7860 エイベックスの業績について考察してみた

7860 エイベックスの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2024.Q2 2023.09 32,382 286 0.88%
FY2024.Q3 2023.12 30,027 -590 -1.96%
FY2024.Q4 2024.03 39,005 56 0.14%
FY2025.Q1 2024.06 25,548 -1,281 -5.01%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q4 2017.03 38,549 1,927 5%
FY2018.Q1 2017.06 32,449 1,161 3.58%
FY2018.Q2 2017.09 35,956 -318 -0.88%
FY2018.Q3 2017.12 52,670 3,808 7.23%
FY2018.Q4 2018.03 42,300 2,288 5.41%
FY2019.Q1 2018.06 32,276 155 0.48%
FY2019.Q2 2018.09 50,736 3,557 7.01%
FY2019.Q3 2018.12 39,609 2,240 5.66%
FY2019.Q4 2019.03 37,505 1,137 3.03%
FY2020.Q1 2019.06 29,028 366 1.26%
FY2020.Q2 2019.09 32,161 -1,054 -3.28%
FY2020.Q3 2019.12 39,123 3,037 7.76%
FY2020.Q4 2020.03 35,157 1,684 4.79%
FY2021.Q1 2020.06 14,108 -1,054 -7.47%
FY2021.Q2 2020.09 20,171 -1,175 -5.83%
FY2021.Q3 2020.12 20,428 -1,381 -6.76%
FY2021.Q4 2021.03 26,820 -2,668 -9.95%
FY2022.Q1 2021.06 19,417 262 1.35%
FY2022.Q2 2021.09 26,887 2,372 8.82%
FY2022.Q3 2021.12 29,728 1,292 4.35%
FY2022.Q4 2022.03 22,405 -1,344 -6%
FY2023.Q1 2022.06 28,473 2,288 8.04%
FY2023.Q2 2022.09 25,587 1,331 5.2%
FY2023.Q3 2022.12 31,465 -275 -0.87%
FY2023.Q4 2023.03 36,036 41 0.11%
FY2024.Q1 2023.06 31,973 1,881 5.88%
FY2024.Q2 2023.09 32,382 286 0.88%
FY2024.Q3 2023.12 30,027 -590 -1.96%
FY2024.Q4 2024.03 39,005 56 0.14%
FY2025.Q1 2024.06 25,548 -1,281 -5.01%

沿革

1988年4月にエイベックス・ディー・ディー株式会社を設立し、輸入レコードの販売を開始。1990年9月に自社レーベルにて、レコードの制作を開始。1998年4月にエイベックス株式会社と合併。1999年12月に東証一部に上場。現在は東証プライム。2004年10月にエイベックス・グループ・ホールディングス株式会社(同社)とエイベックス株式会社に分割し、持株会社体制に移行。2017年11月にエイベックス株式会社商号変更。本社は東京都港区。所属アーティストによる、音楽配信やライヴ事業が主力。2021年8月Vtuberなどのライブ配信者をマネジメントする子会社バーチャル・エイベックス株式会社を設立。

株主構成

2022年3月期有価証券報告書によると2022年3月末時点の筆頭株主は、株式会社サイバーエージェントで12.21%。2021年にサイバーエージェントを処分先とした第三者割当による自己株式の処分を実施し、筆頭株主に躍り出た。ついで、日本マスタートラスト信託銀行株式会社の信託口で10.08%、次いで代表取締役会長の松浦勝人氏の資産管理会社とみられる株式会社マックス2000が5.11%、前代表取締役社長の小林敏雄氏の資産管理会社とみられる有限会社ティーズ・キャピタルも5.11%、以降は5%以下で3D OPPORTUNITY MASTER FUND、資産管理会社・信託銀行等の金融機関が並ぶ。外国人株式保有比率は30%以上

取締役会

取締役は8名(社内5名、社外3名)、監査等委員4名 (社内1名、社外3名)、監査等委員会設置会社である。代表権を持つ取締役は会長、社長CEO、社長COOの3名。その他の社内取締役は、見城徹氏は株式会社KADOKAWAを経て、株式会社幻冬舎を設立。2009年5月に現職に就任した。小林伸之氏はエイベックス・エンタテインメント株式会社を経て、2010年5月に同社に入社。2020年に現職に就任した。

代表取締役の経歴

代表取締役会長の松浦勝人氏は1964年10月生まれ。日本大学経済学部を卒業後、1988年4月に同社を設立し、取締役に就任。1991年3月に専務取締役、2004年9月に代表取締役社長、2018年6月に代表取締役会長CEOを経て、2020年6月に現職に就任した。
代表取締役社長CEOの黒岩克巳氏は1972年1月生まれ。2001年5月にエイベックス・マネジメント株式会社に入社後、2017年4月に代表取締役社長に就任。2018年6月に同社の代表取締役社長COOに就任を経て、2020年6月に現職に就任した。
代表取締役CFOの林真司氏は1964年6月生まれ。日本大学経済学部を卒業後、1990年5月に同社に入社。1993年4月に取締役、1996年6月に常務取締役、2010年4月に代表取締役CBO、2014年6月に代表取締役CMO、2017年1月に代表取締役COOを経て、2018年6月に現職に就任した。

報告セグメント

「音楽事業」、「アニメ・映像事業」、「デジタル・プラットフォーム事業」、「海外事業」、「テクノロジー事業」の5セグメントに大別され、報告セグメントに含まれない事業として「その他」がある。2022年3月期の売上高98,437百万円の構成比は、音楽事業が55.7%、アニメ・映像事業が9.6%、デジタル・プラットフォーム事業が27.1%、海外事業が3.0%、テクノロジー事業が2.9%、その他が1.7%を占める。セグメント利益又は損失は、音楽事業が4,540百万円、アニメ・映像事業が1,259百万円、デジタル・プラットフォーム事業が▲1,259百万円、海外事業が56百万円、テクノロジー事業が132百万円、その他が34百万円であり、営業利益は2,170百万円であった。外国人株式保有比率は20%以上30%未満。

事業モデル

主力の音楽事業では、音楽コンテンツの企画から販売までを一貫して展開する 。また所属アーティストやタレントのマネジメントや、コンサートとイベントの企画・運営等を行う。歴代の所属アーティストには、安室奈美恵、浜崎あゆみ、東方神起等の著名アーティストが並ぶ。アニメ・映像事業では、映像コンテンツの企画から販売や、映画の配給を行う。アニメコンテンツには、ONE PIECEやキングダム、おそ松さんをラインナップ。デジタル・プラットフォーム事業では、デジタルコンテンツの企画から配信やCD・DVDのECサイト運営、チケットのプラットフォーム販売、ファンクラブの運営を行うテクノロジー事業では映像・音楽、ゲームやVRの制作・販売や、ブロックチェーンにかかるシステムの企画・販売を行う。各事業に連結子会社を設けており、同社は各連結子会社の持株会社に位置する。
一般社団法人日本レコード協会による2021年1月から12月までのデータを見ると、音楽ビデオを含む音楽ソフトの生産金額が前年同期比0.4%減の1,936億38百万円、有料音楽配信売上金額が前年同期比14.4%増の895億38百万円となった。また、一般財団法人デジタルコンテンツ協会によると、映像ソフトの売上金額が前年同期比0.2%減の1,369億26百万円となったものの、映像配信市場規模は前年同期比14.0%増の4,230億円となり、今後も拡大する事が予想されている。

競合他社

大手芸能プロダクションの4301アミューズ(直近決算期売上高387億円)、出版事業と動画サイト運営が主力の9468KADOKAWA(直近決算期売上高2,212億円)、東映系のアニメ制作会社である4816東映アニメーション(直近決算期売上高570億円)が競合として挙げられる。

連結の範囲

同社グループは、同社及び連結子会社27社並びに持分法適用関連会社5社の合計33社により構成され、音楽事業、アニメ・映像事業、デジタル・プラットフォーム事業、海外事業及びテクノロジー事業を営む。

強み・弱み

強みとして、デジタル配信プラットフォームが挙げられる。同社の持つ公式YouTubeチャンネル「エイベックス・チャンネル」は、企業チャンネルとして日本最大規模であり、2022年7月末時点で580万人の登録者数を抱える。また音楽配信プラットフォーム「BIG UP!」を運営し、有料配信コンテンツを無料で一定期間提供、アーティストの新規ファン獲得を後押しする。デジタル配信市場を成長産業と位置付け、ネットクリエイターカテゴリーを中心に積極的な投資を実施。2019年には売上が前年比150%以上の伸びを示した。懸念点は、所属アーティストが業績に与える影響が大きく、ヒットアーティストの有無や人気アーティストの契約継続の有無による業績変動リスクが挙げられる。

KPI

KPIとみられる開示は下記。
①     音楽パッケージ、音楽配信、ライヴ、著作権使用市場データ
②     映像ソフト市場、国内動画配信市場データ

2022年3月期 決算説明資料

業績

2018年3月期から2022年3月期までの5期をみると、売上高は163,375百万円から98,437百万円、経常利益は6,582百万円から2,351百万円と減収減益。2021年3月期はコロナ禍の影響もあり大幅な減収減益となったが、直近期はやや回復が見られる。営業CFは2020年3月以降マイナス、投資CFは2021年3月期のみプラス。2022年3月期の自己資本比率は59.2%。

関連ありそうな記事