9467 アルファポリスの業績について考察してみた

9467 アルファポリスの業績について考察してみた

PERAGARU管理人

沿革

2000年8月、株式会社アルファポリスとして東京都に設立。同年9月、書籍出版化支援サービス「ドリームブッククラブ」を開始。Webサイトで人気のある小説・漫画などを書籍化する事業を営む。2007年10月、同社名を冠した「アルファポリス文庫」を創刊し、2008年2月に第1回「Webコンテンツ大賞」を開催。2014年10月、東証マザーズへ上場した。2015年5月、自社開発によるゲーム事業を開始する。2016年4月には同社Webサイトにて課金サービスをスタート。2017年2月、書籍化した作品を一定期間のみ閲覧できる「レンタル」サービスを開始した。2017年10月に9602東宝と業務提携している。

株主構成

有価証券報告書によると、2021年9月末日時点の大株主は代表取締役社長の梶本雄介氏が28.9%、同氏の資産管理会社である株式会社オフィス梶本の33.0%と併せて61.9%を保有する。ほか保有割合5%未満で信託銀行の信託口やプライベートバンクなど。また代表取締役社長以外に、梶本姓の大株主が3名見られる。外国人株式保有比率は10%未満である。

取締役会

取締役は4名(社内2名、社外2名)、監査役は3名(全員社外)、監査役会設置会社である。
取締役の大久保明道氏はトヨタファイナンス株式会社、SBIモーゲージ株式会社(現:7198アルヒ)と金融系の出身。2012年12月に同社に入社し、2013年12月より取締役を務める。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の梶本雄介氏は1969年12月生まれ。東京大学工学部を卒業し、1993年4月に2433博報堂へ入社する。広告代理店で働くうちにインターネットを利用した出版に可能性を感じ、2000年8月、同社を設立するに至った。

報告セグメント

会社資料よりPERAGARU_BLOG作成

出版事業の単一セグメント。2022年3月期第3四半期時点でのジャンル別売上高は「ライトノベル」1,870百万円(26.8%)、「漫画」4,908百万円(70.3%)、「文庫」166百万円(2.4%)、「その他」35百万円 (0.5%) である。

事業モデル

既存の出版社とは、書籍となるコンテンツの調達元と書籍化すべきコンテンツの選定方法が異なる点が特徴。同社が運営するWebサイトに投稿された小説・漫画などのコンテンツから、サイト内でのユーザー評価を参考に、書籍として出版するコンテンツを調達する。編集部でコンテンツの質・商品力を向上させた後に出版し、収益をあげる。紙書籍、電子書籍のどちらも取り扱っており、2022年3月期の売上高構成は紙書籍23.3%、電子書籍が70.8%である。2015年7月にTVアニメ化された「ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり」はノベルとコミックで累計630万部を突破。
継続的な新規コンテンツと、ユーザーを確保するための施策も講じている。たとえば毎月開催の「Webコンテンツ大賞」では、受賞者と、投票したユーザーにも抽選で賞金を贈呈する。また、人気コンテンツの作家に対して書籍化のチャレンジを促す「出版申請制度」、投稿の人気度に応じて報酬を支払う「投稿インセンティブ」など、作家のフォローにも努める。
今後は自社IPを活用し、ゲーム事業やキャラクター事業などのへの展開も目指す。
出版業界においては、2021年の紙と電子を合算した推定販売金額は1兆6,742億円(前年同期比+3.6%)となり、3年連続でプラスとなっている。紙の出版物が1兆2,080億円(同▲1.3%)、電子出版は4,662億円(同+18.6%)と、電子出版市場の拡大が続く。

同社HP HOME > 事業紹介

競合他社

小説投稿サイト「小説家になろう」を運営する株式会社ヒナプロジェクト、「MAGNET MACROLINK」を運営するUDリバース株式会社、「エブリスタ」を運営する株式会社エブリスタ(3678メディアドゥ子会社)などと比較されるが、3社とも自社出版をしていない
しかしインターネット上のコンテンツを書籍化するビジネスモデルが一部メディアですでに取り上げられており、今後の新規参入も予想される。

連結の範囲

連結の対象となる親会社・子会社を持たない。

強み・弱み

コンテンツ収集から書籍化までの全プロセスを自社で担い、出版時の成功率を事前に高められる点が強み。コンテンツ選定にあたってはWebサイトでのユーザー評価を参考にしており、書籍刊行にかかるコストを売上高で回収できないリスクを低減できている
一方で、ライトノベルへの依存度が高い点が懸念される。売上高の約28%をライトノベルが占め、約66%を占める漫画についてもライトノベルを原作とする作品が多い。取扱ジャンルの拡大を課題とし、「キャラ文芸大賞」、「歴史・時代小説大賞」、「絵本・児童書大賞」などイベントの幅を広げて新たなジャンルの開拓に取り組んでいる。

KPI

総コンテンツ数や月間UU数がKPIとなりうる。2022年3月期第3四半期の総コンテンツ数及び月間UU数は以下の通り。
①総コンテンツ数:156,899件(2019年3月期比1.6倍)
②月間UU数:467.5万人(2019年3月期比1.6倍)

2022年3月期 第3四半期決算説明資料

業績

売上高・利益ともに安定的な成長を継続しており、2017年3月期から2021年3月期までの5年間で売上高は2.4倍、経常利益は12.4倍となった。自己資本比率は75%を超えて安定推移。営業CFは安定してプラス、投資CFは恒常的にマイナスである。

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