3031 ラクーンホールディングスの業績について考察してみた

3031 ラクーンホールディングスの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1993年9月、東京都でラクーントレイドサービス(個人事業主)として創業。1995年9月有限会社ラクーントレイドサービスを設立。1996年5月株式会社に組織変更し、社名を株式会社ラクーンとする。1998年8月EC事業の足掛けとして過剰在庫品を取り扱う企業間取引サイト「オンライン激安問屋」をインターネット上に開設。2002年2月アパレル及び雑貨を取り扱う企業間取引サイト「スーパーデリバリー」を開設。2006年4月東証マザーズへ上場。2016年3月東証一部へ変更。2016年8月中小企業向けネット完結型の売掛保証サービス「URIHO(ウリホ)」をフィナンシャル事業として開設。2018年11月に持株会社体制へ移行し、社名を「株式会社ラクーンホールディングス」に変更。

株主構成

有価証券報告書によると2020年10月末時点の筆頭株主は代表取締役社長の小方功氏で24.1%を保有している。また、同社副社長の今野智氏が1.9%保有。その他は国内外の信託銀行等の信託口が中心である。外国人株主保有比率は10%以上20%未満

取締役会

取締役は8名(社内5名、社外3名)うち4名(社内1名、社外3名)は監査等委員監査等委員会設置会社である。取締役副社長の今野智氏は公認会計士の有資格者で有限責任あずさ監査法人入所を経て2000年に同社へ入社。プロパー社員や上場前後に中途入社した者など取締役の経歴は様々である。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の小方功氏は1963年7月生まれ。北海道大学工学部に入学し、在学中に米国ベンチャー企業訪問ツアーに参加し、将来の起業を決意。同大学を卒業後、1988年4月にパシフィックコンサルタンツ株式会社に入社。1992年に退職し、起業準備と中国語を学ぶために中華人民共和国、北京に一年間留学する。帰国後1993年9月に個人事業主として創業。

報告セグメント

「EC事業」、「フィナンシャル事業」の2報告セグメントに大別され、2021年4月期第2四半期の売上高2,149百万円の構成比は、EC事業62.4%、フィナンシャル事業37.6%である。同期のセグメント利益は、調整前合計537百万円の72.2%をEC事業、27.8 %をフィナンシャル事業で稼ぐ、同期の連結損益計算書上の営業利益は365百万円。

事業モデル

EC事業はアパレル・雑貨を取り扱う企業間取引サイト「スーパーデリバリー」と、企業間取引における受発注をインターネット上で一元管理できるクラウド型受発注システム「COREC」を運営。「スーパーデリバリー」はアパレルや雑貨を中心とするメーカーが卸販売したい商品をサイトに掲載し、それらの商品を求める事業者が仕入れを行うサービスで、商品代金はすべてスーパーデリバリーがメーカーに代わって回収するシステム。国内だけでなく海外向けサイト(SD export)も展開。出展企業、会員小売店の双方から月会費を徴収するほか、流通額に応じたシステム利用料を出展企業から徴収する収益構造。(なお、販路拡大の実現可能性をアピールポイントとしていることから、海外向けサイトでは月会費の徴収はなく、国内向けサイトにおいても海外事業者からは月会費を徴収していない。)「CORECO」は、サプライヤー・バイヤーともに無料プランで利用を開始でき、特定の機能を利用したいタイミングで有料プランへ移行し、月会費を徴収する収益構造。長引くコロナ禍における企業活動のデジタル化へのシフトにあることから同事業は拡大傾向にある。経済産業省の公表する「令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる 国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、日本のBtoB-EC市場は2015年から2019年までの4年間で22.8%成長している。

経済産業省 令和元年 電子商取引に関する市場調査 報告書P.8

フィナンシャル事業は売掛保証、家賃保証、決済代行で構成される。
売掛保証は、利用する販売側企業の事業規模や保証ニーズに応じて「T&G売掛保証」と「URIHO」の2種類を展開。「T&G売掛保証」では販売側企業から、サービス及び取引先の信用リスクの度合いにより異なる保証料を徴収する「URIHO」では年商10億円以下の企業に向けてサービスを展開し、年商に応じた月会費を徴収する。
家賃保証は、事務所、店舗等事業用途の不動産物件の家賃保証を専業で提供する「事業用家賃保証」と、住宅確保要配慮者など様々な入居者に対応可能な「居住用家賃保証」2種類を提供。
決済代行は、「請求書発行」から「代金回収」まですべてを代行するサービス「Paid」を展開。取扱高に応じた保証料を加盟企業から徴収する。

2021年4月期 第2四半期 決算説明資料
2021年4月期 第2四半期 決算説明資料

競合他社

スーパーデリバリーの競合として株式会社SynaBiz(3674オークファンの100%子会社)、CORECOの競合として、株式会社イーシー・ライダー(3753フライトホールディングスの子会社)3690株式会社イルグルム(旧社名、株式会社ロックオン)などは候補となる。その他、保証事業では3769GMOペイメントゲートウェイ、8771イーギャランティ、住居用家賃保証では7196CASA、7191イントラストなど複数の競合先が挙げられる。

連結の範囲

持株会社である同社の傘下に、主要な事業子会社としてEC事業を行う株式会社ラクーンコマース、フィナンシャル事業を行う株式会社ラクーンフィナンシャル及び株式会社ラクーンレント(旧社名、ALEMO株式会社)の3社を連結子会社として抱える。

強み・弱み

仕入れ意欲の高い小売店を顧客に持つこと、企業間電子商取引と決済代行を同時に行う仕組みでの先行者メリット、中小企業小口取引での与信リスク管理におけるノウハウを有することが強み。厳格な審査がもたらした商材点数の少なさ、保証事業において従業員1人当たりの売上高が少ないことが弱みとして挙げられる。

KPI

2021年4月期第2四半期のKPI実績は下記。
スーパーデリバリー会員小売店数 191,867店舗(前期末比+24,800店舗
出展企業数 2,112社(同+259社
商材掲載数 1,386,898点(同+239,607点
スーパーデリバリー流通額 4,669百万円(前年同期比+52.1%
「Paid」加盟企業数 3,900社以上前四半期末時点は3,800社以上
売掛金保証残高 18,835百万円(前年同期末比+24.7%、前四半期比+2.3%
家賃保証残高 6,941百万円(前年同期末比+14.7%、前四半期比+2.0%

業績

売上高・利益ともに安定的な成長を継続しており、2016年4月期から2020年9月までの4年間で売上高が1.5倍、経常利益は1.9倍となった。2019年4月期にGW10連休の影響から決算期をまたいだ入金日のずれ混みが生じ、営業CFはマイナスとなったが2期で平均すれば恒常的にプラスで推移。投資CFは毎期増減があるものの、恒常的にマイナス。財務CFは期により変動がある。2021年4月期第2四半期点で売掛金4,681百万円に対し貸倒引当金は227百万円、保証債務残高79,719百万円に対し保証履行引当金111百万円、求償債権は資産計上分61百万円と直接控除分277百万円.
自己資本比率は42.8%。