7860 エイベックスの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1988年4月にエイベックス・ディー・ディー株式会社を設立し、輸入レコードの販売を開始。1990年9月に自社レーベルにて、レコードの制作を開始。1998年4月にエイベックス株式会社と合併。1999年12月に東証一部に上場。2004年10月にエイベックス・グループ・ホールディングス株式会社(同社)とエイベックス株式会社に分割し、持株会社体制に移行。2017年11月にエイベックス株式会社商号変更。本社は東京都港区。所属アーティストによる、音楽配信やライブ事業が主力

株主構成

2021年3月期第2四半期報告書によると2020年9月末時点の筆頭株主は、日本マスタートラスト信託銀行株式会社の信託口で5.6%、次いで代表取締役会長の松浦勝人氏の資産管理会社とみられる株式会社マックス2000が5.2%、前代表取締役社長の小林敏雄氏の資産管理会社とみられる有限会社ティーズ・キャピタルが5.1%、株式会社サイバーエージェントが4.5%、3D OPPORTUNITY MASTER FUNDが3.2%、株式会社日本カストディ銀行が信託口で3.0%等、資産管理会社・信託銀行等の金融機関が並ぶ。外国人株式保有比率は30%以上

取締役会

取締役は8名(社内5名、社外3名)、監査等委員4名 (社内1名、社外3名)、監査等委員会設置会社である。代表権を持つ取締役は会長、社長CEO、社長COOの3名。その他の社内取締役は、見城徹氏は株式会社KADOKAWAを経て、株式会社幻冬舎を設立。2009年5月に現職に就任した。小林伸之氏はエイベックス・エンタテインメント株式会社を経て、2010年5月に同社に入社。2020年に現職に就任した。

代表取締役の経歴

代表取締役会長の松浦勝人氏は1964年10月生まれ。日本大学経済学部を卒業後、1988年4月に同社を設立し、取締役に就任。1991年3月に専務取締役、2004年9月に代表取締役社長、2018年6月に代表取締役会長CEOを経て、2020年6月に現職に就任した。
代表取締役社長CEOの黒岩克巳氏は1972年1月生まれ。2001年5月にエイベックス・マネジメント株式会社に入社後、2017年4月に代表取締役社長に就任。2018年6月に同社の代表取締役社長COOに就任を経て、2020年6月に現職に就任した。
代表取締役CFOの林真司氏は1964年6月生まれ。日本大学経済学部を卒業後、1990年5月に同社に入社。1993年4月に取締役、1996年6月に常務取締役、2010年4月に代表取締役CBO、2014年6月に代表取締役CMO、2017年1月に代表取締役COOを経て、2018年6月に現職に就任した。

報告セグメント

「音楽事業」、「アニメ・映像事業」、「デジタル・プラットフォーム事業」、「テクノロジー事業」の4セグメントに大別され、報告セグメントに含まれない事業として「その他」がある。2021年3月期は売上高81,527百万円の内、音楽事業が42,818百万円で52.5%、アニメ・映像事業が7,792百万円で9.6%、デジタル・プラットフォーム事業が25,935百万円で31.8%、テクノロジー事業が1,877百万円で2.3%、その他が3,102百万円で3.8%を占める。
セグメント利益率は音楽事業がマイナスから1桁前半、アニメ・映像事業とデジタル・プラットフォーム事業が1桁中盤、テクノロジー事業がマイナスを推移する。2021年3月期は新型コロナ流行の影響を受け、全事業が赤字であった。

なお、有価証券報告書で開示される海外事業の売上高は2,331億円(2020年3月期)で、シンガポール、北京、上海、香港、米国、台湾に拠点を有す。

事業モデル

主力の音楽事業では、音楽コンテンツの企画から販売までを一貫して展開する 。また所属アーティストやタレントのマネジメントや、コンサートとイベントの企画・運営等を行う。歴代の所属アーティストには、安室奈美恵、浜崎あゆみ、東方神起等の著名アーティストが並ぶ。アニメ・映像事業では、映像コンテンツの企画から販売や、映画の配給を行う。アニメコンテンツには、ONE PIECEやキングダム、おそ松さんをラインナップ。デジタル・プラットフォーム事業では、デジタルコンテンツの企画から配信やCD・DVDのECサイト運営、チケットのプラットフォーム販売、ファンクラブの運営を行うテクノロジー事業では映像・音楽、ゲームやVRの制作・販売や、ブロックチェーンにかかるシステムの企画・販売を行う
各事業に連結子会社を設けており、同社は各連結子会社の持株会社に位置する。
新型コロナ流行に伴う「新しい生活様式」に向けて、デジタルによる音楽・映像の配信を強化。国内の動画配信サービス市場は、2020年度で前年同期比134%の伸び率である。同社の公式YouTubeチャンネルは登録者数が540万人(2020年9月1日時点)と、企業チャンネルとしては国内最大規模を誇る。2020年には年1回の定期ライブ「a-nation」をオンラインにて開催。YouTubeとLINEを通して5ステージを配信し、総再生回数は約160万回を記録した。

競合他社

大手芸能プロダクションの4301株式会社アミューズ(2021年3月期売上高39,839百万円)、出版事業と動画サイト運営が主力の9468株式会社KADOKAWA(同209,947百万円)、東映系のアニメ制作会社である4816東映アニメーション株式会社(同51,595百万円)が競合として挙げられる。

連結の範囲

連結子会社24社と持分法適用関連会社5社を持つ。売上高が連結売上高の10%以上を占める主要な連結子会社は、動画事業を担うエイベックス・エンタテインメント株式会社 デジタル・プラットフォーム事業を担うエイベックス通信放送株式会社である。

強み・弱み

強みとして、デジタル配信プラットフォームが挙げられる。同社の持つ公式YouTubeチャンネル「エイベックス・チャンネル」は、企業チャンネルとして日本最大規模であり、2020年9月1日時点で540万人の登録者数を抱える。また音楽配信プラットフォーム「BIG UP!」を運営し、有料配信コンテンツを無料で一定期間提供、アーティストの新規ファン獲得を後押しする。デジタル配信市場を成長産業と位置付け、ネットクリエイターカテゴリーを中心に積極的な投資を実施。2019年には売上が前年比150%以上の伸びを示した。懸念点は、所属アーティストが業績に与える影響が大きく、ヒットアーティストの有無や人気アーティストの契約継続の有無による業績変動リスクが挙げられる。

KPI

KPIにはファンクラブ会員数が挙げられる
ファンクラブ会員数:71.3万人(2021年3月期)

2021年3月期決算発表会資料

業績

2017年3月期から2019年3月期まで、売上高は1,600億円強、経常利益は60~70億円前後の推移だったが、新型コロナウイルス感染症の拡大影響を受け2020年3月期及び2021年3月期は2期連続減収で、特に20201年3月期は売上高815億円、経常損失65億円の赤字と大幅な減収減益であった。営業CFは2020年3月期以降マイナス。投資CFは2020年3月期までマイナスを継続していたが、2021年3月期にプラス転換。財務CFは2019年3月期と2021年3月期を除いてプラス。自己資本比率は2021年3月期で61.5%。前期の43.7%から改善した。