4484 ランサーズの業績について考察してみた

4484 ランサーズの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2024.Q1 2023.06 1,113 -54 -4.85%
FY2024.Q2 2023.09 1,098 52 4.74%
FY2024.Q3 2023.12 1,153 45 3.9%
FY2024.Q4 2024.03 1,209 32 2.65%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2020.Q3 2019.12 896 44 4.91%
FY2020.Q4 2020.03 1,031 -137 -13.29%
FY2021.Q1 2020.06 867 -16 -1.85%
FY2021.Q2 2020.09 931 2 0.21%
FY2021.Q3 2020.12 989 0 0%
FY2021.Q4 2021.03 1,081 50 4.63%
FY2022.Q1 2021.06 971 -41 -4.22%
FY2022.Q2 2021.09 1,033 -70 -6.78%
FY2022.Q3 2021.12 1,002 -121 -12.08%
FY2022.Q4 2022.03 1,067 -135 -12.65%
FY2023.Q1 2022.06 1,047 -136 -12.99%
FY2023.Q2 2022.09 1,195 -109 -9.12%
FY2023.Q3 2022.12 1,228 -59 -4.8%
FY2023.Q4 2023.03 1,338 55 4.11%
FY2024.Q1 2023.06 1,113 -54 -4.85%
FY2024.Q2 2023.09 1,098 52 4.74%
FY2024.Q3 2023.12 1,153 45 3.9%
FY2024.Q4 2024.03 1,209 32 2.65%

沿革

2008年4月、代表取締役社長CEOの秋好陽介氏は個のエンパワーメントを実現することを目的に株式会社リートを神奈川県に設立した。同年12月にクラウドソーシングサービス「Lancers」をリリース。現在、同社の主要サービスとなっている。2012年5月、ランサーズ株式会社へ商号変更。2020年12月に東証マザーズへ上場した。

株主構成

有価証券報告書によると2021年3月末日時点の筆頭株主は、代表取締役社長 CEOの秋好陽介氏が筆頭株主で47.4%を保有する。続いて、同社と合弁会社を設立しているパーソルホールディングス株式会社が4.7%を保有。以下、生命保険や国内外の金融機関が名を連ねる。外国人株式保有比率は10%以上20%未満。

取締役会

取締役4名(社内2名、社外2名)、監査役3名(全員社外、1名は常勤)、監査役会設置会社である。取締役の曽根秀晶氏は新卒でマッキンゼー・アンド・カンパニーへ入社。経営コンサルタントとして20以上のプロジェクトに従事した。その後、楽天株式会社にて国内営業・国内事業戦略、海外のM&A・PMI、そして全社企画・戦略を経験。35歳をひとつの区切りと考えてキャリアを見つめた際、同社がミッションとして掲げる「個のエンパワーメント」に共感して入社を決意。2015年2月に同社に入社、11月より取締役に就任している。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の秋好陽介氏は1981年1月生まれ。大学在学中にインターネット関連のビジネスを立ち上げ、年間3,000万円の利益を上げる。2005年に株式会社ニフティへ入社。インターネットサービスの企画・開発を担当する中で個人と法人のマッチングサービスを思いつき、同社の前身となる株式会社リートを2008年に設立した。

報告セグメント

同社資料よりPERAGARU_BLOG 作成

「プラットフォーム事業」の単一セグメント。セグメント内は3つの事業に大別される。「Lancers」を提供するマーケットプレイス事業、「Lancers Assist」、「Lancers Outsourcing」を提供するマネージドサービス事業、「Lancers Agent」を提供するテックエージェント事業である。2021年3月期の売上高構成はマーケットプレイス事業が1,022百万円で26.4%を占める。マネージドサービス事業は1,290百万円で33.4%を、テックエージェント事業は1,460百万円で37.8%を占める。
2021年3月期 通期決算説明資料

事業モデル

マーケットプレイス事業はオンラインで企業が直接利用するサービスで構成される。主力の「Lancers」はオンライン上で企業と個人が直接マッチングするサービスである。クライアントの依頼(発注)に対してランサーが依頼作業をおこなう。クライアントからランサーに支払った報酬額に料率を乗じた金額が取扱手数料となり、売上高に計上される。マネージドサービス事業、テックエージェント事業は同社グループを介在して特定のランサーに仕事を依頼する事業モデル。クライアントの依頼に対応したフリーランスを同社が厳選し、マッチング成立・再委託につなげる。同社グループが直接契約主体となるため、クライアントの依頼金額が売上となる。

2021年3月期 通期決算説明資料

兼業や副業を推進するトレンドもあり、2020年には1,062万人であったフリーランス人口は2021年2月には1,670万人に増加。フリーランスの経済規模も28兆円と、2020年と比較して11兆円の拡大が見られた。オンラインで仕事をおこなう領域に絞ると市場の規模は数百億円程度となるが、2030年頃には1兆円に成長すると見込まれる。

競合他社

総合型クラウドソーシングサイト運営で競合する国内上場企業として3900クラウドワークス(2020年9月期の売上高は8,728百万円で同社の約2.2倍)が挙げられる。直接競合はしないが、プロフェッショナル人材に特化したナレッジのシェアリングエコノミー事業を展開する4490ビザスクなども、事業領域が近く今後の動向に注意を要する。

連結の範囲

ランサーズエージェンシー株式会社、MENTA株式会社、Lancers Philippine Crowdsourcing Inc.の3社が該当する。ランサーズエージェンシー株式会社は「Lancers Agent」の運営を担う。またLancers Philippine Crowdsourcing Inc.は2021年8月現在、清算手続中である。

強み・弱み

プラットフォームの信頼性が強みである。ランサーには実名・顔写真の入力を推奨し、案件の完了率や評価などを含め一定の基準をクリアしたランサーを「信頼ランサー」に認定。クライアントに優先的に表示されるようになる。さらに信頼ランサーを増加・定着させる仕組みとしてオンラインメンターサービス「MENTA」やランサー向けコミュニティ「新しい働き方LAB」を運営する。教育を受けたランサーはスキルを活かしてそのまま「Lancers」にて仕事を獲得するサイクルを確立している。
クラウドソーシングサイトやスキルシェアサービスが増えて競争が加速する中、新規クライアント数を安定的に伸ばしていけるか、またリピート率を高めていけるかが今後の課題となる。

KPI

2021年3月期において、同社はマーケットプレイス事業に5億円の投資をおこなっている。よって、マーケットプレイス事業の新規・既存クライアントの流通総額がKPIとなりうる。
①新規クライアント流通総額 2021年3月期 794百万円(前年同期比+16.4%)
②既存クライアント流通総額 2021年3月期 4,722百万円(前年同期比+20.8%)

2021年3月期 通期決算説明資料

業績

2018年3月期から2021年3月期の業績を見ると、売上高、経常利益ともに安定して成長している。売上高は2.0倍に、経常利益は351百万円の赤字から48百万円へと黒字転換した。自己資本比率も42.5%から53.5%へと上昇している。財務CFはプラス推移、営業CFは2020年3月期までマイナスであったが、2021年3月期にはプラスとなっている。

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