3109 シキボウの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1892年8月設立(有限責任伝法紡績会社、大阪市此花区)、1944年3月敷島紡績株式会社(大阪市東区)に商号変更、1949年5月東証・大証・名証に上場、2002年4月シキボウ株式会社に再度商号変更(大阪市中央区)した。130年近い歴史を誇る紡績の名門だが、繊維事業の競争力が低下し、現在は遊休土地を活用した不動産賃貸が安定収益源となっている

株主構成

有価証券報告書によると、2020年9月30日時点の第1位株主は日本マスタートラスト信託銀行株式会社信託口(自己株式除く発行済株式総数に対する所有割合5.57%)、第2位株主はシキボウ従業員持株会(同4.57%)である。安定大株主とみられる保有が少なく、その他、シキボウ取引先持株会、テックス・テクノロジー株式会社(同社との関係不明)、株式会社鴻池組、東京海上日動火災保険株式会社などが5%未満の保有で並ぶ。

取締役会

取締役6名(社内4名、社外2名)、うち監査等委員が3名(常勤の社内1名、社外2名)、監査等委員会設置会社である。代表取締役の清原幹夫氏、および取締役の大森良行氏と竹田広明氏の3名はプロパー出身、常勤監査等委員(取締役)の邨上義一氏は大和銀行(現りそな銀行)出身、監査等委員(社外取締役)の山條博通氏は大和銀行(現りそな銀行)出身、野邊義郎氏は東陽監査法人出身である。なお山條博通氏は泉州電業(9824)常勤監査役との兼務である。

代表取締役の経歴

代表取締役社長執行役員の清原幹夫氏は1959年8月生まれ。1983年4月入社、繊維部門衣料第一事業部長、インドネシア子会社の代表取締役社長、経営企画室などを経て、執行役員、取締役、取締役上席執行役員を歴任し、2016年6月代表取締役社長執行役員に就任(現任)した。

報告セグメント

繊維事業、産業材事業、不動産・サービス事業の3セグメントである。2021年3月期第3四半期累計の構成比(調整前)は、売上高が繊維事業51.6%、産業材事業32.1%、不動産・サービス事業16.3%で、営業利益が繊維事業▲20.9%、産業材事業18.4%、不動産・サービス事業102.5%だった。不動産・サービス事業が利益の柱となっている。

事業モデル

繊維事業は繊維製品(糸、布、ニット、二次製品など)の製造販売、産業事業は工業用品(製紙用ドライヤーカンバス、フィルタークロスなど)・産業機械(加工機械など)・化成品(食品添加物など)・陶磁器の製造販売、不動産・サービス事業は不動産賃貸・ゴルフ場経営・リネンサプライ業・物流倉庫業などを展開している。
生産拠点は、繊維事業と産業材事業において、国内(富山工場、八幡工場、八日市工場、鈴鹿工場、長野事業所、国内製造子会社)と、アジア(インドネシアと中国の製造子会社、およびベトナムの協力会社)に展開している。
不動産・サービス事業は遊休土地を活用して、兵庫県姫路市と高知県高知市における大規模商業施設(ショッピングセンター)の店舗賃貸を主力としている

事業説明会(繊維セグメント 今後の展開について)資料

競合他社

紡績を発祥とする企業には東洋紡(3101)、ユニチカ(3103)、富士紡ホールディングス(3104)、日清紡ホールディングス(3105)、クラボウ(3106)、ダイワボウホールディングス(3107)、日東紡(3110)、オーミケンシ(3111)などがある。日本の紡績・繊維産業の競争力低下に対応して、多くの企業は素材・電子部品・自動車部品・IT機器などの分野に事業構造を転換している

連結の範囲

2020年3月期末時点でグループは同社、および子会社26社で構成されている。主要な連結子会社は、繊維事業の株式会社マーメイドアパレル、新内外綿(3125)、産業材事業の敷島カンバス株式会社、株式会社大和機械製作所などである。

強み・弱み

発祥の繊維事業は、高機能・高付加価値製品を生産する国内工場と、ボリュームゾーンを生産する海外工場を併せ持ち、紡績・製繊・編み立て・加工・縫製を自社で一貫生産できることを強みとしている。ただし競争力低下で規模再拡大の可能性は小さいと考えられる。
また産業資材分野では、子会社の敷島カンバスが製紙用カンバスや水処理用クロスで国内トップシェアを有し、機能材料分野の化成品と複合材料を新中核事業と位置付けているが、成長ドライバーとして事業が拡大しているとは言い難い状況にある。

KPI

繊維事業の売上高は、2016年3月期の28,662百万円から2020年3月期の20,321百万円まで減少し、規模縮小が継続している。

業績

過去5期間の連結業績の推移を見ると減収減益傾向にあり、売上高は2016年3月期の45,676百万円から2020年3月期の38,037百万円、営業利益は2016年3月期の3,077百万円から2020年3月期の1,979百万円、経常利益は2016年3月期の2,511百万円から2020年3月期の1,595百万円に減少した。なお2019年3月期にはゴルフ場関連の減損損失を計上して最終損益が赤字となった。
不動産・サービス事業の営業利益は2016年3月期の1,956百万円から2020年3月期の1,904百万円へと大きな増減はないが、成長性に欠ける。一方で繊維事業は規模縮小が継続し、産業材事業は景気変動の影響を受ける傾向がある。安定収益源の不動産賃貸に依存している状況に大きな変化はない
自己資本比率は概ね30%台で推移している。自己資本比率の改善が課題だが、営業キャッシュ・フローは継続してプラスを維持しており、財務の健全性に当面の大きな懸念はないだろう
新中核事業と位置付けている機能材料分野(化成品や複合材料)の事業展開と収益拡大が今後の課題となる。

2021年3月期 第2四半期 決算説明会資料