3031 ラクーンホールディングスの業績について考察してみた

3031 ラクーンホールディングスの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2022.Q4 2022.04 1,270 292 22.99%
FY2023.Q1 2022.07 1,273 314 24.67%
FY2023.Q2 2022.10 1,309 293 22.38%
FY2023.Q3 2023.01 1,331 285 21.41%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q4 2017.04 616 103 16.72%
FY2018.Q1 2017.07 612 106 17.32%
FY2018.Q2 2017.10 627 106 16.91%
FY2018.Q3 2018.01 648 122 18.83%
FY2018.Q4 2018.04 659 103 15.63%
FY2019.Q1 2018.07 669 133 19.88%
FY2019.Q2 2018.10 682 137 20.09%
FY2019.Q3 2019.01 811 123 15.17%
FY2019.Q4 2019.04 818 155 18.95%
FY2020.Q1 2019.07 818 175 21.39%
FY2020.Q2 2019.10 849 190 22.38%
FY2020.Q3 2020.01 864 162 18.75%
FY2020.Q4 2020.04 946 179 18.92%
FY2021.Q1 2020.07 1,084 344 31.73%
FY2021.Q2 2020.10 1,065 318 29.86%
FY2021.Q3 2021.01 1,097 297 27.07%
FY2021.Q4 2021.04 1,118 237 21.2%
FY2022.Q1 2021.07 1,134 259 22.84%
FY2022.Q2 2021.10 1,161 245 21.1%
FY2022.Q3 2022.01 1,224 330 26.96%
FY2022.Q4 2022.04 1,270 292 22.99%
FY2023.Q1 2022.07 1,273 314 24.67%
FY2023.Q2 2022.10 1,309 293 22.38%
FY2023.Q3 2023.01 1,331 285 21.41%

沿革

1993年9月に個人事業としてラクーンレイドサービスを創業。1995年9月に有限会社ラクーンレイドサービスを設立。1996年5月に株式会社ラクーンに改組。1998年8月に過剰在庫品の企業間取引サイト「オンライン激安問屋」を開設。2002年2月に新商品と定番品の企業間取引サイト「スーパーデリバリー」を開設。2006年4月に東証マザーズに上場。2016年3月に東証一部に上場、現在は東証プライム市場に区分。本社は東京都中央区。衣料品や雑貨の企業間電子取引サービス「スーパーデリバリー」を運営する。

株主構成

有価証券報告書によると、2022年4月末時点の筆頭株主は代表取締役社長の小方功氏20.4%、次いで日本マスタートラスト信託銀行株式会社の信託口が11.1%、JP MORGAN CHASE BANK 385839が9.9%、株式会社日本カストディ銀行の信託口が7.7%、次いでTAIYO FUND,L.P.が5.5%、その他は保有割合5%未満で取締役副社長の今野智氏や国内外の金融機関が並ぶ。外国人株式保有比率は20%以上30%未満

取締役会

取締役は9名(社内6名、社外3名)、監査等委員4名 (社内1名、社外3名)、監査等委員会設置会社である。プロパーは取締役の阿部智樹氏のみとみられる。取締役副社長の今野智氏は公認会計士資格を保有しており、有限責任あずさ監査法人等を経て、同社に入社。取締役の田邨知浩氏は株式会社システムハウス.アイエヌジーや株式会社ヒューマンシステムを経て、同社に入社。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の小方功氏は1963年7月生まれ。北海道大学工学部を卒業後、1988年4月に建設コンサルタント会社であるパシフィックコンサルタンツ株式会社に入社。1993年9月に同社の前身であるラクーンレイドサービスを個人事業として創業し、1995年9月同社を設立。2015年2月に現職に就任した。

報告セグメント

「EC事業」と「フィナンシャル事業」の2セグメントに区分される。2023年4月期第2四半期の売上高2,582百万円の内、EC事業が1,554百万円で60.2%、フィナンシャル事業が1,157百万円で44.8%を占める。
セグメント利益はEC事業が638百万円と高利益率で、フィナンシャル事業は264百万円と期によりムラがあるが利益率が高まりつつある。

事業モデル

EC事業では主力のアパレル・雑貨の企業間取引「スーパーデリバリー」やクラウド柄受発注システム「COREC」を運営する。スーパーデリバリーでは、アパレル・雑貨メーカーを中心にサイトに商品を掲載し、小売店や飲食店等の事業者がサイトから商品の仕入れを行う。商品代金は同社が回収し、メーカーの代金未回収のリスクに対応する。国内外でサービス展開しており、134か国の小売店や企業と取引が可能である。収益源は出展企業と会員の小売店から徴収する月会費と、出展企業から徴収する流通額に応じたシステム利用料である。現在は販路拡大に向けて海外事業者からは月会費を徴収していない。CORECでは、企業間取引で必要となる発注書や見積書をインターネット上での送受信を含めた一元管理サービスを提供する。サプライヤー・バイヤー共に無料プランと特定機能を追加した有料プランがあり、有料プランから得る月会費が主な収益源である。

会社HP  事業紹介>スーパーデリバリー

フィナンシャル事業では、売掛保証、家賃保証、決済代行の3つのサービスに区分される。売掛保証では、企業間取引における売掛金保証サービス「T&G売掛保証」とオンライン間ケル型で定額制・保証かけ放題の売掛品保証サービス「URIHO」を展開。中小企業向けの売掛債権保証を強みとしており、T&G売掛保証ではサービス内容や取引先の信用リスクに応じた月会費、URIHOでは利用プランに応じた月会費を徴収する。家賃保証では、事業用と居住用の2つの家賃保証サービスを提供。賃料の他に訴訟費用も保証内容に加えており、入居者から得る保障委託料を収益源とする。決済代行では、企業間取引における請求書の発行から代金回収までを代行する「Paid」を提供する。業種や企業規模に関係なく、オンライン取引とオフライン取引に対応。加盟企業から徴収する取扱高に応じた保証料が収益源である。
EC事業では、海外での事業拡大に向けてローカルサイト対象国の拡大や、中華圏や北米での広告投資を強化。またフィナンシャル事業において、T&G売掛保証とURIHOを統合予定であり、効果的な集客と幅広いサービス展開を目指す。

競合他社

商品流通ECプラットフォームを展開する3674オークファン (2021年9月期売上高8,344百万円) 、法人向けに後払い決済サービスを提供する3994マネ―フォワード (2021年11月期同15,632百万円)売掛金保証サービスが事業の主力である8771イー・ギャランティ (2022年3月期同7,894百万円)が競合として挙げられる。

連結の範囲

連結子会社3社を持つ。フィナンシャル事業を担う株式会社ラクーンフィナンシャルと、EC事業を担う株式会社ラクーンコマースの売上高はそれぞれ連結売上高の10%以上を占める。

強み・弱み

強みとしてEC事業とフィナンシャル事業における事業間の相乗効果が挙げられる。掛売り決済が主流の企業間取引では、代金の未回収リスクに対応するための与信管理費用が嵩みやすく、企業が取引において慎重にならざるを得ない。同社ではEC取引における販売・仕入れから決済に至るまで自社サービスにて一貫してカバーしており、通常では直接取引をするのが難しい中小規模企業における取引を支援する。
懸念点としてはフィナンシャル事業における与信リスクが挙げられる。

KPI

KPIにはスーパーデリバリーにおける①流通額、②購入客数、③客単価、④Paid取扱高、⑤掛金保証残高、⑥家賃保証残高が挙げられる

2023年4月期第2四半期 決算説明資料
2023年4月期第2四半期 決算説明資料
2023年4月期第2四半期 決算説明資料
2023年4月期第2四半期 決算説明資料
2023年4月期第2四半期 決算説明資料

業績

売上高は2017年4月期から2022年4月期にかけて倍増、トップライン、ボトムライン共に右肩上りの業容拡大を続けてきたが、2022年4月期は経常利益が前期比▲6.7%の減益となった。ファイナンシャル事業で保証履行額が上昇し売上原価が嵩んだこと、積極的なプロモーション活動による広告宣伝費が増加したこと、などが原因である。フリーCFは2019年4月期を除いてプラスを推移。2019年4月期は本社ビルの取得やM&Aにより、投資CFの支出が増加。2022年4月期の自己資本比率は37.6%であった

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