3663 アートスパークホールディングスの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

2012年4月、株式会社セルシス(1991年5月設立)と株式会社エイチアイ(1989年4月設立)が株式移転により同社を設立し、両社はその完全子会社となり、東証二部に上場。2019年1月にSocionext Embedded Software Austria GmbHの全株式を取得、翌月にCandera GmbHへ商号変更。2019年6月には株式会社カンデラジャパン、2019年12月にはCandera America Inc.を設立。 2021年3月にはIT及びソフトウェアの受託開発を行う株式会社エイチアイを売却済み。イラスト制作ソフトでシェアNO.1の「CLIP STUDIO PAINT」を有し、自動車の先進運転システム開発に欠かせないソフトウェア開発プラットフォームを提供する

株主構成

有価証券報告書によると2020年6月末時点で、保有割合が5%を超える大株主は存在しない。保有割合の多い順にニューヨーク銀行の顧客アカウント4.44%、個人投資家とみられる炭山昌宏氏3.68%、SBI証券2.97%、取締役会長の川上陽介氏2.45%と、証券会社を中心とした金融機関及び個人名が並ぶ。また、2020年4月1日更新のコーポレート・ガバナンス報告書によると、外国人株式保有比率は10%以上20%未満である。

取締役会

取締役は9名(社内8名、社外1名)、監査役は3名(全員社外)、監査役会設置会社である。社内取締役の入社時期、年齢は様々である。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の野﨑愼也氏は1965年8月生まれ。東京工学院美術専門学校卒業後、1989年4月株式会社キャディックス入社。1991年5月に株式会社セルシスを設立し、取締役や代表取締役社長を歴任後、2012年に同社が設立され2016年3月から現職を務める。

報告セグメント

「クリエイターサポート事業」と、「UI/UX事業」の2報告セグメントに大別される。2020年12月期第3四半期の売上高4,664万円の構成比は、クリエイターサポート事業75.3%、UI/UX事業24.7%。同四半期のセグメント利益は、クリエイターサポート事業が1,202百万円を稼いだ一方、UI/UX事業は赤字で、連結の営業利益は773百万円。

事業モデル

クリエイターサポート事業はイラスト制作ソフト「CLIP STUDIO PAINT」シリーズ等の企画から開発までを、子会社の株式会社セルシスにて行う。「CLIP STUDIO PAINT」は、世界最大級のイラストSNS「pixiv」での使用率が1位と高いユーザーシェアを有し、大手メーカーのPCやGalaxyのAndroidタブレットなどにプリインストールされている。販売は自社運営のWebサイト「CLIP STUDIO」からのDLやソフトウェアのCDを電気量販店などの小売業者等を通じて提供し、ユーザーに使用許諾を与える形式。全世界での累計販売数は1,000万本を超え、海外売上比率が60%以上。また、同ソフトウェアの研究開発成果をもとに、ソフトウェアやサービスノウハウのソリューショ ン提供を行う。
UI/UX事業はHMI(Human Machine Interface:人間と機械が情報をやり取りするための手段や、そのための装置やソフトウェアなどの総称)ソフトウェア開発プラットフォーム「CGI Studio」等の企画・開発を行う。子会社のCandera GmbHが独自の技術で開発した同製品は、欧州の自動車メーカーや、家電メーカー等で多数の採用実績を有す。自動車業界ではTier1の6社、OEMの8社が同社製品を採用するほか、エヌビディアやインテルなどのハードウェアやMicrosoftやAndoroidなどのソフトウェアなど幅広いプラットフォームをサポートする。市場規模が拡大していくとみられる自動車の先進運転システム開発に欠かせないHMIで、今後も需要増加が見込まれる。またUIのデザイン、ソフトウェア開発、組込み業務までを受託開発し、開発・保守・サポート料を得ている。

同社HP>TOP https://cgistudio.at/ja/

競合他社

イラスト制作ソフト「CLIP STUDIO PAINT」の競合として、Adobe社の「Photoshop」が挙げられる。

連結の範囲

持株会社である同社の傘下に、事業子会社として、クリエイターサポート事業を行う株式会社セルシスUI・UX事業を行う株式会社カンデラジャパンと在外子会社のCandera GmgHの3社と、非連結子会社1社を有しグループを形成。

強み・弱み

「CLIP STUDIO PAINT」はプリインストールの実績を有するなどメーカーからの信頼と高いシェアを有する製品力が強み。今後も需要増加が見込まれる「CGI Studio」は、自動車産業界の投資意欲に左右され、コロナ禍の慎重姿勢を受け足元は販売が低迷している。また海外売上高も相応にあるため、為替の業績影響が大きい点も懸念点である。

株式会社セルシス > イラスト・マンガ描き方ナビ
https://www.clipstudio.net/oekaki/archives/151996

KPI

①「CLIP STUDIO PAINT」出荷本数(2020年全世界推計出荷本数1,000万本突破)
②車載ソフトウェア市場規模(2030年に9,950億円と予測、矢野経済研究所調べ)
③為替(米ドルなど)

業績

2016年12月期から2020年12月期までに売上高は約1.6倍に成長、経常利益は2016年12月期以降減益だったが、2020年12月期はクリエイターサポート事業の増収、利益率改善により一転、過去最高益を更新した。フリーCFは、2019年12月期にCandera GmbHの子会社化に伴う株式取得により投資CFが大幅マイナスとなった以外はプラス。自己資本比率は、70%台で推移している。