3778 さくらインターネットの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1996年12月さくらインターネットが創業され、共用レンタルサーバや専用サーバのサービスを開始。1999年8月さくらインターネット株式会社が設立され、ハウジングサービスを開始。2000年4月、エス・アール・エス株式会社、有限会社インフォレストと合併し、商号をエスアールエス・さくらインターネットへ変更、2004年7月さくらインターネット株式会社へ再度商号変更。2005年10月東証マザーズへ上場、2015年11月東証一部へ変更。2017年4月IoTプラットフォーム「sakura.io」の提供を開始。日本最大規模のデータセンターを自社で運用し提供

株主構成

四半期報告書によると2020年9月末時点の筆頭株主は、2768双日で29.01%を保有。次いで代表取締役社長CEOの田中邦裕氏が15.06%、同社の研究所所長の鷲北賢氏が3.00%を保有。以下は持ち分も少なく、個人株主や従業員持株会、信託銀行等の信託口や証券会社が並ぶ。外国人株主保有比率は10%未満。

取締役会

取締役は6名(社内3名、社外3名)、監査役は4名(社内1名、社外3名)、監査役会設置会社である。代表以外の社内取締役はみずほ銀行出身で会計士経歴の長い川田正貴氏と、現在の株式会社日立パワーソリューションズや株式会社スクウェア・エニックスなどを経て、情報技術畑を見てきた伊勢幸一氏で両名とも同社で10年以上の勤務経験を有す。社外取締役や監査役には公認会計士の有資格者が多い。

代表取締役の経歴

代表取締役社長田中邦裕氏は1978年1月生まれ。鶴舞工業高等専門学校に入学し、在学中にさくらインターネットを創業し、無料レンタルサーバー事業を開始する。その後1999年8月にさくらインターネット株式会社を創業し、2005年10月に当時4番目の若さで東証マザーズへの上場を果たした。現在、株式会社アイモバイル、株式会社i-plug、株式会社ABEJAの社外取締役を兼任している。

報告セグメント

「インターネットデータセンター事業」の単一セグメント。製品およびサービス別では、2020年3月期の売上高21,908百万円の構成比は、ハウジングサービスが10.9%、専用サーバサービスが23.1%、レンタルサーバサービスが15.4%、VPS・クラウドサービスが26.6%、その他サービスが23.9%である。

第3四半期決算説明資料

事業モデル

日本最大規模の大容量・高速の通信回線を確保し、高度なセキュリティと堅牢な設備環境を備えた国内3拠点(北海道石狩、大阪堂島、東京)のデータセンターを自社で運営し顧客へ提供する。
ハウジングサービスは同社グループが運営するデータセンター内に、顧客所有の通信機器類を自由に設置できるスペースと、インターネット接続に必要な回線や電源などを貸与するサービスを提供
ホスティングサービスは主に3つのサービスを展開し、専用サーバサービスは同社グループが所有する物理サーバを、専用で利用できるサービス(「さくらの専用サーバ」)であり、独自にサーバの設定が可能であることや、ソフトウェアのインストールに制約がないなど、レンタルサーバサービスと比べて自由度が高くい。レンタルサーバサービスは複数の顧客が共同もしくは専用で同社グループが所有する物理サーバを利用できるサービスで、サーバのメンテナンス等を同社グループが代行することで顧客の作業負担を大幅に軽減するものである。VPS・クラウドサービスは仮想化技術により、物理サーバに複数の仮想サーバを構築し、その一つ一つを専用サーバのように利用できるサービスであり、基本的に仮想サーバ1台ごとの単体契約となるサービス(「さくらのVPS」など)と、契約の中で複数台サーバの申し込みとそのネットワーク設定を可能とし、日割や時間割での課金が可能なサービスとなっている。クラウド・VPS、レンタルサーバ事業は月次のリカーリングレベニュー方式のビジネスモデルで、2021年3月期第3四半期の四半期では売上高に占めるMRR(Monthly Recurring Revenue)収入は45.0%であった。顧客は小口・大口に分散しており、Sier、Webサービス提供社、ゲーム・アプリ、EC関連など業種別にも偏りがない
その他サービスはこれらの業務に付帯するサービスを提供。
企業のITインフラがクラウドへ急速に移行していることや、データ量の増加が予測されるため、今後も市場が拡大していくと見られる。

競合他社

ホスティング事業の競合として3788GMOグローバルサイン・ホールディングス、6942ソフィアホールディングスなどが挙げられる。その他、IoTおよびコンピュータプラットフォーム事業の競合として3776ブロードバンドタワーが挙げられる。

連結の範囲

連結子会社は6社、関連会社は3社、その他に、双日株式会社が関係会社で、同社を含めた計11社でグループを形成している。連結子会社はゲヒルン株式会社(ホスティング事業等)、櫻花移動電信有限公司(香港)(電気通信、コンサルティング事業)、アイティーエム株式会社(ホスティング、ハウジング事業)、ビットスター株式会社(インターネットサービス事業)、プラナスソリューションズ株式会社(システムインテグレーション事業)、IzumoBASE株式会社(ストレージソフトウェア製品の開発・販売事業)の6社。関連会社は株式会社S2i(ホームIoT関連事業)、有限責任事業組合福岡市スタートアップ支援施設運営委員会、BBSakuraNetworks株式会社(モバイルネットワークソリューションの提供)の3社。

強み・弱み

運用・開発・研究・営業部門のすべてを自社で統合し、経験の蓄積や部門間の連携を高めることで、高品質のサービスを実現している点が強み。また、自社データセンターを備えていることから、インフラとサービスの両面から高品質な商品を開発することが可能。他方で、同業他社の中には同社グループと比べて資本力、販売力等の経営資源、高い地名力等を有する企業もあるため、優位性や競争力に懸念が残る。

KPI

MRRの状況、リース料や人件費の推移を主要なKPIとして開示している。
・2021年3月期第3四半期の3カ月累計 MRR2,392百万円(前年同期比+9.6%

第3四半期決算説明資料

業績

2016年3月期から2020年3月期までの5期間で売上高は1.8倍となった一方、経常利益は伸び悩んでいる。2019年3月期395百万円で底入れしたが2020年3月期の789百万円は2016年3月期の822百万円には及んでいない。エンジニアの増員やサービス機材増加など先行投資も含めたコスト増が要因。営業CFは安定してプラス、投資CFと財務CFは、2017年3月期に石狩データセンターに大型の設備投資を実行し公募増資したこと以外は大きな変動は見られず、投資CFは恒常的にマイナス、財務CFは期によって返済超と調達超が混在。5年間で現金及び現金同等物の期末残高に大きな変化は見られない。自己資本比率は2021年3月期第三四半期末で27.5%である。