3689 イグニスの業績について考察してみた

3689 イグニスの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

2010年5月に株式会社イグニスを設立し、12月にスマートフォン向け恋愛アプリを配信開始。2014年7月に東証マザーズに上場。2016年3月にオンライン恋愛・婚活サービス「with」を配信開始。本社は東京都渋谷区。婚活マッチングサービスやバーチャルライブアプリ等、インターネットサービスを幅広く展開する。

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月末時点の大株主は、代表取締役CTOの鈴木貴明氏で25.43%、なお同氏の資産管理会社である株式会社SKの1.73%と併せて27.16%を保有。次いで代表取締役社長の銭錕(Qian Kun)氏が16.77%、同氏の資産管理会社とみられる株式会社QKが2.27%と併せて19.04%を保有。その他は、エレメンツキャピタルリサーチ合同会社4.04%や、海外機関投資家とみられる顧客アカウントなどが並ぶ。外国人株式保有比率は20%以上30%未満。

取締役会

取締役は6名(社内2名、社外4名)、うち監査等委員3名 (全員社外)、監査等委員会設置会社である。社外取締役の夏目公一朗氏は株式会社アニブレックスや株式会社ソニーミュージックエンタテインメントを経て、2019年12月に同社社外取締役に就任。コンテンツ業界に長年わたり携わっており、株式会社ソニーミュージックエンタテインメントのスーパーバイザーや株式会社KADOKAWAアニメ事業局戦略アドバイザーも兼任する。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の銭錕氏は1982年5月生まれ。東京都立科学技術大学を卒業後、2006年4月に株式会社シーエー・モバイル(サイバーエージェントの子会社)に入社。株式会社zeronanaを経て、2010年5月に同社を設立。2011年11月に現職に就任した。連結子会社2社の代表取締役も兼任する。
代表取締役CTOの鈴木貴明氏は1986年3月生まれ。2009年3月に株式会社サイバーエージェントに入社後、株式会社ジモティーや株式会社ファーストタイプを経て、2011年11月に当社取締役に就任。2014年2月に現職に就任した。連結子会社1社の代表取締役も兼任する。

報告セグメント

「マッチング事業」、「エンターテック事業」、「ゲーム事業」の3セグメントに大別される。2021年9月期第1四半期では売上高1,444百万円の内、マッチング事業が1,328百万円で92.0%、エンターテック事業が103百万円で7.2%、ゲーム事業が11百万円で0.8%を占める。
同四半期より新しくできたセグメント区分であり、セグメント利益についてはマッチング事業が利益率29.3%で、エンターテック事業とゲーム事業は赤字である。

2021年9月期 第1四半期決算説明資料

事業モデル

主力のマッチング事業は、連結子会社である株式会社withが提供する恋愛・婚活マッチングアプリ「with」を展開。有料会員からの月額課金収入が収益源で、メンタリストDaiGo氏が統計学や心理学を用いて監修する。
エンターテック事業は、連結子会社であるパルス株式会社が提供するバーチャルライブアプリ「INSPIX LIVE」が主力サービス。アプリ内のアイテムへの課金収入と、タレントの音楽ライブのチケットやグッズの収入を収益源とする。VR領域へ積極投資を行っており、「INSPIX LIVE」にVR空間上でのソーシャル機能を加えた、ライブ特化型仮想空間SNS「INSPIX WORLC」へのアップデートを行う。
ゲーム事業は、連結子会社である株式会社スタジオキングが提供するスマートフォン向けRPG「ぼくとドラゴン」が主力。新規ゲームアプリの開発は凍結し、2020年3月には既存の「ぼくとドラゴン」と「猫とドラゴン」の2つのアプリを株式会社ドリコムへ譲渡。マッチング事業とエンターテック事業への集中を図る。
他には、連結子会社であるグラム株式会社が提供する転職エージェントサービスやHR Techサービスの提供や、株式会社イグニスメディカルケアソリューションズでオンライン診療を可能とする『FOREST』の提供、パルス株式会社で順天堂大学と共同研究を行うVR医療のサービス開始に向けた研究開発などを行う。
同社によると、主力のマッチング事業を取り巻く恋愛・婚活マッチングサービス市場と、エンターテック事業を取り巻くAR/VR表示機器市場は拡大傾向にある。恋愛・婚活マッチングサービスの国内市場規模は2020年の620億円から2025年には1060億円まで拡大することが予測されており、「with」のユーザー数も2019年9月期第一四半期の150万人から2020年9月末には370万人にまで拡大。セグメント別売上高も2020年9月期では前年同期比47.7%増加しており、今後も成長が見込める事業である。エンターテック事業におけるAR/VR表示機器の世界市場規模は2020年の3,878億円から2030年には16兆1,711億円まで拡大することが予想されており、同社も中国や北米へ今後「INSPIX」を展開することを決定。

競合他社

アーティストのファンサイトを運営する3661株式会社エムアップホールディングス(2020年3月期11,061百万円)、恋愛マッチングサービス「Omiai」を配信する6175株式会社ネットマーケティング(2020年6月期14,363百万円)、大手ネット広告代理店の4751株式会社サイバーエージェント(2020年9月期478,566百万円)が競合として挙げられる。

連結の範囲

2020年9月の有価証券報告書時点では、同社グループは同社を含む連結子会社12社と、持分法適用関連会社2社、持分法を適用していない関連会社1社で構成された。2020年10月に事業子会社の一部である6社を同社に吸収合併している。主要な連結子会社には、マッチング事業を担う株式会社withやエンターテック事業を担うパルス株式会社が並ぶ。

強み・弱み

マッチングアプリ「with」ではメンタリストDaiGo監修による心理学やAIを活用したマッチング機能や、アプリ内に音声・動画通話機能を付与することで他社との差別化を図る。マッチング事業は参入障壁が比較的低いため、競合他社や新規参入企業との競争激化に伴う、ユーザー数低下や売上減少は懸念点である。

KPI

KPIにはマッチング事業における「with」のユーザー数と広告費回収効率、エンターテック事業における自社IPのファン数の3つが挙げられる。
①「with」ユーザー数:370万人(2020年9月期)
②「with」広告費回収効率:1.55(2020年9月期第4四半期)
③自社IPファン数:76.1万人(2020年10月末)

業績

売上高は2016年9月期から2020年9月期の過去5期でほぼ横ばい。経常利益は2018年9月期以降エンターテック事業への先行投資が膨らみ、赤字が続く。営業CFは2017年9月期以降マイナスを継続、投資CFは2019年9月期を除いてマイナスを継続。財務CFは継続してプラス。自己資本比率は2020年9月期で54.4%と、前期の56.4%からほぼ横ばい

2021年9月期 第1四半期決算説明資料