3661 エムアップホールディングスの業績について考察してみた

3661 エムアップホールディングスの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2023.Q4 2023.03 4,076 361 8.86%
FY2024.Q1 2023.06 4,393 783 17.82%
FY2024.Q2 2023.09 4,472 674 15.07%
FY2024.Q3 2023.12 4,662 717 15.38%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q4 2017.03 990 133 13.43%
FY2018.Q1 2017.06 872 65 7.45%
FY2018.Q2 2017.09 921 93 10.1%
FY2018.Q3 2017.12 997 86 8.63%
FY2018.Q4 2018.03 893 65 7.28%
FY2019.Q1 2018.06 1,063 63 5.93%
FY2019.Q2 2018.09 963 84 8.72%
FY2019.Q3 2018.12 2,505 202 8.06%
FY2019.Q4 2019.03 2,388 54 2.26%
FY2020.Q1 2019.06 2,547 126 4.95%
FY2020.Q2 2019.09 2,763 213 7.71%
FY2020.Q3 2019.12 2,799 241 8.61%
FY2020.Q4 2020.03 2,952 149 5.05%
FY2021.Q1 2020.06 2,937 288 9.81%
FY2021.Q2 2020.09 2,965 266 8.97%
FY2021.Q3 2020.12 3,283 358 10.9%
FY2021.Q4 2021.03 3,140 195 6.21%
FY2022.Q1 2021.06 3,077 363 11.8%
FY2022.Q2 2021.09 3,237 412 12.73%
FY2022.Q3 2021.12 3,705 604 16.3%
FY2022.Q4 2022.03 3,555 300 8.44%
FY2023.Q1 2022.06 3,861 605 15.67%
FY2023.Q2 2022.09 3,903 582 14.91%
FY2023.Q3 2022.12 4,096 526 12.84%
FY2023.Q4 2023.03 4,076 361 8.86%
FY2024.Q1 2023.06 4,393 783 17.82%
FY2024.Q2 2023.09 4,472 674 15.07%
FY2024.Q3 2023.12 4,662 717 15.38%

沿革

レコード会社の株式会社アンリミテッドグループにおいて、コンテンツ配信を行うインターネット関連事業部が発足。同事業部を母体に2004年12月に東京都にて株式会社エムアップが設立され、翌2005年1月に株式会社アンリミテッドグループから携帯コンテンツ事業ならびにeコマース事業を譲受。複数の連結子会社を設立の後、2020年4月に持株会社制へ移行し、株式会社エムアップホールディングスへ商号変更。2012年3月に東証マザーズ上場、2013年9月には同一部へ市場変更。2022年4月からは東証プライム。現在はコンテンツ事業、EC事業、電子チケット事業などを展開。

株主構成

有価証券報告書によると、2022年3月末時点の筆頭株主は株式会社日本カストディ銀行信託口で18.59%保有。続いて、代表取締役の美藤宏一郎氏が15.57%、日本マスタートラスト信託銀行株式会社信託口が14.08%保有。以下は5%未満の保有率で国内外の金融機関、ノルウェー政府など。外国人株式保有比率は30%以上

取締役会

取締役は7名(社内2名、社外5名)、うち4名は監査等委員(全員社外、うち委員長1名)、監査等委員会設置会社である。代表権を持たない社内取締役は総務経理部長の藤池季樹氏で、株式会社アプリックスをはじめとし約30年間一貫して経理業務に従事。社外取締役は音楽関係者、ベンチャーキャピタル、大学関係者など様々

代表取締役の経歴

代表取締役の美藤宏一郎氏は1958年8月生まれ。1984年に現ビクターエンターテインメントへ入社。その後、現株式会社EMIミュージック・ジャパン、現株式会社アンリミテッドグループ、X JAPANのhideの事務所である株式会社ヘッドワックスオーガナイゼーションを経た後、2004年12月に同社設立、2005年10月より現職

報告セグメント

「コンテンツ事業」、「電子チケット事業」の2セグメントで構成される。2022年3月期の外部顧客への売上高13,574百万円の構成比は、コンテンツ事業83.9%、電子チケット事業15.5%、その他0.5%であった。また、同期の調整前セグメント利益2,211百万円の構成比は、コンテンツ事業86.4%、電子チケット事業13.6%、その他▲0.04%となった。調整額は▲531百万円。売上高、セグメント利益ともに8割以上を占めるコンテンツ事業が主力

事業モデル

スマートフォンやPCを利用して、インターネット経由で音楽、映像等をダウンロードするファン層を主要顧客とする。
コンテンツ事業では、ファンクラブサイトの運営及びコンテンツやアプリの作成を行う。これらをNTTドコモ、au、ソフトバンク等の通信キャリアならびにインターネットサービスプロバイダーへ提供し、利用料を収受するとともにロイヤリティをコンテンツホルダーである当該アーティストへ支払う。通信キャリア各社は「DAZN for docomo」、「auスマートパスプレミアム」、「5G LAB」など独自のコンテンツ配信サービスを展開しており、アーティストの独占映像などを積極的に提供している。同事業の一部であるEC事業は、コンテンツホルダーから預託された商品のファンクラブサイト等での販売を担当。
電子チケット事業は、電子チケットの販売やチケットトレード等を行う。また、コロナ禍でライブやコンサートが中止もしくは延期される情勢に対応すべく、ライブ配信の視聴パスを販売するプラットフォーム「StreamPass」のサービスを開始し収益確保を目指す。
その他の事業内容は、これらセグメント事業に属さないアパレル、出版、プロダクション業務等が該当。

2022年3月期 決算補足説明資料 p.12

競合他社

カルチュア・コンビニエンス・クラブ(株)傘下の3995(株)SKIYAKI(売上高4,907百万円)が、ファンクラブ運営及びグッズ関連EC等で競合する。7868(株)広済堂ホールディングス(売上高35,361百万円)も、ファンクラブ会員管理システム「fanUP!」を提供するなど一部事業で競合し得る。

連結の範囲

同社グループは、同社及び事業会社である連結子会社8社で構成される。各社の事業分担は下図のとおり。

2022年3月期 決算補足説明資料 p.10

強み・弱み

音楽業界出身者が多く業界に精通しているため、集客力の高いアーティストの発掘など卓越した企画力が強み。また、音楽コンテンツのみならずアニメコンテンツも保有している点は、リスク分散の面で有利。一方、配信事業を取り巻く環境は急速に変化しており、コンテンツの企画及び提供先の開拓には高度な対応力が要求されるなど課題も多い。

KPI

①    ファンサイト総課金会員数(2022年3月末時点):前期比+14%
②    電子チケット取扱枚数(2022年3月期):290万枚(前期比+123.1%)
③    チケットトレード成立枚数(同上):15万枚(同上+194.1%)

業績

2012年3月期から2022年3月期までの10年間で、売上高及び経常利益を3倍以上に伸ばすなど順調に業容を拡大。コロナ禍においても、配信を積極的に提供するなどの対策が功を奏し増収増益。2022年3月期は、売上高13,574百万円(前期比+10.1%)、営業利益1,679百万円(同+51.6%)、経常利益1,717百万円(同+47.0%)であった。営業CFは恒常的にプラス、投資CFは概ねマイナスで推移。直近決算期の自己資本比率は35.9%。

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