3690 イルグルムの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

2001年6月にホームページ制作を目的として有限会社ロックオンを設立。2003年7月に株式会社ロックオンへ改組。2004年9月にインターネット広告の効果測定システム「AD EBiS」を販売開始。2006年9月にEC構築オープンソースソフトウェア「EC-CUBE」を提供開始。2014年9月に東証マザーズに上場。2019年8月に株式会社イルグルムに商号変更。2020年7月に広告代理店向け案件管理システム「アドナレッジ」を提供開始。東京都と大阪府の二本社制。ネット広告効果測定サービスやECサイト構築サービスで国内トップシェア

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月末時点の大株主は、代表取締役の岩田進氏で44.77%、次いで前取締役の福田博一氏が12.38%、前取締役の又座加奈子氏が5.57%、株式会社日本カストディ銀行が信託口で3.49%と証券投資信託口で2.68%、上田八木短資株式会社が1.36%、イルグルム従業員持株会が1.11%等、現役員や前役員、銀行などの金融機関が並ぶ。外国人株式保有比率は10%未満。

取締役会

取締役は6名(社内3名、社外3名)、うち監査等委員3名 (全員社外)、監査等委員会設置会社である。取締役の赤澤洋樹氏は秋葉会計事務所や株式会社日本エスコン等の数社を経て、2016年10月に同社に入社。経営部門に携わり、2020年12月に現職に就任した。
取締役の椎木茂氏は日本アイ・ビー・エム株式会社や日本オラクル株式会社等の数社を経て、2016年6月に同社相談役に就任。2017年12月に現職に就任した。

代表取締役の経歴

代表取締役の岩田進氏は1977年7月生まれ。関西学院大学在学中に個人事業主としてホームページ制作を行う。2001年6月に同社を設立。連結子会社の株式会社イーシーキューブの代表取締役会長も兼任する。

報告セグメント

「マーケティングプラットフォーム事業」、「商流プラットフォーム事業」の2セグメントに大別される。2021年9月期第1四半期では売上高721百万円の内、マーケティングプラットフォーム事業が621百万円で86.1%、商流プラットフォーム事業が100百万円で13.9%を占める。
セグメント利益についてはマーケティングプラットフォーム事業が利益率は1桁台であり、商流プラットフォーム事業の利益率は期によって変動があるものの10~20%台である。

事業モデル

主力のマーケティングプラットフォーム事業では、インターネット広告の効果測定システム「AD EBiS」や、広告運営レポート提供サービス「アドレポ」をクラウド上で提供。2020年1月に株式会社オプトから、国内初のインターネット広告効果測定ツール「ADPLAN」を事業譲渡され、既存の「AD EBiS」と合わせて国内広告効果測定市場で6割を超えるトップシェアを誇る。2021年1月には「AD EBiS」のフルリニューアルを実施し、分析速度や操作性の改善を実現。「AD EBiS」では柱の広告測定機能と蓄積された測定データをもとに、広告効果に加えてマーケティング効果までを一貫して可視化できる。「アドレポ」では自動で媒体を横断した広告レポートを作成することができ、「AD EBiS」と組み合わせることで顧客がネット広告を用いたマーケティング効果の最大化を図ることを実現。顧客にはライオン株式会社や株式会社ECC、株式会社NTTデータ等の幅広い業種の大手企業が並ぶ
商流プラットフォーム事業ではECサイト構築にかかるオープンプラットフォーム「EC-CUBE」を提供。無料でプラットフォームを提供し、決済代行等の「EC-CUBE」と連携するECサービス提供企業からマージン収入を得る収益モデルである。EC構築オープンプラットフォームとして国内トップシェア。ビジネスモデルとしてサイト開発や営業はパートナー企業等の外部に委託し、自社内で設備投資を積極的に行わないエコシステムを構築する。
インターネット広告市場は2013年から継続して2桁成長し、2019年では2.1兆円の市場規模を誇る。あらゆる媒体を含んだ総広告費に占めるネット広告構成比も3割を超えており、さらなる市場拡大が期待される分野である。

2021年9月期 2021年9月期第1四半期決算説明資料

競合他社

電通グループのネット広告専業企業の3688株式会社CARTA HOLDINGS(2020年12月期売上高22,487百万円)、ネット広告の取引サービスを展開する6094株式会社フリーアウト・ホールディングス(2020年9月期売上高24,878百万円)が競合として挙げられる。

連結の範囲

同社グループは同社を含む連結子会社3社と、非連結子会社1社、持分法適用関連会社1社で構成される。主要な連結子会社は、商流プラットフォーム事業の「EC-CUBE」を運営する株式会社イーシーキューブ。ベトナムにオフショア開発拠点の連結子会社1社と、米国カリフォルニア州に非連結子会社1社を持つ。

強み・弱み

国内トップシェアを築くマーケティングプラットフォーム事業の商品力が強み。懸念点には、新規参入企業や競合他社との競争激化によるシェア減少や、新型コロナ流行に伴う顧客企業における広告予算の減少が挙げられる。

KPI

KPIにはマーケティングプラットフォーム事業における「AD EBiS」のアクティブアカウント数と月額平均単価の2つが挙げられる。
①アクティブアカウント数:1451(2020年9月期第4四半期)
②月額平均単価:126,825円(同)

業績

2016年9月期から2020年9月期の過去5期で売上高は約1.6倍に拡大。経常利益はマーケティングプラットフォーム事業への先行投資が続いた2018年9月期を底に回復。営業CFはプラスを継続、投資CFはマイナスを継続。財務CFは2018年9月期と2020年9月期を除いてマイナス。自己資本比率は2020年9月期で46.4%と、前期の51.4%から減少。オプトからの事業譲渡にあたり長期借入金を調達したためと見られる。