9424 日本通信の業績について考察してみた

9424 日本通信の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2023.Q2 2022.09 1,409 135 9.58%
FY2023.Q3 2022.12 1,559 249 15.97%
FY2023.Q4 2023.03 1,753 198 11.29%
FY2024.Q1 2023.06 1,715 267 15.57%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q4 2017.03 600 -355 -59.17%
FY2018.Q1 2017.06 706 -380 -53.82%
FY2018.Q2 2017.09 771 -316 -40.99%
FY2018.Q3 2017.12 770 -250 -32.47%
FY2018.Q4 2018.03 787 -147 -18.68%
FY2019.Q1 2018.06 834 -166 -19.9%
FY2019.Q2 2018.09 832 -161 -19.35%
FY2019.Q3 2018.12 894 -135 -15.1%
FY2019.Q4 2019.03 958 -40 -4.18%
FY2020.Q1 2019.06 932 -180 -19.31%
FY2020.Q2 2019.09 940 -124 -13.19%
FY2020.Q3 2019.12 833 -225 -27.01%
FY2020.Q4 2020.03 805 -141 -17.52%
FY2021.Q1 2020.06 755 -195 -25.83%
FY2021.Q2 2020.09 803 -195 -24.28%
FY2021.Q3 2020.12 863 146 16.92%
FY2021.Q4 2021.03 1,076 -4 -0.37%
FY2022.Q1 2021.06 1,056 24 2.27%
FY2022.Q2 2021.09 1,148 28 2.44%
FY2022.Q3 2021.12 1,182 147 12.44%
FY2022.Q4 2022.03 1,248 80 6.41%
FY2023.Q1 2022.06 1,353 158 11.68%
FY2023.Q2 2022.09 1,409 135 9.58%
FY2023.Q3 2022.12 1,559 249 15.97%
FY2023.Q4 2023.03 1,753 198 11.29%
FY2024.Q1 2023.06 1,715 267 15.57%

沿革

1996年5月携帯電話の法人向けサービス・プロバイダーとして東京都に設立。1997年1月法人向け携帯電話サービス(テレコム・サービス)を提供開始。2005年4月大証ニッポン・ニュー・マーケット-「ヘラクレス」(現 東証JASDAQグロース)に上場。2010年10月大証JASDAQスタンダードに市場変更。2015年6月東証一部に市場変更。モバイル通信サービスやモバイル・ソリューションを提供している

株主構成

有価証券報告書によると2021年9月末時点の大株主は、日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)が11.14%、NATIONAL FINANCIAL SERVICES LLC(常任代理人シティバンク、エヌ・エイ東京支店)が7.87%、MLPFS CUSTODY ACCOUNT(常任代理人BOFA証券株式会社)が7.68%を保有。そのほかに、株式会社SBI証券や松井証券株式会社、信託銀行などが並ぶ。
外国人株式保有比率は20%以上30%未満

取締役会

取締役は8名(社内2名、社外6名)、監査役は3名(全員社外)、監査役会設置会社である。代表権を持たない取締役は全員社外。社外取締役はアズビル、帝人、パナソニックの出身者の他、弁護士など多様な人材が揃う。

代表取締役の経歴

代表取締役会長の三田聖二氏は1949年6月生まれ。デトロイト大学の博士課程を修了後、コンレイル鉄道に入社。その後、ハーバード大学の上級マネージメントプログラム(A.M.P)を修了。シティバンク エヌ・エイやメリルリンチ証券、モトローラ・インク、アップルコンピュータ(現アップル)などの重役を務め、1996年5月に同社を設立。2015年6月に現職へ就任。
代表取締役社長の福田尚久氏は1962年7月生まれ。1982年11月に前橋ランゲージアカデミーへ入社。1986年3月に東京大学を卒業し、1992年にはダートマス大学経営大学院(MBA)を修了。その後、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)やアップルコンピュータ(現アップル)などを経て、2002年4月に同社の上席執行役員へ就任。2015年6月に現職へ就任。

報告セグメント

「日本事業」、「海外事業」の2報告セグメントに大別される。2022年3月期第2四半期の売上高2,204百万円の構成比は、日本事業97.3%、海外事業2.7%である。セグメント利益(又は損失)は、日本事業503百万円、海外事業▲11百万円であり、全社費用を差し引いた営業利益は52百万円であった。

2022年3月期第2四半期 決算説明資料

事業モデル

携帯電話事業者のモバイル通信ネットワークを活用し、同社グループが開発したサービスと組み合わせて、モバイル通信サービス及びモバイル・ソリューションを提供している。同社グループが提供しているモバイル・ソリューションには、モバイル専用線によるセキュアなネットワーク、マルチキャリアとの接続による冗長性を備えたデュアル・ネットワーク製品、ネットワークをEnd to Endで保守するための機器監視サービスなどがある。具体的には、「MVNO事業」と「イネイブラー事業」の2つに大別される
「MVNO事業」は、日本国内にて、主に個人顧客に対し、SIMカードや通信端末の形態でモバイル通信サービスを提供する事業。「日本通信SIM」や「bモバイル」等のブランドで展開している
「イネイブラー事業」は、「SIM事業」、「MSP事業(日本)」、「MSP事業(海外)」に大別される。「SIM事業」は、日本国内にて、主に個人顧客にMVNO事業を提供するパートナーに対して、各パートナーの要望に応じたモバイル通信サービスを提供する事業。「MSP事業(日本)」は、日本国内にて、MVNO、金融機関、決済代行事業者、システムインテグレーター、メーカー等のパートナーに対して、各パートナーの要望に応じたモバイル・ソリューションを提供する事業。「MSP事業(海外)」は、米国にて、金融機関等の法人顧客またはシステムインテグレーター等のパートナーに対して、各顧客またはパートナーの要望に応じたモバイル・ソリューションを提供する事業。
MVNO事業者は2020年12月末日時点で1,476社に達しており、その多くが格安SIMという単一セグメントに集中することで、MVNO業界は過当競争の状況になっている。そのような状況の中、同社は高収益・高成長企業に転換するための新事業戦略として、格安SIM事業者から他のMVNO事業者や金融機関、システムインテグレーター、メーカー等のパートナーに安全・安心な通信に基づくモバイル・ソリューションを提供するイネイブラー事業者に転換する方針を決定し、この戦略に沿って事業を遂行している。

競合他社

3774インターネットイニシアティブ(直近決算期売上高2,130億円)や3727アプリックス(直近決算期売上高33億円)など、MVNO事業を営む企業が競合として挙げられる。

連結の範囲

同社グループは、同社並びに連結子会社6社及び持分法適用関連会社1社で構成され、モバイル通信サービス及びモバイル・ソリューションを提供する事業を営む。

強み・弱み

機動的にサービス設計及び商品調達ができる点を強みとしている。モバイル通信サービスで使用する通信端末を複数の企業から調達しているが、調達条件はその時点の市場環境の影響を受ける。調達条件が悪化した場合には、事業原価の上昇や通信端末を適時に顧客に供給できないことによる事業機会の逸失により、業績に悪影響を及ぼすことが懸念される。また、競争が激化するMVO市場で競合他社との差別化の特色を打ち出しにくい点も構造的な懸念点である。

KPI

事業戦略として注力しているFPoS(エフポス、Fintech Platform over SIM、SIMカードに格納した電子証明書と暗号化機能、そしてこれらを活用した認証及び署名手続き) の実用化が同社の成長のカギとなるためその進捗をKPIとして挙げる。

2022年3月期第2四半期 決算説明資料

業績

2017年3月期から2021年3月期までの5期をみると、売上高は2,659百万円から3,497百万円、経常損失は▲1,650百万円から▲242百万円となっている。赤字が継続しているが、徐々に改善がみられる。営業CFは2021年3月期にプラス転換、投資CFは2018年3月期以外マイナス。2022年3月期第2四半期の自己資本比率は23.4%。

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