3002 グンゼの業績について考察してみた

3002 グンゼの業績について考察してみた

PERAGARU管理人

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2023.Q1 2022.06 31,868 1,252 3.93%
FY2023.Q2 2022.09 35,482 1,554 4.38%
FY2023.Q3 2022.12 36,493 1,981 5.43%
FY2023.Q4 2023.03 32,187 1,025 3.18%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q4 2017.03 34,213 -813 -2.38%
FY2018.Q1 2017.06 33,005 2,035 6.17%
FY2018.Q2 2017.09 34,787 1,335 3.84%
FY2018.Q3 2017.12 38,089 2,568 6.74%
FY2018.Q4 2018.03 34,640 301 0.87%
FY2019.Q1 2018.06 33,642 1,882 5.59%
FY2019.Q2 2018.09 34,924 1,374 3.93%
FY2019.Q3 2018.12 37,956 2,814 7.41%
FY2019.Q4 2019.03 34,184 620 1.81%
FY2020.Q1 2019.06 34,168 1,584 4.64%
FY2020.Q2 2019.09 36,859 1,706 4.63%
FY2020.Q3 2019.12 36,655 2,800 7.64%
FY2020.Q4 2020.03 32,629 656 2.01%
FY2021.Q1 2020.06 25,689 315 1.23%
FY2021.Q2 2020.09 32,378 956 2.95%
FY2021.Q3 2020.12 34,563 2,498 7.23%
FY2021.Q4 2021.03 31,019 904 2.91%
FY2022.Q1 2021.06 28,291 1,555 5.5%
FY2022.Q2 2021.09 31,100 1,785 5.74%
FY2022.Q3 2021.12 33,359 2,108 6.32%
FY2022.Q4 2022.03 31,564 -568 -1.8%
FY2023.Q1 2022.06 31,868 1,252 3.93%
FY2023.Q2 2022.09 35,482 1,554 4.38%
FY2023.Q3 2022.12 36,493 1,981 5.43%
FY2023.Q4 2023.03 32,187 1,025 3.18%

沿革

1896年8月に生糸の製造・販売を目的として、郡是製絲株式会社を設立。1943年5月に郡是工業株式会社に商号変更。1946年8月にメリヤス肌着事業を開始。1949年5月に東証一部に上場。現在は東証プライム。1967年2月にグンゼ株式会社に商号変更。本社は大阪府。紳士用肌着で国内首位

株主構成

2022年3月期有価証券報告書によると、2022年3月31日時点の筆頭株主は株式会社日本カストディ銀行で13.99% 、次いで日本マスタートラスト信託銀行株式会社が11.19%、その他は保有割合5%未満で株式会社三菱UFJ銀行、8369京都銀行、全国共済農業協同組合連合会、グンゼグループ従業員持株会、第一生命保険株式会社、8101GSIクレオスと続く。その他には海外の金融機関が並ぶ。外国人株式保有比率は10%以上20%未満

取締役会

取締役は8名(社内5名、社外3名)、監査役4名 (社内2名、社外2名)、監査役会設置会社である。社内取締役は全員プロパーとみられる。代表権を有さない3名の社内取締役はそれぞれ研究開発部と財務経理部、アパレルカンパニーを統括する。

代表取締役の経歴

代表取締役会長の廣地厚氏は1960年1月生まれ。岡山大学文学部を卒業後、1983年3月に同社に入社。アパレル事業に長年に渡って従事し、2012年6月に取締役、2014年6月に常務取締役、2016年6月に代表取締役専務取締役、2017年4月に代表取締役社長を経て、2021年6月に現職に就任した。
代表取締役社長の佐口敏康氏は1961年11月生まれ。千葉大学教育学部を卒業後、1984年3月に同社に入社。プラスチックカンパニー長を歴任後、2014年6月に取締役、2017年6月に常務取締役、2018年6月に代表取締役を経て、2021年6月に現職に就任した。

報告セグメント

「機能ソリューション事業」、「アパレル事業」、「ライフクリエイト事業」の3セグメントに大別される。2022年3月期の売上高は124,314百万円で、機能ソリューション事業が56,138百万円で45.2%、アパレル事業が57,197百万円で46.0%、ライフクリエイト事業が11,576百万円で9.3%を占める。
セグメント利益は機能ソリューション事業が中心に創出し、利益率は機能ソリューション事業が1桁後半から10%台前半、ライフクリエイト事業が1桁台、アパレル事業は以前は1桁前半を推移していたがコロナで赤字転落している。

事業モデル

機能ソリューション事業は機能資材分野と機械類分野、メディカル材料分野の3分野に区分される。機能資材分野には食料品に使用される包装用フィルムに使用されるプラスチックフィルム分野と、OA機器や産業分野の製造工程で使用される機能部品を製造・販売するエンジニアリングプラスチックス分野、医療機器や包装機器等の販売を行う電子部品分野が含まれる。飲料に使用されるシュリングフィルムでは国内シェア約40%を占め、トップシェアを誇る。また、パソコンや家電向けのタッチパネルは1200種類以上のラインナップを展開。機械類分野では印刷・食品関連機械の製造・販売を行う。メディカル材料分野は医療現場で使用される各種メディカル材料を製造・販売する。手術時に使用される不織布である吸収性組織補強材は国内シェア90%、傷口に貼付する吸収性人工皮膚は国内シェア40%を占める。同事業の製造・販売は国内連結子会社2社が行い、販売は同社が行う。また海外では現地の連結子会社が製品の製造から販売までを担う。
アパレル事業には、インナーウエアやレッグウエア、ホームウエアを扱う衣料品分野と、各種ミシン糸を扱う繊維資材分野が含まれる同事業における年間販売枚数は1億3,000万枚(2020年度)に及び、メンズインナーでは国内トップシェアを誇る。女性用インナーでは3591ワコールホールディングスに次いで国内2位のシェアを占める。繊維資材では、衣料用ミシン糸から車のエアバッグ用のミシン糸等といった産業用資材まで幅広く扱う。製造から販売に至るまで国内連結子会社に委託し、海外での販売は中国やインドネシアの連結子会社を通して行う。
ライフクリエイト事業では、同社工場跡地の不動産再開発や緑化樹木の販売、スポーツクラブの運営、太陽光発電を行う。緑化樹木の販売事業において、樹木取扱本数は200万本、樹木と花苗の取扱品種は3,200品種に上る。スポーツクラブは国内で22店舗、海外では2店舗を運営する。太陽光発電事業は同社が行い、その他事業はそれぞれ国内連結子会社が担う。
海外売上高比率は15.6%である。(2021年3月期)
機能ソリューション事業ではプラスチックフィルムと医療機器分野において、アメリカと中国を海外事業の重要拠点に位置付けて販売強化を目指す。またアパレル事業ではECチャネルでの販売強化を行い、営業のデジタル改革を推進する。

競合他社

インナーやレッグウエアの国内大手メーカー3529アツギ (2022年3月期売上高21,445百万円)、婦人用インナーで国内首位の3591ワコールホールディングス (同172,860百万円)、老舗レッグウエアメーカー8013ナイガイ (2022年1月期同13,465百万円)が競合として挙げられる。

連結の範囲

連結子会社48社を持つ。海外にはアメリカに2社、中国に13社、香港に3社、台湾に1社、ベトナムに3社、インドネシアに2社、タイに1社の連結子会社を有する。

強み・弱み

強みとして複数製品における国内シェアの高さが挙げられる。同社は紳士用インナーやシュリンクフィルム、医療用の吸収性人工皮膚・吸収性組織補強材において国内トップクラスのシェアを獲得。中でも紳士用インナーと吸収性組織補強材についてはシェア2位以下と大きく差をつける。機能ソリューション事業とアパレル事業のそれぞれに高シェア製品を有し、単一事業に売上が依存することなく、事業リスクの分散を実現する。
一方、医療機器分野においては法令や社内規定が厳しく設けられており、懸念点として法令違反の発生による信用リスクが挙げられる。

KPI

KPIにはセグメント別営業利益構成比が挙げられる。そのほか、ROA、ROE、総資産、自己資本、自己資本比率、有利子負債額、BPSをKPIとして会社は提示している。

2022年3月期 決算説明資料
2022年3月期 決算説明資料

業績

売上高は2017年3月期から2019年3月期にかけて、プラスチックフィルム分野とエンジニアリングプラスチックス分野が好調に推移し、+3.0%に増加。2020年3月期にかけては消費増税によるアパレル事業や不動産再開発事業での売上低下が響き、前期比▲0.3%の減少となった。2021年3月期は、新型コロナ流行による飲料向けフィルムやオフィス向けOA製品の売上減少やアパレル事業における店頭販売の不振が響き、前期比▲11.9%に減少。2022年3月期は微増を維持したがほぼ横ばい。経常利益は2017年3月期から2019年3月期にかけて+53.1%に増益も、2021年3月期は▲28.8%に減益。2022年3月期は前期比+5.9%と増益に転じた。フリーCFは2017年3月以降、プラスを推移。自己資本比率は60%台前半を推移していたが、2021年3月期は71.1%に改善し、足元は71.3%となっている

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