2150 ケアネットの業績について考察してみた

2150 ケアネットの業績について考察してみた

PERAGARU管理人

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2022.Q2 2022.06 2,052 662 32.26%
FY2022.Q3 2022.09 2,171 788 36.3%
FY2022.Q4 2022.12 2,882 563 19.54%
FY2023.Q1 2023.03 2,526 715 28.31%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q1 2017.03 690 136 19.71%
FY2017.Q2 2017.06 573 70 12.22%
FY2017.Q3 2017.09 686 114 16.62%
FY2017.Q4 2017.12 905 87 9.61%
FY2018.Q1 2018.03 796 175 21.98%
FY2018.Q2 2018.06 624 64 10.26%
FY2018.Q3 2018.09 629 77 12.24%
FY2018.Q4 2018.12 853 153 17.94%
FY2019.Q1 2019.03 683 124 18.16%
FY2019.Q2 2019.06 679 113 16.64%
FY2019.Q3 2019.09 784 161 20.54%
FY2019.Q4 2019.12 1,122 207 18.45%
FY2020.Q1 2020.03 821 189 23.02%
FY2020.Q2 2020.06 1,024 272 26.56%
FY2020.Q3 2020.09 1,340 575 42.91%
FY2020.Q4 2020.12 2,119 474 22.37%
FY2021.Q1 2021.03 2,058 849 41.25%
FY2021.Q2 2021.06 1,759 538 30.59%
FY2021.Q3 2021.09 1,818 626 34.43%
FY2021.Q4 2021.12 2,369 519 21.91%
FY2022.Q1 2022.03 2,222 838 37.71%
FY2022.Q2 2022.06 2,052 662 32.26%
FY2022.Q3 2022.09 2,171 788 36.3%
FY2022.Q4 2022.12 2,882 563 19.54%
FY2023.Q1 2023.03 2,526 715 28.31%

沿革

1996年7月、医療情報提供サービスを目的として株式会社ケアネット設立。2000年4月に医師・医療従事者向け会員制サイト「クラブ・ケアネット」をインターネット上に開設、同年10月にはインターネットによるマーケティング調査「eリサーチ」のサービスを開始。2004年7月、クラブ・ケアネットをリニューアルし、「CareNet.com」をオープン。2007年4月に東証マザーズ上場。2010年には医師会員数が10万人を超え、医師のための医療ソーシャルメディア「MRPlus®︎」、研修医向けeラーニングサービス「レジデントJapan」など多くのサービスを提供している。2015年5月、世界最大級の医療情報サイト「Medscape」を運営するWebMD社と業務提携。2018年9月、バイオベンチャーのサンバイオ株式会社との間で資本業務提携。医師・医療従事者に向けた臨床医学教育はじめ各種情報提供を事業とする。

株主構成

四半期報告書によると、2021年12月末時点での筆頭株主は、ヘルスケアビジネスと投資のプロ集団による医療に特化した投資事業会社Medical Incubator Japanの1号ファンドであるケアネット・イノベーション投資事業有限責任組合で18.27%保有。続いて、THE BANK OF NEW YORK MELLON 140040が8.72%、JP MORGAN CHASE BANK 380055が8.21%、BNYM NON-TREATY DTTが6.78%、株式会社アステムが6.13%、東京海上日動火災保険株式会社が5.07%を保有。以下は5%未満の保有率で、国内外の金融機関、創業者で代表取締役会長の大野元泰氏などが名を連ねる。2022年3月提出のコーポレート・ガバナンス報告書によると、外国人株式保有比率は20%以上30%未満

取締役会

取締役は6名(社内4名、社外2名)、監査役は3名(1名は常勤で社内、2名は非常勤で社外)、監査役会設置会社である。代表権を持たない社内取締役は、住友化学工業株式会社(現住友化学株式会社)、株式会社日経BP、ドコモ・システムズ株式会社、株式会社ロケーションバリュー(現株式会社DearOne)の出身者。社外取締役には医師、株式会社メディカルインキュベータージャパン代表が就任。

代表取締役の経歴

代表取締役は2名。代表取締役会長の大野元泰氏は1963年3月生まれ。東京大学卒業後、1986年4月に山一證券株式会社入社。コンサルティング会社、医療法人を経て1996年7月に同社設立、代表取締役社長に就任。2017年3月より現職
代表取締役社長の藤井勝博氏は1967年8月生まれ。佛教大学卒業後、1990年4月にサンド薬品株式会社(現ノバルティスファーマ株式会社)入社。1997年3月、同社入社。2002年9月に同社を退職し株式会社パナシアプラス代表などを務めるも、2011年1月に同社へ再入社。取締役などを経て2017年3月より現職

報告セグメント

「医薬DX事業」(DX=デジタルトランスフォーメーション)、「メディカルプラットフォーム事業」、「連結グロース事業」の3セグメントで構成される。2021年12月期の外部顧客への売上高8,004百万円の構成比は、医薬DX事業85.9%、メディカルプラットフォーム事業4.5%、連結グロース事業9.6%であった。また、同期の調整前セグメント利益3,946百万円の構成比は、医薬DX事業97.4%、メディカルプラットフォーム事業1.2%、連結グロース事業1.4%となった。売上高、セグメント利益の両面で医薬DX事業が主力となる。なお、国別では日本国内における売上が90%を超える。

事業モデル

事業運営の根幹をなすのは、19万人を超える医師が日々活用している医療情報プラットフォーム「CareNet.com」である。このプラットフォームを核に、医師・医療従事者に質の高い臨床医学教育などのサービスを提供する「メディカルプラットフォーム事業」を創業以来展開。このプラットフォームを活用し、製薬企業の医薬品の適正な普及を支援する「医薬DX事業」が同社の主力事業に成長。さらに、このプラットフォームを通じ患者と医師をつなぎ、データを分析して健康管理と適切な医療介入を行う「連結グロース事業」の開発を推進中。

2021年12月期第2四半期 決算説明資料 p.2

製薬業界は、新規医薬品の開発・普及においてDX化を積極的に推進している。主力の医薬DX事業では、同社が有する19万人を超える医師のデータベース及びプラットフォームを活用し、キー・オピニオンリーダー、専門医、プライマリケア医のそれぞれに対するエンゲージメントサービスを提供。

2021年12月期第2四半期 決算説明資料 p.4

競合他社

2413エムスリー(株)(売上高169,198百万円)、6095メドピア(株)(売上高7,435百万円)、3902メディカル・データ・ビジョン(株)(売上高5,672百万円)などの上場企業や、「日経メディカル」などのサービスが医療機関及び製薬企業向け医療・医薬品データの利活用や医師向けサイトでの情報提供を事業とする点で競合する。

連結の範囲

同社グループは、同社及び連結子会社7社で構成される。連結子会社のうち、総合ヘルスケアメディア「Doctors Me」を運営する株式会社アドメディカは、連結グロース事業の拡充を目的に2021年2月にM&A。

強み・弱み

新型コロナウイルス感染症の拡大によって、結果的にデジタルコミュニケーションのニーズが高まった点が追い風。特に、製薬企業向けeプロモーションサービス(MRPlus、Web講演会等)の需要増は、主力の医薬DX事業拡大に貢献。また、競合に挙げた中では、同社は高いポイント還元率が医師から評価されている。一方、競合との差を出しにくいビジネスである点は懸念点。医療費・薬価引き下げ、ジェネリック医薬品の普及、医療制度の変更など、企業努力では対応困難な外的リスクが存在する。

KPI

医師会員数などが主要なKPIとみられる。
医師会員数
・2021年12月末時点:193,946名
・2020年12月末時点:181,352名

業績

2011年12月期からの10年間で売上を5倍に伸ばすなど、順調に業容を拡大。特に新型コロナウイルス感染症拡大後の、2020年12月期及び2021年12月期の増収増益が顕著。2021年12月期は上場来最高の業績で、売上高8,004百万円(前期比+50.9%)、営業利益2,532百万円(前期比+67.7%)、経常利益2,556百万円(前期比+69.7%)となった。営業CFは2014年12月期以降に関しては恒常的にプラス、投資CFは2013年12月期以降については恒常的にマイナス。直近決算期の自己資本比率は75.6%。

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