4308 Jストリームの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

Jストリームの事業概要

同社はインターネットにおける動画配信の先端企業として、様々な情報発信やコンテンツ配信の手法を提供。提供したい情報にあわせたコンテンツの企画制作やウェブサイト構築・運用、あらゆる端末に対応した高品質で安定した配信サービスまでをワンストップで提供している。

沿革

1997年5月にリアル・ストリーム株式会社として設立。同年6月に株式会社ジェイストリームへ商号変更し、その後ライブストリーミング配信やオンデマンド配信サービスを開始。
2001年9月に東京証券取引所マザーズに上場。2002年11月に株式会社ジェイストリームから株式会社Jストリームに商号変更。

株主構成

筆頭株主はトランスコスモス株式会社で53.8%を保有。他に5%以上保有している株主はKDDI株式会社で、13.0%を保有している。

取締役会

同社の取締役は6名(社内3名、独立役員の社外3名) 。また執行役員は5名、監査役は4名(社内1名、独立役員の社外3名)であり、監査役会設置会社である。
社外取締役の石井健太郎氏は、大株主であるKDDI株式会社のソリューション事業本部ソリューション事業企画本部事業企画部長であり、2019年6月より同社の社外取締役として就任している。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の石松俊雄氏は1963年2月生まれ。静岡大学人文社会科学部を卒業後、1986年にリクルートへ入社。その後、1999年に株式会社Jストリームへ入社し、2008年に同社の代表取締役副社長、2014年に代表取締役社長へ就任した。

報告セグメント

同社は2021年3月期第1四半期より、事業セグメントを従来の「配信事業」「制作・システム開発事業」「その他の事業」の3セグメントから、「動画ソリューション事業」の単一セグメントへと変更している。2020年3月期までの3セグメントの売上高比率は5:4:1であったが利益は8割以上を配信事業で稼いでいた。動画を軸に多様化する顧客ニーズに対して複合的に対応する中で、収支を各事業に切り分けることが難しくなったものとみられる。

事業モデル

動画ソリューション事業の基盤となっているのが、自社開発のソフトウェア「J-Stream Equipmedia」自社で構築した大量のアクセスにも対応可能な配信ネットワークCDN(Content Delivery Network )である。
また、同社が開示している2021年3月期第2四半期決算説明会資料によると、業種別売上高比率はライブオペの配信などに活用する医療系企業が4割以上を占めている。

<図引用:同社2021年3月期第2四半期決算説明会資料>

医療系企業ほか一般企業やメディア企業が自社でコンテンツを配信しようとすると、安定した運用のために回線やサーバーを確保しなければならず、多額の投資が必要となる。同社のサービスは、多額のコストをかけずに安定した配信ができるだけでなく、配信する際の付随的なサービスが充実している。具体的には以下の機能を提供している。
・セキュリティ機能
・認証機能
・DRM(デジタル著作権保護)
・課金決済システム
・国内外判別配信
サービス全体を複合化し、顧客の課題解決に最適なソリューションとして提案している。
また動画配信市場は拡大を続けており、一般財団法人デジタルコンテンツ協会によると、2024年には3,440億円まで成長すると推定されている。

競合他社

動画配信市場は成長期にあるため、類似する企業は比較的多い。
動画配信プラットフォームでは米Brightcove(時価総額約7億ドル)など、CDN事業者としては米Akamai(時価総額約166億ドル)Amazon.com(時価総額約1.5兆ドル)などの企業が挙げられる。そのほかにも、自社会員へのサービスとして配信を行っている大手インターネットサービスプロバイダーや、副次的に配信サービスを提供するポータルサイト事業者なども同社と一部事業が重なる。※2021年1月時点での時価総額

連結の範囲

連結子会社は株式会社CO3、クロスコ株式会社、株式会社Jクリエイティブワークス、株式会社イノコス、株式会社ビッグエムズワイの5社である。Jクリエイティブワークスは、Jストリームの得意分野でもあるウェブサイト制作や運用支援を手掛ける企業で、2012年に連結子会社の株式会社バンドワゴンと株式会社BASIS PLANETの統合により設立。
株式会社ビッグエムズワイは、同社の売上高比率が高い医薬業界に特化したコンテンツ制作・運用を行う会社で、2019年に連結子会社となっている。

強み・弱み

動画配信事業のパイオニアとして長年培ってきた経験に裏打ちされた「専門性」、最新のシステムに基づく「信頼性」、企画から制作、配信、分析をサポートする「利便性」が強みである。また安定した配信や高度なセキュリティといった「高機能」という強みもあり、顧客からの評価が高い。弱みとしては、巨大企業を含む競合他社が多い点が挙げられる。

KPI

同社は動画制作やWebサイトの調査・企画から始まり、制作・開発、その後の運用・改善までのサービス全般を提供しているため、サービス提供による顧客の課題解決をKPIとしている。顧客における課題解決とは、動画のPV数増加、視聴ユーザーのコンバージョン率の向上、離脱率の低下など、様々な要素が想定される。

業績の進捗

同社の2016年3月期の売上高は4,955百万円であったが、2021年3月期の売上高は11,900百万円を計画しており、大きく成長している。特に今期の伸びが大きいが、「最先端の動画ソリューションを提供して顧客の問題解決を行い、社会の発展に寄与する」という同社のビジョンが、世の中のニーズに一致したことが要因と考えられる。
新型コロナウィルスの拡大により、人との接触機会を減らせる少人数によるライブ配信などの需要が急拡大したほか、従来から利用されていたオンデマンド配信の利用時間も増加。データ流量も増加し、ネットワーク需要(CDN)も急増した。そういった中、主力サービスのJ-Stream Equipmediaとライブ配信の売上高も急拡大している。引き続き良好と予想される市場環境の恩恵を今後も享受していくとみられる。