3857 ラックの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

システム開発の株式会社ラックとエー・アンド・アイ システム株式会社が経営統合し、2007年10月にラックホールディングス株式会社として設立、ジャスダック証券取引所に上場。2012年4月には子会社3社を吸収合併し、現社名である株式会社ラックへ商号変更サイバーセキュリティやシステムインテグレーションを手掛ける。

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月末時点の大株主は、創業者親族の資産管理会社とみられる有限会社コスモスが26.4%、次いでKDDI株式会社が5.4%、株式会社SHIFTが5.1%となっており、以降は信託口、従業員持株会などが名を連ねる。

取締役会

取締役は9名(社内5名、社外4名)、監査役は3名(社内1名、社外2名)、監査役会設置会社である。社内取締役のうち2名はKDDI出身者である。

代表取締役の経歴

代表取締役社長、執行役員社長の西本逸郎氏は1958年9月生まれ。熊本大学工学部中退後、1986年に合併前の旧株式会社ラック入社。1991年4月には旧株式会社ラック取締役となる。社執行役員、取締役・CTO(最高技術責任者)などを経て、2017年4月に代表取締役に就任。株式会社ブロードバンドタワーの社外取締役も務める。

報告セグメント

「セキュリティソリューションサービス(SSS)事業」と「システムインテグレーションサービス(SIS)事業」の2報告セグメントに大別され、2021年3月期第3四半期の売上 高30,280百万円の構成比はSSS事業は40.9%、SIS事業59.1%である 。全社共通費用等を含める前のセグメント利益は、SSS事業が1,003百万円に対しSIS事業が2,132百万円で、連結の営業利益は420百万円であった。

事業モデル

セキュリティソリューションサービス事業法人向け情報セキュリティサービスの提供が主力。企業向けのセキュリティ対策を、計画から導入・運用まで一貫して提供するセキュリティコンサルティングサービスに加え、「九州・沖縄サミット」でも活用されたJSOC(ジェイソック)と呼ばれる独自運用のセキュリティ監視センターなどを擁し、早期警戒情報の提供、サイバー保険(引受保険会社:損保ジャパン)、クラウド監視・ログ分析・次世代ファイアウォール・マルウェア検知などの製品と 、様々な関連サービスや製品を展開。
システムインテグレーションサービス事業は、法人向けシステム開発や保守などを手掛けており、基盤系システムやアプリケーションなどの開発・設計が主軸金融系システム開発に特に強く、銀行や保険などがメイン顧客だが、近年は情報サービス業・サービス業向けなど非金融系への取り組みも強化。
コロナウイルス感染症の拡大を受けて、在宅勤務の活用や企業でのDX推進が進む中、テレワーク環境ならではの情報セキュリティ事故対応の研修や、社外PC の不振な挙動検知と対応などのSSS事業への需要が高まっている。加えて、テレワーク支援や、マルチクラウド環境下の認証システムの構築などSIS事業も好調である。

第3四半期決算説明資料

競合他社

セキュリティソリューションサービス事業で競合する企業としては4288アズジェント(2020年3月期売上高3,126百万円)や、3042セキュアヴェイル(同1,190百万円)などが挙げられる。また、システムインテグレーションサービス事業では大小さまざまな先と競合する。

連結の範囲

連結子会社は7社、持分法適用会社は2社と多く、国内で8社、海外で1社である。このうち主要な子会社としてはデータセンター運用・保守サービスを展開する株式会社アクシスや、情報システムに関するサービスを手掛ける株式会社ソフトウェアサービスなどがある。また海外子会社は韓国ソウルに所在し、Web脆弱性診断サービスを提供している。

強み・弱み

日本国内発の情報セキュリティ企業として30年以上の歴史を持ち、金融機関や官公庁など1,000団体を超える顧客を擁する点が強み。21年4月16日付で過去の受注案件に係る入札不正発覚をうけて特別損失が計上されたように、同社に不正が無い場合にもSSI事業のシステム開発は事業特性上、長期滞留仕掛品が生じるリスクを抱える。また 、当社内でサイバー攻撃や情報漏洩の被害が発生した場合には、損害賠償だけでなくイメージダウンにより事業の本質に与える損失が大きいことも事業特性上のリスクである。

KPI

2020年3月期 の主要KPIは以下のとおり。積極的な従業員採用による減益が続いていることから、従業員数の推移も注意の必要がある。
①セキュリティソ リューションサービス事業売上高16,446百万円(前期比+7.2%)
②システムインテグレーションサービス事業売上高24,019百万円(前期比+2.7%)
③採用動向や従業員数の推移

業績

2016年3月期から2020年3月期まで 過去5期分の経営状況をみると、売上高は堅調に増加し36,896百万円から40,466百万円へ約1.1倍となった。一方、営業利益は管理部門の人材拡充や拠点新設に伴う費用増を背景に減少しており、営業黒字は前期比599百万円減の1,767百万円となった。営業CFは2019年3月期のマイナスを除けばプラス推移、投資CFはマイナスで推移する。財務CFは借入金の増加などを理由に2期連続のプラスとなっている。2021年3月期第3四半期の自己資本比率は47.4%であった。