3201 日本毛織の業績について考察してみた

3201 日本毛織の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2022.Q1 2022.02 25,598 2,356 9.2%
FY2022.Q2 2022.05 28,018 2,831 10.1%
FY2022.Q3 2022.08 26,334 2,575 9.78%
FY2022.Q4 2022.11 29,098 2,945 10.12%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q1 2017.02 25,284 1,737 6.87%
FY2017.Q2 2017.05 26,696 2,345 8.78%
FY2017.Q3 2017.08 24,120 1,603 6.65%
FY2017.Q4 2017.11 27,398 2,663 9.72%
FY2018.Q1 2018.02 25,722 1,722 6.69%
FY2018.Q2 2018.05 27,508 1,854 6.74%
FY2018.Q3 2018.08 25,944 1,858 7.16%
FY2018.Q4 2018.11 31,364 2,934 9.35%
FY2019.Q1 2019.02 27,856 1,639 5.88%
FY2019.Q2 2019.05 31,020 2,628 8.47%
FY2019.Q3 2019.08 31,489 3,291 10.45%
FY2019.Q4 2019.11 36,036 2,914 8.09%
FY2020.Q1 2020.02 25,856 1,832 7.09%
FY2020.Q2 2020.05 26,595 2,368 8.9%
FY2020.Q3 2020.08 24,041 2,421 10.07%
FY2020.Q4 2020.11 28,423 2,427 8.54%
FY2021.Q1 2021.02 23,779 2,062 8.67%
FY2021.Q2 2021.05 26,753 2,637 9.86%
FY2021.Q3 2021.08 26,025 2,481 9.53%
FY2021.Q4 2021.11 30,062 2,720 9.05%
FY2022.Q1 2022.02 25,598 2,356 9.2%
FY2022.Q2 2022.05 28,018 2,831 10.1%
FY2022.Q3 2022.08 26,334 2,575 9.78%
FY2022.Q4 2022.11 29,098 2,945 10.12%

沿革

1896年12月日本毛織株式会社を設立。1949年5月東証一部に上場。1961年1月ニッケ不動産株式会社を設立(現・連結子会社)。1964年4月日本でのウールマーク使用認可第1号を取得。1967年11月アカツキ商事株式会社を設立(現・連結子会社)。1988年11月ショッピング・飲食・スポーツなどの複合施設「ニッケコルトンプラザ」を千葉県市川市に建設、賃貸・営業開始。2002年8月不織布・フェルト製造のアンビック株式会社を子会社化(現・連結子会社)。2006年8月スポーツ用品・釣糸・産業資材製造・販売の株式会社ゴーセンを子会社化(現・連結子会社)。衣料繊維製品や繊維資材製品の製造及び販売、商業施設の開発・賃貸等を営む

株主構成

有価証券報告書によると2021年5月末時点の大株主に5%以上の保有者はなく、筆頭株主は株式会社株式会社みずほ銀行4.46%、株式会社三井住友銀行4.46%、日清紡ホールディングス株式会社3.85%、日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)3.78%、株式会社三菱UFJ銀行3.54%である。そのほか、株式会社竹中工務店、日本生命保険相互会社、株式会社日本カストディ銀行(信託口)、ニッケ従業員持株会、住友不動産株式会社と並ぶ。外国人株式保有比率は10%以上20%未満。

取締役会

取締役は8名(社内5名、社外3名)、監査役は4名(社内2名、社外2名)、監査役会設置会社である。代表権を持たない社内取締役4名はいずれもプロパー。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の富田一弥氏は1959年4月生まれ慶応義塾大学を卒業後、同社に入社。執行役員、常務執行役員などを経て、2013年2月に取締役兼常務執行役員へ就任。非繊維事業の育成などに大きく貢献した。2016年2月に現職へ就任。

報告セグメント

「衣料繊維事業」、「産業機材事業」、「人とみらい開発事業」、「生活流通事業」の4報告セグメント及び報告セグメントに含まれない事業セグメントである「その他」に大別される。2021年11月期第2四半期の売上高50,532百万円の構成比は、衣料繊維事業26.2%、産業機材事業18.1%、人とみらい開発事業32.0%、生活流通事業20.2%、その他3.5%である。セグメント利益は、衣料繊維事業1,021百万円、産業機材事業460百万円、人とみらい開発事業3,016百万円、生活流通事業1,004百万円、その他10百万円であり、調整額を差し引いた営業利益は4,699百万円であった。

事業モデル

衣料繊維事業は、毛糸・ユニフォーム織物素材と製品、紳士及び婦人のファッション織物素材と製品などの衣料繊維製品の製造及び販売を行う。そのほか、織物の製織加工、ニット製品の製造、毛糸の製造(撚糸)、毛糸の染色加工、耐切創、防刃・防護テキスタイルの製造販売等も行っている。学校や官公庁、一般企業の制服のほか、自衛消防隊や消防本部向け防火服も手掛けている。衣料繊維事業では、ユニフォーム分野の需要は安定しているものの、次の成長ドライバーとなる事業を探索中。
産業機材事業は、不織布・フェルトなどの繊維資材製品、テニス・バドミントンガット、釣糸、産業資材の製造・販売、産業向け機械の設計・製造・販売、環境・エネルギーシステムの設計・施工・メンテナンス等を行う。自動車関連や環境関連など、幅広い分野に向けて製品を提供している
人とみらい開発事業は、ショッピングセンターなど商業施設の開発・賃貸・運営、不動産の建設・販売・賃貸、乗馬・ゴルフ・テニス等のスポーツ施設運営、キッズランド運営、介護事業、保育事業、携帯電話販売やビデオレンタル等のフランチャイズ業を行う。
生活流通事業は、毛布・寝装用品、手編毛糸、家具、馬具・乗馬用品、100円ショップ向け日用雑貨卸、スタンプ・スタンプインクの製造販売、倉庫管理・構内運送等を行う。
その他は、医療機器販売等を行う。

2021年11月期第2四半期 決算説明会資料

新型コロナウィルスの影響により厳しい経営環境となっている。影響は軽微とのことだが衣料繊維事業ではスクールユニフォームのモデルチェンジが減少し、ビジネスユニフォームは企業活動の縮小均衡から新規需要が停滞、テキスタイルは海外アパレルが停滞し、国内市場は縮小傾向のもよう。産業機材事業では、自動車販売台数の減少・設備投資縮小からFA機器や自動車関連資材は当面減少すると同社はみている。人とみらい開発事業では、ショッピングセンターにおけるテナント賃料減額要請の影響はあるものの、市場は回復基調。今後、新型コロナウィルスの影響が長引けばテナント退店などの影響も出る可能性を残す。生活流通事業では、Eコマースやネット通販市場は好調に推移しているとみられる。

競合他社

3202ダイトウボウ(直近決算期売上高46億円)、3204トーア紡コーポレーション(直近決算期売上高147億円)など、紡織会社が競合として挙げられる。

連結の範囲

同社グループは、同社、連結子会社55社及び持分法適用関連会社4社を中心に構成され、衣料繊維事業、産業機材事業、人とみらい開発事業、生活流通事業を行う。

強み・弱み

原料から織物までの一貫生産体制を基盤に、制服用素材に求められるウール由来の先端素材やハイブリッド素材などの開発に実績を有する点が強み。重要な取引先の業績の悪化や当該製品に関する事業の撤退、大規模な在庫調整、生産調整あるいは当該製品の大幅な値下げ要求等が生じた場合、業績に影響を及ぼすことが懸念される。また、同社は取引先を中心に、政策保有目的の株式を相当量保有しているとみられ、株価が大幅に下落した場合の影響が大きいことも懸念される。

KPI

セグメント別業績等のほか、KPIとみられる開示は下記。
羊毛相場
②為替相場

2021年11月期 第2四半期決算説明資料

業績

2016年11月期から2020年11月期までの5期をみると、売上高は100,982百万円から104,915百万円、経常利益は7,649百万円から12,655百万円。直近期は新型コロナウィルスの影響がみられるものの、各事業売上高は安定している。なお2020年5月に資本業務提携した株式会社フジコーを持分法適用関連会社としたため、2020年11月期に負ののれんの計上に伴い、経常利益は過去最高益を更新している。営業CFは恒常的にプラス、投資CFは恒常的にマイナス。自己資本比率は60%台で安定推移。

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