4496 コマースOneホールディングスの業績について考察してみた

4496 コマースOneホールディングスの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

2006年8月に株式会社TradeSafeを設立し、ECサイト承認事業を開始。2010年3月にEコマース支援サービスを開始。2017年9月に株式会社TradeSafeを会社分割で完全子会社化し、株式会社TSホールディングスに商号変更。2019年12月に株式会社コマースOneホールディングスに商号変更。2020年6月に東証マザーズに上場。本社は東京都千代田区。アパレルから食品、日用品など様々な中小・中堅規模のECサイト向 けに運営支援サービスを展開

株主構成

2021年3月期第2四半期告書によると2020年9月末時点の大株主は、筆頭株主が代表取締役の岡本高彰氏で28.7%、次いでアジアン・アセット・アクイジションが23.0%、サーバーホスティング事業を営む株式会社フューチャースピリッツが9.9%、以下5%未満で国内信託銀行信託口、岡本高彰氏の出身会社である2389株式会社デジタルホールディングスが3.6%等、取締役、国内外金融機関が並ぶ。尚、変更報告書によると、みずほ銀行と共同保有者の持分が9.12%であると報告されている。外国人株式保有比率は20%以上30%未満

取締役会

取締役は5名(社内4名、社外1名)、監査役3名 (全員社外)、監査役会設置会社である。社内取締役は、野村證券株式会社株式会社電算システム等の出身者が並び、多種多様な経歴を持つ。取締役の星野裕子氏は同社連結子会社である株式会社フューチャーショップの代表取締役を兼任。取締役の北川輝信氏は、同社連結子会社である株式会社ソフテルの設立者であり、代表取締役を兼任する。

代表取締役の経歴

代表取締役の岡本高彰氏は1968年8月生まれ。大学卒業後、1991年4月に株式会社みずほ銀行に入行。株式会社オプト(現2389株式会社デジタルホールディングス)に入社後、2006年8月に社内ベンチャーとして同社を設立、現職に就任した。連結子会社である株式会社TradeSafeの代表取締役を兼任する。

報告セグメント

「ECプラットフォーム事業」の単一セグメントである。同社と各連結子会社を通して、ECサイト運営支援サービスを提供する。2021年3月期の売上高は2,520百万円で経常利益は558百万円である。当記事執筆時点で最新の2020年3月期有価証券報告書では子会社毎の売上比率は、EC構築プラットフォームを提供する株式会社フューチャーショップが約7割、在庫管理ソフトウェアを提供する株式会社ソフテルが3割弱、認証業務等を行う株式会社TradeSafeが2%程度であった。経常利益率は20%前後 を推移する。

事業モデル

中堅・中小規模のECサイト向けにECプラットフォーム事業を展開する。連結子会社が各種事業を担っており、同社は持株会社としての位置づけである。
連結子会社の株式会社フューチャーショップでは、ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」を中堅・中小規模の事業者向けに運営する。消費者ニーズに合わせたECサイト構築が可能なSaaS型プラットフォームであり、店舗構築方決済処理までの一連の支援を行う。2021年3月末時点で、利用実績は2,827店舗に上る。サブスクリプション型の月額固定料金制を採用、ユーザーの平均月商は500万円、98.6%が法人である。また「futureshop」に付随して、実店舗とEC店舗の顧客への総合的なマーケティング支援を行うSaaS型サービス「Fomni-channel」をも展開する。
連結子会社の株式会社ソフテルではEC用在庫管理ソフトウェア「通販する蔵」や、POS・物流管理等の各種ソフトウェアを運営する。「通販する蔵」では多店舗の受注管理を一元化ができ、利用店舗の年間流通額は2,000億円に上る。顧客からの主な収益源はシステムの初期導入料と、導入後のメンテナンス料である。
連結子会社の株式会社TradeSafeでは、ECサイトの信頼性を示す「トラストマーク」の認証業務や、ECサイト構築におけるアドバイザリー業務を行う。またECサイト受注状況の分析ツールである「Ecnote」を運営し、EC管理システム提供会社へ販売する。

2021年3月期 決算説明資料

国内のBtoC-EC市場規模は2020年の20.0兆円から2026年には29.4兆円へと拡大が見込まれる。また中国やイギリス等の諸外国のEC化率は20%以上であるのに対し、日本のEC化率は8.5%と低く、成長余地のある分野である。

競合他社

クラウド型ECサイト支援システムを扱う3134Hamee株式会社(2020年4月期売上高11,325百万円)、ECサイト構築パッケージソフトを開発・販売する3371ソフトクリエイトホールディングス株式会社(2021年3月期売上高24,238百万円)、「minne」等のEC支援アプリを扱う3633GMOペパボ株式会社(同2,911百万円)が競合として挙げられる。

連結の範囲

連結子会社3社を持つ 。連結子会社はECサイト構築プラットフォームを提供する株式会社フューチャーショップとECバックヤード支援ツールを提供する株式会社ソフテル、ECサイト信頼性の認証業務を行う株式会社TradeSafeである。

強み・弱み

強みとして安定した収益力、中小企業中心の特定大口顧客に依存しない顧客層の広さ が挙げられる。同社の主な収益源は月額利用料、保守メンテナンス料の顧客の拡大により得られる安定的な収益と、ソフトウェアカスタマイズの都度発生するカスタマイズ収益などで構成される。SaaS型プラットフォームの「futureshop」では中小企業でも継続利用が可能な料金設計を行っているほか、 デザイン変更の自由度の高さや柔軟なサイト変更、50を超えるECサービスとの提携等、幅広い機能を内包することで顧客の定着化を図る。
懸念点としては、国内の消費意欲減退によりEC市場の成長鈍化した場合、売上高への影響リスクが挙げられる。

KPI

KPIには「futureshop」のGMV(総流通額)と契約店舗数が挙げられる
①GMV:1,703億円(2021年3月期)
②契約店舗数:2,827店舗(同)

2021年3月期 決算説明資料

業績

売上高は連結経営指標が公表されている2018年3月期から2021年3月期までの4期で約1.5倍に増加した。2018年3月期以降、国内EC市場拡大により売上高も右肩上がりに増加傾向であり、2021年3月期は新型コロナ流行による巣ごもり消費の増加や消費者のデジタルシフトの加速により、さらに前期比+16.3%の増収となった。経常利益は過去4期で約2.1倍に増益2021年3月期は前期比+36.5%の増益となった。業容拡大により営業CFはプラス幅拡大、投資CFはマイナス幅拡大しているが、フリーCFはプラス維持。財務CFはマイナスを継続していたが、2021年3月期にプラスに転換。有利子負債無く、自己資本比率は2021年3月期で69.9%。