9467 アルファポリスの業績について考察してみた

PERAGARU管理人

アルファポリスの事業概要

Webサイトで人気の小説・漫画などを書籍化する出版社。自社で運営しているWebサイトに投稿された小説・漫画などのコンテンツの中からのユーザーに評価の高い作品を選び編集、書籍化、出版をするという既存出版社とは異なる、新しいビジネスモデルを展開している。同社のホームページ「アルファポリス電網浮遊都市」はポータルサイトとコンテンツ投稿サイトなどを兼ねている。
2020年9月期売上高5,631百万円、営業利益1,462百万円。同会計期間は電子書籍売上が好調で、創業20周年キャンペーンの効果もあり、売上は大幅伸長。2020年9月期第2四半期時点で売上高及び営業利益は、過去最高を更新した。従業員数は102名(2020年9月末現在)。63名が編集部人員で、当期で12名増員している。

沿革

同社は2000年8月に東京都渋谷区恵比寿に設立され、2007年10月に同社名を冠した「アルファポリス文庫」を創刊し、2008年2月に第1回「Webコンテンツ大賞」を開催。2014年10月東京証券取引所マザーズへ上場後、2015年5月自社開発によるゲーム事業を開始した。その後2016年4月にWebサイトにて課金サービスを始め、2017年2月には書籍化した作品を一定期間のみ閲覧できる「レンタル」サービスを開始、2017年10月には東宝株式会社と業務提携した。

株主構成

2020年3月末時点で、代表の梶本氏及びその資産管理会社が、発行済株式数の62%弱を保有する。その他の大株主は銀行が19%、梶本幸世3.41%、梶本祥太朗2.48%、梶本遼二朗2.48%となっている。

取締役会構成

同社の取締役は4名(社内3名、社外1名)、監査役は3名(社外3名)であり、監査役会設置会社である。代表の梶本氏以外の取締役(社外を除く)は特殊法人出身者1名、金融出身者1名。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の梶本雄介氏は1969年生まれ、東京大学工学部卒業。1993年博報堂に入社。2000年に同社を設立。

報告セグメントと事業の構成、ビジネスモデル

同社が運営しているWebサイトに投稿された小説・漫画などのコンテンツの内から、サイト内でのユーザー評価を参考に、書籍として出版するコンテンツを調達。編集部でコンテンツの品質・商品力を向上させ、書籍として出版することで収益をあげている。2021年3月期第2四半期時点の各ジャンル別売上高は、「ライトノベル」1,088百万円 (28.8%)、「漫画」2,486百万円 (65.7%)、「文庫」131百万円 (3.5%)、「その他」77百万円 (2.0%) の構成である。また、同社は出版事業の単一セグメントであり、セグメント情報を記載していない。

(出典:アルファポリスHP)

競合他社

同社の小説投稿サイトがウェブ小説の「小説家になろう」(ヒナプロジェクト)「エブリスタ」などと比較されるが、両社は同社と異なり自社出版をしていない。コンテンツ収集から書籍化まで行う同社のビジネスモデルがメディアで取り上げられていることもあり、今後新規参入も予想される

連結の範囲

該当なし。同社は連結財務諸表を作成していない。

事業モデル

既存の出版社とは、書籍となるコンテンツの調達元と書籍化すべきコンテンツの選定方法が異なることが特徴。主な収入源となる書籍出版事業はライトノベルと漫画、文庫、その他書籍の4ジャンルを扱っている。
コンテンツを調達するWebサイト運営では、「Webコンテンツ大賞」や「出版申請制度」、「投稿インセンティブ」等のイベントやサービスを行い、継続的な良質のコンテンツの収集と多くのユーザーによる多角的な評価の維持への施策に努めている。
自社IPのゲーム事業やキャラクター事業、映像事業などへの積極的な展開も目指している。
メディア展開をした作品の中でも、2015年7月にTVアニメ化された「ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり」は、ノベルとコミックで累計546万部を突破している。

強みや弱み

コンテンツ集めから書籍化までの全プロセスを自社内で持つことで出版時の成功率を事前に高められることが強み。一方で同社は代表の梶本氏へ依存度が高く、今後の事業運営には人材の確保・育成が需要な課題となっている。

事業の盛衰

紙の出版物の市場は厳しい状況だが、一方で電子出版の市場は順調に成長している。キャンペーンや定期連載の実施による露出強化、販売形態の多様化に対応するなど、電子書籍のさらなる規模の拡大を図る。

KPI

総コンテンツ数や月間 UU数がKPIとして挙げられる。2020年9月期第2四半期の総コンテンツ数及び月間UU数は以下の通り。

懸念点

新規コンテンツ及びユーザーの継続的な確保のため作家・ユーザー数の拡大に懸念がある。
また売上高はライトノベルが37%、また売上高の57%を占める漫画も原作がライトノベルである作品が多く、ライトノベルへの依存度が高い。そのため課題として取り扱い書籍のジャンル拡大を挙げている。

実績の進捗

新型コロナウィルスによる経済活動の制限や外出自粛の影響により、紙の出版市場は厳しい状況にあるものの、電子出版の市場は順調に成長を続けている。コロナによる書店休業に対応するため延期になっていた書籍も、順次刊行し、刊行点数は計画通りの進捗になっている。2020年第2四半期の売上高は3,782百万円(前年同期比+54.6%)、営業利益は1,043百万円(同+66.8%)と、売上高、利益とも過去最高を大幅に更新