2022年3月期第2四半期での契約アカウント数は454アカウントであり、List Finderのサービスとコンサルティングサービスの製販一体体制を基盤に契約アカウント増加を目指す。収入源はList Finderのシステム利用料とコンサルティングサービス利用料の2つである。
オンラインメディア事業とITソリューション事業では、連結子会社のInnovation & Co.が同社から委託を受けて業務を行う。
金融プラットフォーム事業では、連結子会社のInnovation IFA Consultingにて証券会社から業務委託を受け、顧客へのコンサルティングサービスを提供する。パートナー証券会社にはSBI証券や東海東京証券等が並ぶ。現在は独自にIFA事業を展開するが、今後は成長性のあるIFAビジネスの支援業務にも乗り出す予定である。

競合他社

IT製品のネット総合メディアを運営する2148アイティメディア (2021年3月期売上収益6,891百万円)、 ネット広告事業や法人向け集客支援サービスを展開する3688CARTA HOLDINGS (2020年12月期売上高22,487百万円)、法人向けに営業支援クラウドサービスを提供する3976シャノン (2021年10月期売上高2,196百万円)が競合として挙げられる。

連結の範囲

連結子会社3社と非連結子会社1社を持つ。オンラインメディア事業とITソリューション事業を担う連結子会社のInnovation & Co.は、連結売上高に占める売上高の割合が10%を超える。

強み・弱み

強みとして潜在ニーズの高い見込み客の集客力が挙げられる。ITトレンドのユーザーは中堅・中小企業が中心であり、自らニーズのある製品を検索して資料請求まで行う点から掲載企業は潜在ニーズの高い見込み客の獲得が可能となる。また資料請求件数に応じた成果報酬型課金を採用することで、掲載企業の見込み客獲得の効率化に寄与。ITトレンド来訪ユーザーの増加に向けて、SEO対策や広告施策を強化することで、検索エンジンからのサイト流入率は他社サイトが37.8%のところ同社サイトは71.3%を誇る。(2018年11月時点)
懸念点としては、売上高の7割以上をオンラインメディア事業が占めており、同事業への依存リスクが挙げられる。

KPI

KPIには①ITトレンド来訪者数、②List Finder導入アカウント数、③List Finderの1アカウント当たり期中累計売上高が挙げられる
①   ITトレンド来訪者数(2022年3月期第2四半期):809万ユーザー

2022年3月期第2四半期 決算補足資料

②   List Finder導入アカウント数(同):454アカウント
③   List Finderの1アカウント当たり期中累計売上高(同):404千円

2022年3月期第2四半期 決算補足資料

業績

売上高は2017年3月期から2018年3月期にかけて+7.0%に増加。連結財務諸表を作成した2019年3月期から2020年3月期にかけてはテレワーク需要の取り込みや検索エンジン上での表示順位の上昇が影響し、前期比+35.9%に増加。2021年3月期は新型コロナ流行による検索数の増加を受けてサイト来訪者数が増加した他、ITトレンドEXPOの開催が売上高増加に寄与し、前期比+52.5%の増加となった。経常利益は2017年3月期から2018年3月期にかけて、集客・収益構造の改善費用やList Finderのアップグレートに向けた開発・メンテナンス費用の増加により、▲82.8%の減益。2019年3月期から2020年3月期にかけては集客・収益構造が改善し、前期比+805.1%に回復。2021年3月期は前期比+201.9%の増益となった。フリーCFは2018年3月期と2019年3月期を除いてプラスを推移。自己資本比率は70%台を推移していたが、2021年3月期は80.1%と前期の70.8%から大幅に改善した。

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