2148 アイティメディアの業績について考察してみた

2148 アイティメディアの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1992年12月ソフトバンクグループ初のオンライン出版企業としてソフトバンク・ジーディーネット株式会社の名称で東京都に設立。数回の合併統合や社名変更を経て、2005年3月アイティメディア株式会社に商号変更。2007年4月東証マザーズへ上場、2019年3月東証一部へ変更。IT技術者や企業の情報システム責任者などの読者を抱える『ITmedia』等を主力メディアとして抱え、法人向けに高い広告効果や見込み客獲得が可能なマーケティング媒体を提供する。

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月末時点の大株主は、SBメディアホールディングス株式会社が筆頭株主で52.4%。次いで日本カストディ銀行の信託口2つで10.5%、日本マスタートラスト信託銀行の信託口で3.8%代表取締役社長の大槻利樹氏1.8%となっており、ソフトバンクグループ株式会社やその100%子会社であるソフトバンクグループ各社が議決権の52.8%を保有する親会社である。外国人株式保有比率は10%未満。

取締役会

取締役は4名(社内4名)、監査役は5名(4名社外、1名は常勤)、監査役会設置会社である。COOの小林教至氏を除き、社内取締役の3名は親会社であるソフトバンクグループの各社を経て同社に入社している。

代表取締役の経歴

代表取締役社長兼CEOの大槻利樹氏は1961年6月生まれ。東北大学を卒業後、ソフトバンク株式会社(現ソフトバンクグループ株式会社)に入社。1989年から5年間孫正義社長の戦略秘書、社長室室長を務め、1996年Yahoo! JAPANの立ち上げに参画。1999年にソフトバンクの子会社として、日本初のインターネット専業メディア企業として同社を設立。

報告セグメント

「リードジェン事業」、「メディア広告事業」の2報告セグメントに大別され、2021年3月期第3四半期の売上収益4,854百万円の構成比はリードジェン事業が2,251百万円で46.4%を占め、メディア広告事業が2,603百万円で53.6%である。営業利益1,488百万円(営業利益率30.6%)もおおむね同じ比率で構成される。

2021年3月期第3四半期決算説明資料

事業モデル

ITを中心に専門性の高いニュースや技術解説記事等を届ける総合ポータルサイト『ITmedia』や、一般消費者向けに旬の話題を提供する『ねとらぼ』等のメディアを複数運営し、約4,700万UB/月、約4億PV/月の利用者を有する。それらのメディアを通じたマーケティング機会を広告商品として企業に提供する従来からの事業モデルが「メディア広告事業」である。
一方、「リードジェン事業」では、同社の運営するメディア上で同社の顧客にあたるクラウドやSaaS型のITサービス企業、産業DX領域の顧客となる層を会員として有し、それら企業へ送客する「リードジェネレーション」という新たなマーケティング手法を提供している。基盤システム『LeadGen Business Platform(以下LBP)』として手法を確立しており、Webサイトでのコンテンツ掲載や展示会への出展、セミナー開催を通じて顧客企業の見込み客を獲得するためのメディア運営を行っている。同社顧客のクラウドやSaaS型のITサービス、産業DX領域の導入時に意思決定者となるIT関連技術者を各メディアで会員として抱えていることから成立するビジネスモデルである。

競合他社

知的好奇心旺盛なユーザーをコアターゲットに、住宅・マネー・暮らし・グルメ・旅行・健康などの専門性の高い内容を掲載するメディア『All About』の運営企業2454オールアバウト(売上高15,604百万円、営業利益720百万円、営業利益率4.6%)などが挙げられる。同社の営業利益率は30.6%とオールアバウトに比べて高く、同社の領域特化型のメディアは広告効果やリードジェンの成果が高いとみられる。両社とも最高益を更新しており、メディア運用業界は勢いがあることが伺える。

連結の範囲

親会社は持株会社のソフトバンクグループ株式会社、中間持株会社のソフトバンクグループジャパン株式会社やRBJ株式会社、SBメディアホールディングス株式会社、通信キャリアのソフトバンク株式会社の5社が該当し、いずれも議決権被所有割合52.8%である。
同社グループは、同社および連結子会社の発注ナビ株式会社、有限会社ネットビジョン、持分法適用関連会社のアイティクラウド株式会社の4社で構成されている。

強み・弱み

リードジェン事業では99万人の会員情報をメディア事業では月間4億PVを誇るメディアを有することが強み。会員数は前年同期比+9%、単価やPV数も伸びている。また、コロナ下でバーチャルイベントの需要が増し、想定以上の受注増が続き従業員数は前年同期比+17%の337名と急増しており、今後も編集系や技術系の人員採用規模を維持し増収を継続できるかは懸念点である。なお、コスト増加は売上収益増加以下に抑制されており、利益率は向上している。

KPI

2021年3月期第3四半期時点で、下記KPIは高い成長率を誇る。
リードジェン事業 会員数 99万人(前年同期比+9%)
リードジェン事業 顧客数 1,127社(同+173社)
メディア広告事業 顧客数 630社(同+31社)

業績

売上収益の伸び率は、2019年3月期まで前期比+2%程度であったが、2020年3月期は同+12.2%、2021年3月期会社計画では同+25.0%と、急速な拡大期を迎えている。企業のデジタルシフトが加速し、クラウドやSaaS型のITサービス、産業DX領域の需要の増加や、B2Bマーケティングのデジタルシフト加速が、特にリードジェン事業の急成長を支えている。営業利益の水準も従来の800百万円前後から、2020年3月期には1,172百万円と水準を切り上げている。
営業CFは恒常的にプラス推移、投資CFは組織改編やメディア買収などが数年置きに生じマイナスの期もある。自己資本比率は8割を超えて推移し、現金は総資産の半分を上回り、実質的に無借金である

2020年10-12月期の売上収益は1,751百万円(前年同期比+31.1%)、営業利益619百万円(同+85.3%)、経常利益604百万円(同+49.5%)と増収増益。