4825 ウェザーニューズの業績について考察してみた

4825 ウェザーニューズの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1986年6月株式会社ウェザーニュースとして東京都にて設立され、気象情報サービスの提供を開始。1986年9月株式会社ウェザーニューズへ商号変更世界最大級の民間気象会社2002年12月東証二部に上場、2003年11月東証一部へ変更。創業者の石橋博良氏は同社が1993年に吸収する海洋気象の専門会社オーシャンツール社で1970 年代から、船舶、仕出し弁当屋、放送局、ヘリコプター会社へ気象情報を提供していた。

株主構成

有価証券報告書によると2020年11月末時点の大株主は、一般財団法人WNI気象文化創造センターが15.5%、創業者石橋博良氏の資産関連会社とみられる株式会社ダブリュー・エヌ・アイ・インスティチュートが15.5%と同割合で最多保有。石橋博良氏と石橋忍子氏の両名では4.7%を保有。次いで、日本マスタートラスト信託銀行株式会社の信託口で4.3%、ウェザーニューズ社員サポーター持株会が4.3%、以下銀行などの株主が並ぶ。

取締役会

取締役は5名(社内3名、社外2名)、監査役は4名(社内2名、社外2名)、監査役会設置会社である。常務取締役の石橋知博氏(1975年生まれ)は逝去した創業者石橋博良氏の息子。もう一名の常務はプロパーである。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の草開千仁氏は1965年3月生まれ。青山学院大学理工学部を卒業後、株式会社ウェザーニューズに入社。その後、一貫して同社に勤務するプロパー。1999年8月に代表取締役副社長、2006年9月に代表取締役社長(経営全般、販売統括主責任者)を経て、2016年8月より現職の代表取締役社長(最高経営責任者)に就任

報告セグメント

「気象情報を中心とした総合的なコンテンツ提供サービス事業」の単一セグメントだが、「航海気象」「航空気象」「陸上気象」「環境気象」「モバイル・インターネット気象」「放送気象」「スポーツ気象」の7つの事業分野を展開している。2020年5月期の事業区分別売上高構成は「航海気象」が4,766百万円で約26.5%、「航空気象」が1,029百万円で約5.7%、「陸上気象」が3,539百万円で約19.7%、「環境気象」が874百万円で約4.8%、「その他 BtoB」が54百万円で約0.3%、「モバイル・インターネット気象」が5,098百万円で約28.3%、「放送気象」が2,589百万円で約14.4%となっている。

事業モデル

独自に運用するWNI衛星と呼ばれる小型衛星や、WITHレーダーと呼ばれる小型レーダーで気象情報を収集。また官営観測データや、同社がサポーターと呼ぶ利用企業・個人などから収集する情報を集積し、独自の気象データベースを保有。これらのデータから同社独自の予測モデルと予報センターを通じてコンテンツの基礎データとなる予測値を作成
法人向けでは、この予測値から海運、航空など運送業界を中心とする民間企業や官公庁など各顧客に最適化されたコンテンツを作成し、顧客向けに開発されたコンテンツ利用ツール経由で提供。さらに、気象専門スタッフであるリスクコミュニケーターが対応策アドバイザーとして顧客の意思決定を支援。コンテンツを継続的に提供する同社独自の「トールゲート型」と呼ばれるビジネスモデルによって販売。
個人向けでは、放送局を通じて気象情報を提供する他、高い認知度を誇るインターネットやアプリでのサブスクリプション型天気予報サービス「ウェザーニュース」、や天気専門チャンネル「ウェザーニュースLiVE(ライブ)」を提供。
天気予報サービス市場は、リアルタイムの提供需要が高まっており、航空機のデータを活用するなど技術的な進化も進み、地域により差はあるががグローバルに5~15%程度成長する市場である。

2020年5月期 有価証券報告書

競合他社

株式会社ウェザーマップなど非上場の民間気象会社は存在するが、株式会社ウェザーニューズ以外に気象情報サービスを主事業とする国内上場企業は見当たらない。グローバルにはWeather Company、Accuweather Inc.、Fugro、StormGeo、MeteoGroupが主要な5社である。

連結の範囲

同社グループは、同社及び連結子会社13社、非連結子会社1社から構成される。連結子会社は海外13社、アメリカ、イギリス、フランス、中国、韓国などで販売業務、運営業務を担っている。非連結子会社は、アメリカで船主と荷主のマッチングサービスを行っている1社である。

強み・弱み

民間気象会社として世界最大規模の気象・気候データベースを持つ点が最大の強み。一方で気候変動リスクが同社の懸念点で、世界で発生する極端気象に適切に対応していくことが今後の課題になるとみられる。

KPI

法人向け主力事業の1つである、航海気象におけるRouteing Service隻数と、個人向け主力事業のモバイル・インターネット気象における「ウェザーニュース」の月間利用者数はKPIとなり得る。
2019年5月期:4,500隻(前期比+400隻)、2020年5月期通期:4,600隻(前期比+100隻)
2019年5月期:2,610万人(前期比+854万人)、2020年5月期:3,242万人(前期比+632万人)

業績

過去5期分の経営状況をみると、売上高は堅調に増加し14,511百万円から17,953百万円へ1.2倍となった。一方、営業利益・経常利益は衛星の打ち上げに伴う償却開始や、グローバル展開のためのスタッフ採用やシステム開発費用負担のため、2016年5月期から2019年5月期まで減少していたものの、2020年5月期は増益となった。営業CFは安定してプラス、投資CFの拠出は少なく、財務CFは恒常的にマイナスである