2477 手間いらずの業績について考察してみた

2477 手間いらずの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

会社としての起源は2003年8月に設立された比較.com株式会社であり、2006年3月東証マザーズ上場。2007年6月、宿泊施設向けの予約サイト管理ソフト「手間いらず!」を運営・販売する有限会社プラスアルファをM&Aで子会社化するとともに、同年10月プラスアルファを株式会社化(後に吸収合併)。2008年4月、住友商事株式会社の子会社であったオンライン旅行会社のグローバルトラベルオンライン株式会社をM&A(後に吸収合併)。2017年10月に手間いらず株式会社へ商号変更し、2020年3月東証一部へ市場変更。祖業の商品・サービス比較サイト『比較.com』にかかわる事業は、競合他社である株式会社カカクコム運営の『価格.com』に利用者が偏り不振。現在は『手間いらず』シリーズをはじめとする宿泊予約サイト管理システムの販売が主力事業となっている。

株主構成

有価証券報告書によると、2020年12月末時点での筆頭株主は代表取締役社長の渡邉 哲男氏で62.55%保有。以下は5%未満の保有率で国内外の信託銀行信託口などの金融機関が続く。外国人株式保有比率は10%以上20%未満

取締役会

取締役は4名(社内2名、社外2名)、監査役は3名(全員社外、1名は常勤)、監査役会設置会社である。社内取締役の木内健二氏はセントラル商事、山田清税理士事務所、保険見直し本舗を経て2016年11月同社へ入社。社外取締役は投資ファンド出身者及び弁護士で構成される。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の渡邉哲男氏は1971年10月生まれ。慶應義塾大学を卒業後、1998年4月CSKベンチャーキャピタル株式会社入社。2003年8月に比較.com株式会社(現同社)設立、代表取締役社長に就任し現在に至る。

報告セグメント

「アプリケーションサービス事業」ならびに「インターネットメディア事業」で構成される。前者は、『手間いらず』シリーズを中心とした宿泊予約サイト管理システムを、宿泊施設向けに販売する事業である。後者は、商品やサービスの比較情報を提供するウェプサイト『比較.com』の運営事業であり、広告料を収益源とする。決算短信によると、2021年6月期第3四半期の売上高1,224百万円の構成比は、アプリケーションサービス事業が1,186百万円で96.9%、インターネットメディア事業が37百万円で3.1%であった。また、同期の全社費用調整前のセグメント利益合計965百万円の構成比は、アプリケーションサービス事業が940百万円で97.4%、インターネットメディア事業が24百万円で2.6%であった。このように、売上高、セグメント利益ともにアプリケーションサービス事業が97%程を占め、実質的にはアプリケーションサービス事業の単一セグメントに近い。

事業モデル

主力製品『手間いらず』シリーズは、複数の宿泊予約サイトに掲載している客室在庫やプランの販売価格、宿泊者の予約情報等をまとめて管理するシステムである。近年、多数の宿泊予約サイトがインターネット上で利用され、宿泊施設側も複数の予約サイトに登録する場合が多い。稼働率最大化のためには登録する全サイトのそれぞれに施設の全客室を振り分けることが望ましいが、一方で客室数や収容人数を超える予約が成立する危険もある。24時間体制で各サイトにおける予約状況を監視すればオーバーブッキングを避けられるが、現実的ではないため各サイトにおける在庫数の総計が宿泊施設の在庫数とほぼ一致するよう事前に配分する場合が多い。この方法では在庫が残るサイトが生ずる一方で、別サイトにおける在庫不足も発生し得る。このような売れ残りの最小化と省力化の両立が『手間いらず』の特長であり、中心機能をなす『サイトコントローラー』が予約状況の監視、各サイトへの再配分、価格設定などを自動的に行う。国内外の大手宿泊予約サイト、自社予約システムや高級宿を中心としたサイト、福利厚生系、地域特化等、数多くの宿泊予約サイトと連携。ホールセラーとの連携でBtoB市場にリーチし、メタサーチサイトとの連携で自社HPのトラフィックを増やす事も可能。『Booking.com』の国内唯一の推奨サイトコントローラーとなっている。

『手間いらず』による予約サイト一括管理(公式ウェブサイト内「サービス」>「手間いらずとは」)

月額の基本利用料やオプション利用料等の月額固定収入と予約数に応じた通信料の月額変動収入の2つが主たる収益源となる。
従業員数は35名と少なく、少数精鋭の自社営業部隊で販売活動を展開しているとみられるが、一般管理費に給与手当の半分弱程度の「代理店手数料」が計上されており、販売において代理店を利用している可能性もある。

2021年6月期(第18期)第3四半期決算説明資料

競合他社

アプリケーションサービス事業において競合し得る他社としては、次の2社が挙げられる。(株)シーナッツ 非上場、6098(株)リクルートホールディングスが66%、(株)JTBが34%出資。売上高非開示、年間純利益1,711百万円(2020年3月期)。『TL-リンカーン』が『手間いらず』と同種のシステムのため競合。
(株)クリップス 非上場、4755楽天グループ(株)傘下。売上高非開示、年間純利益93百万円(2019年12月期)。『ねっぱん!サイトコントローラー++』が『手間いらず』と同種のシステムで競合。
また、前述のようにインターネットメディア事業で競合する2371 (株)カカクコムは、年間売上高60,978百万円、うち『価格.com』のそれが23,960百万円(2020年3月期)。なお、同社の年間売上高ならびに年間純利益は、それぞれ1,650百万円ならびに767百万円(2020年6月期)。

連結の範囲

現在、子会社を持たない。

強み・弱み

宿泊予約が予約サイトを通じてなされるのが主流となり、多数の予約サイトが運営されている現在では、それらを一元管理するサイトコントローラーのニーズが高い点は強み。業界ナンバーワンな点も強み。また、後述するように宿泊業界が低迷する状況にあっても、比較的安定した業績を維持する事業モデルも強み。一方で、サイトコントローラーのプログラムがいずれ成熟すれば、他社製品との差別化が困難になると予想される。そのような場合には価格競争に至る可能性があり、減収の原因になり得る点は弱み。

KPI

アプリケーションサービス事業における顧客単価ならびに顧客数が基本的なKPIとみられる。これらは開示されていないが、その成果である販売実績(事業別の売上高)は二次的なKPIとみなせる。

業績

売上高、経常利益ともに順調に増加。2016年6月期から2020年6月期までの5期間で売上高は2倍、経常利益は2.7倍に拡大。なお、新型コロナウイルス感染症の影響が深刻であったと推測される2021年6月期第3四半期は、経常利益876百万円(前年同期比▲1.2%)と減益であった、自己資本比率は95.3%。恒常的に営業CFはプラスで投資CFはマイナスで推移。