3661 エムアップホールディングスの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

レコード会社の株式会社アンリミテッドグループにおいて、コンテンツ配信を行うインターネット関連事業部として発足。その後、2004年12月に東京都にて株式会社エムアップが設立され、翌年1月に株式会社アンリミテッドグループから携帯コンテンツ事業およびeコマース事業の営業を譲り受けた。その後複数の連結子会社を設立し、2020年4月に持株会社制へ移行し、株式会社エムアップホールディングスへ商号変更。現在はコンテンツ事業、EC事業、電子チケット事業 などを展開している。2012年3月東証マザーズに上場、2013年9月東証一部に変更。

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月末時点の大株主について、保有割合が多い順に日本カストディ銀行(信託口)21.29%、代表取締役社長の美藤宏一郎氏15.79%、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)7.30%と続き、以降は保有割合5%未満となっている。尚、2021年1月25日付の大量保有報告書によると、アセットマネジメントOneの持ち分が10.92%、2021年2月22日受付の大量保有報告書によると、フィデリティ投信の持ち分が7.91%であることが報告されている。また、2020年7月8日更新のコーポレート・ガバナンス報告書によると、外国人株式保有比率は10%未満である。

取締役会

取締役は6名(社内2名、社外4名)、社外のうち3名は監査等委員。監査等委員会設置会社である。現ビクターエンタテイメント株式会社やユイ音楽出版などの音楽業界出身者が多いものの、取締役の経歴や年齢、入社時期は様々である。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の美藤宏一郎氏は1958年8月生まれ。1984年に現ビクターエンターテインメントへ入社。その後、現株式会社EMIミュージック・ジャパン、現株式会社アンリミテッドグループ、X JAPANのhideの事務所である株式会社ヘッドワックスオーガナイゼーションを経た後、2004年12月に同社を設立、2005年10月に代表取締役に就任した。

報告セグメント

「コンテンツ事業」、「電子チケット事業」と、それらに含まれない「その他事業」の3報告セグメントに大別される。2021年3月期第3四半期売上高9,185百万円の構成比はコンテンツ事業89.2%、電子チケット事業10.3%、その他0.5%だった。同四半期のセグメント利益はコンテンツ事業に含まれるEC事業がコロナ禍で中止・延期となったライブ、イベントグッズにて販売予定だった商品の取り扱いが増加したことから、前年同期比で、89.1%増と大幅増益となった。電子チケット事業とその他事業は赤字計上だった。

事業モデル

同社事業はスマートフォンやPC端末を利用するアーティスト等のファン向けに展開されている。
コンテンツ事業は、ファンクラブサイト運営やコンテンツ、アプリを作成しており、NTTドコモやau、ソフトバンクなどの通信キャリア、インターネットサービスプロバイダーへ提供し利用料を収受、ロイヤリティーをアーティスト等コンテンツホルダーに支払う。通信キャリア各社は「DAZN for docomo」「auスマートパスプレミアム」「5G LAB」など独自のコンテンツ配信サービスを展開しており、アーティストの独占映像などを積極的に配信している。同事業に含まれるEC事業はコンテンツホルダーより預かった商品の販売をファンクラブサイト等で販売
電子チケット事業は、電子チケットの販売やチケットトレード等を行う。コロナ禍でライブ、コンサートが中止、延期される中、ライブの生配信やオンライン配信の視聴パスを販売するプラットフォーム「StreamPass」のサービスを開始し、収益確保に努めている。
その他事業には上記に属さないアパレルや出版、プロダクション業務などが含まれる。

2021年3月期第2四半期 決算補足説明資料

競合他社

CCC傘下でファンクラブ運営、グッズECサービス等を提供する3995SKIYAKI(2020年1月期売上高48億円)、ファンクラブ会員管理システム「fanUP!」を運営する7868廣済堂(2020年3月期売上高350億円)などが挙げられる。

連結の範囲

持株会社である同社の傘下に、主要な事業子会社としてコンテンツ事業を行う株式会社Creative Plus、コンテンツ事業に属するファンクラブサイト運営を行う株式会社Fanplusなど合計8社の連結子会社を抱え、グループを形成している。

2021年3月期第2四半期 決算補足説明資料

強み・弱み

音楽業界出身者が多く業界に精通していることや、集客力の高いアーティストの発掘、企画に長けていることが強みと考えられる。また音楽コンテンツのみならずアニメコンテンツも保有していることは事業のリスク分散となっている。人気アーティスト、コンテンツの配信手法は近年のメディア産業の変化とともに目覚ましい速度で変化しており、コンテンツの提供先の新規開拓やコンテンツ事態をそれらへ対応させていけるかは課題。

KPI

同社が運営するファンクラブの会員数
音楽ソフト生産金額(2020年上半期832億円、一般社団法人日本レコード協会調べ)
音楽配信販売金額(2020年上半期377億円、一般社団法人日本レコード協会調べ)
ライブ、コンサート市場規模(2020年上半期533億円、一般社団法人コンサートプロモーターズ協会調べ)

業績

2019年3月期の株式会社EMTG(現株式会社Fanplus)の連結子会社化、2020年4月の持株会社体制への移行により、過去5期で比較すると足元は大幅に増収増益となっている。比較可能な単体の売上高や利益はほぼ横ばいで推移してきた。営業CFはプラス、投資CFは組織体制変更に伴う支出があり傾向は安定しないが2017年3月期と2018年3月期はプラスで積極的な投資支出はしていないもよう。2021年3月期第3四半期の自己資本比率は43.2%。