3633 GMOペパボの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

2001年10月個人向けホスティングサービスを主要業務として、当社の前身となる合資会社マダメ企画を設立。同年11月「ロリポップ!レンタルサーバー」提供開始。2003年1月個人向けホスティング事業を目的とした、有限会社paperboy&co.を設立。2004年2月レンタルブログサービス「JUGEM」の提供を開始。2004年3月グローバルメディアオンライン株式会社(現GMOインターネット株式会社)を割当先とした第三者割当増資を実施 、連結子会社となる。2008年12月東証JASDAQスタンダードへ上場。2012年1月株式会社gooyaとの合弁会社である株式会社ペーパーボーヤを設立。2014年4月GMOペパボ株式会社へ商号変更。2019年12月東証二部へ変更、2020年12月東証一部へ指定替え
なお、創業者は実業家として著名な家入一馬氏で、過去に新聞配達をしていたことに起業のきっかけがあったことから「paperboy ペーパーボーイ 新聞配達員」を由来に社名とした、とのこと。同氏は既に退任済みである。

株主構成

有価証券報告書によると2020年12月末時点の筆頭株主は、親会社であるGMOインターネット株式会社で57.44%を保有。5%未満の保有で国内外の信託銀行等の信託口などが並ぶほか、GMOアドパートナーズ株式会社2.04%や代表取締役社長の佐藤健太郎氏0.86%も並ぶ。

取締役会

取締役は10名(社内7名、社外3名)、うち3名は監査等委員。監査等委員会設置会社である。代表権を持たない社内取締役6名の経歴、入社時期はさまざまだが、創業約20年の同社で10年以上のキャリアを有す取締役が大半 を占める。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の佐藤健太郎氏は1981年1月生まれ。東和大学を卒業後、2003年1月に同社へ入社。2009年3月に現職へ就任。その後、GMOインターネット株式会社の取締役、株式会社ブクログの代表取締役社長などを経験し、現在はGMOクリエイターズネットワーク株式会社の取締役会長も兼任。

報告セグメント

「ホスティング事業」、「EC支援事業」、「ハンドメイド事業」、「金融政策事業」、「その他」の5 報告セグメントに大別され、2020年12月期の売上高11,014百万円の構成比はホスティング事業41.5%、EC支援事業37.0%、ハンドメイド事業18.1%、金融政策事業1.1%、その他2.3%。セグメント別の営業利益は、ホスティング事業1,361百万円、EC支援事業1,212百万円、ハンドメイド事業226百万円、金融政策事業▲299百万円、その他47百万円であった。
創業来ホスティング事業は売上高の半分以上を占める事業であったが、EC市場の拡大を背景に2020年12月期よりその比率が半分以下となった

2020年12月期決算説明会資料

事業モデル

ホスティング事業は、個人からビジネスまで幅広い用途に利用可能なレンタルサーバーサービス「ロリポップ! 」やドメイン取得代行サービス「ムームードメイン」などを展開する。GMOぺパボのレンタルサーバーは国内シェアNo.1(同社HPより:「2020の日本でのウェブホスティングのマーケットシェア」 HostAdvice.com調べ。2021年4月15日時点)と相応の知名度と実績を有す。同社によると、レンタルサーバーやドメインの分野で は、利用者ニーズの多様化、高度化を含めた市場規模の拡大が今後も進むとみられる。しかし同業他社が複数存在するため、技術開発競争、価格競争、新規参入による競争激化が懸念されている。
EC支援事業は、月額制ネットショップ作成サービスにおける国内店舗数No.1全国4万店以上の「カラー ミーショップ」やオリジナルグッズ作成・販売サービス「SUZURI」などを展開する。「カラーミーショップ」は月額の固定コストで独自のドメインのショップを作成可能な点が特徴で、個人事業主から「京都吉兆」や「クリスピー・クリーム・ドーナツ」のオンラインストアなど有名企業まで幅広い導入実績を有す 。ECの分野は今後も市場規模の拡大が続くとみられ、販売する側も大企業から中小企業、個人商店から個人へと裾野が拡がると同社はみている。
ハンドメイド事業は、国内最大のハンドメイドマーケットサービス「minne 」を中心に展開する。アプリも提供しており、ハンドメイド品のマーケットプレイスとして高い認知度を有す。販売額に対する手数料が同社の収益源である。 スマートフォンの普及などを背景に個人間の電子商取引市場が年々拡大しており、ハンドメイドマーケットについても引き続き市場が拡大するとみこまれる。
金融政策事業は、連結子会社GMOクリエイターズネットワーク株式会社が運営するフリーランス向けファクタリングサービス「FREENANCE」を展開する。請求書額面の3~10%の手数料を徴収する。フリーランス人口が年々増加していることを背景に、フリーランス向けのファクタリング市場も年々拡大を続けていくとみられる。
その他には、同社が運営するブログサービス「JUGEM」や、連結子会社GMOクリエイターズネットワーク株式会社が運営するWebコンテンツ制作事業などが属する。

競合他社

ホスティング事業(レンタルサーバー)では3778さくらインターネット(直近決算期売上高219億円)などが挙げられ、サービスではアマゾンウェブサービスジャパン株式会社の提供する「Amazon Li ghtsail」などなども競合となる。EC支援事業のうち「カラーミーショップ」のようなECサイト構築システムは、4304 Eストアー(直近決算期売上高48億円)をはじめ多数の企業が参入している。料金体系やモール形式か否かなどの違いはあるが、140万ショップの開設実績を有す「BASE」を運営する4477BASEは同事業やハンドメイド事業の競合サービスとなるとみられる。
「SUZURI」のようなオリジナルグッズ作成・販売サービスについては、CtoC市場の拡大に伴って参入企業が増加しているが、取扱いアイテムが各事業者で異なるため直接的な競合は少ないとみられる。ハンドメイド事業に関しては、「Creema」を運営する4017クリーマ(直近決算期売上高168億円)などが競合として挙げられる。

連結の範囲

親会社であるGMOインターネット株式会社、連結子会社であるGMOクリエイターズネットワーク株式会社、関連会社である有限責任事業組合福岡市スタートアップ支援施設運営委員会で構成されている。

強み・弱み

各サービス のブランド力、顧客基盤、運営ノウハウを活かしたサービスが強み。同社の議決権の50%以上を保有する親会社、GMOインターネット株式会社の同社に対する取引方針や条件等に大きな変更が生じた場合、業績への影響が懸念される。

KPI

2020年12月期におけるKPIは下記。決算説明会資料にてグラフ開示されている。⑤・⑥は図表の引用は割愛。
①ホスティング事業(ロリポップ!)業績推移・顧客単価・契約件数
②ホスティング事業(ムームードメイン)業績推移・ドメイン単価・契約ドメイン数
③EC支援事業(カラーミーショップ)業績推移・顧客単価・契約件数
④EC支援事業(SUZURI)業績推移・流通額・会員数
⑤ハンドメイド事業(minne)業績推移・注文単価・流通額
⑥金融支援事業(FREENANCE)業績推移・買取総額

2020年12月期決算説明会資料

2020年12月期決算説明会資料

業績

運営体制の変更にともない連結子会社が存在しなかった2017年と2018年は連結財務諸表の作成がないため非連続ではあるが、提出会社の開示(単体)も踏まえて、2016年12月期から2020年12月期までの5期を比較すると、 右肩上がりの増収増益で、売上高は6,890百万円から11,014百万円、経常利益は135百万円から983百万円へと大幅伸長している。EC需要が急速に高まり、「minne」や「SUZURI」「カラーミーショップ」といったEC関連サービスが伸びている。営業CFは恒常的にプラス。投資CFは恒常的にマイナスだが、営業CFに対する拠出額は少なめ。2020年12月期における自己資本比率は30.6%。