3001 片倉工業の業績について考察してみた

3001 片倉工業の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1873年に創業後、1895年に片倉組を設立して製糸事業を拡張。1920年3月に片倉製糸紡績株式会社に改組。1939年9月に旧官営の富岡製糸場を合併。1943年11月に片倉工業株式会社に商号変更。1949年5月に東証一部に上場。1954年5月に衣料品事業、1975年4月に小売事業を開始。本社は東京都中央区。不動産事業や衣料品事業、機械関連事業、繊維事業等の多角的な事業展開が特徴

株主構成

2021年12月期第2四半期報告書よると2021年6月末時点の筆頭株主は8031三井物産で6.5%。次いでみずほ信託銀行株式会社有価証券管理信託が6.0%。損保保険ジャパン株式会社が5.1%、株式会社みずほ銀行が5.0%、農林中央金庫が5.0%と続く。以降は保有割合5%未満で1801大成建設、明治安田生命保険相互会社、8804東京建物、国内外の信託銀行等の信託口などが並ぶ。外国人株式保有比率は10%以上20%未満

取締役会

取締役は7名(社内4名、社外3名)。監査役4名 (社内2名、社外2名)。監査役会設置会社である。代表取締役社長を除く社内取締役の3名はプロパーとみられる。取締役会長の佐野公哉氏は2013年3月に常務取締役、2015年3月に代表取締役社長、2019年3月に代表取締役会長を経て2020年3月に現職に就任した。常務取締役の古田良夫氏は連結子会社の日本機械工業株式会社の代表取締役社長を兼任する。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の上甲亮祐氏は1961年8月生まれ。一橋大学経済学部を卒業後。1985年4月に株式会社みずほ銀行に入社し、2017年4月に理事に就任。同年5月に同社常勤顧問に就任後。2018年3月に専務取締役を経て2019年3月に現職に就任した。

報告セグメント

「不動産事業」、「医薬品事業」、「機械関連事業」、「繊維事業」の4セグメントに大別される。報告セグメントに含まれない事業として、ビル管理サービスや交配用ミツバチの販売等を含むその他がある。2021年12月期第2四半期の売上高は22,697百万円で、不動産事業が4,596百万円で20.2%、医薬品事業が7,899百万円で34.8%、機械関連事業が6,168百万円で27.2%、繊維事業が3,155百万円で13.9%。その他が877百万円で3.9%を占める。
2021年12月期は調整前セグメント利益の7割以上を不動産事業が創出。利益率は不動産事業が30%台後半、医薬品事業が1桁前半。機械関連事業と繊維事業がマイナスから1桁前半を推移する。

事業モデル

不動産事業では全国でショッピングセンターや住宅展示場、企業主導型保育所などの運営及び不動産賃貸を行う。製糸工場跡地等の社有地を活用しており、所有・管理物件数は全国で19箇所に及ぶ。最も収益性の高い事業で同社では中核事業として位置付ける。
医薬品事業では不整脈や心不全等の医薬品を製造・販売する。連結子会社であるトーアエイヨー株式会社が事業を担い、循環器領域に特化した医薬品の開発やジェネリック医薬品の製造を行う。自社開発品ではテープに強みを持ち、持続型狭心症治療薬の「フランドルテープ」や経皮吸収型β1遮断剤「ビソノテープ」の販売実績を有す。国内内では少子高齢化の進行により循環器領域の医薬品需要の増加が見込まれる。
機械関連事業では連結子会社の日本機械工業株式会社にて消防自動車や防災機器を製造し。国内外で販売する。消防自動車では国内2位のシェアを誇る。従来では自動車部品や工業用洗浄機、工業用バルブ等の設計・製造・販売事業も行っていたが、2020年11月に撤退。採算性の改善のため新規事業領域の拡大を図る。
繊維事業では肌着や靴下。エプロン等の各種衣料品の開発から販売までを行う。連結子会社の株式会社ニチビでは機能性繊維の製造・販売。オグランジャパン株式会社では肌着やエプロンの企画・販売やブランドライセンス業務を担う。物流拠点の統合や高付加価値商品である介護衣料品の商品拡充等により、収益力強化を狙う。
その他事業では交配用ミツバチの販売やビル管理事業等を行う。ビル管理事業は連結子会社の株式会社片倉キャロンサービスが担う。
国内での売上が連結売上高の9割以上を占める。また主要な顧客は4503アステラス製薬で、連結売上高の31.2%(2020年12月期)を占める

競合他社

機能性繊維を始めとする衣料品を手掛ける 3002グンゼ(2021年3月期売上高123,649百万円)、消防自動車で国内トップシェアを誇る6455モリタホールディングス(同84,667百万円)が競合として挙げられる。

連結の範囲

連結子会社6社と非連結子会社3社を持つ 。連結子会社の医薬品事業を担うトーアエイヨー株式会社と機械関連事業を担う日本機械工業株式会社は、それぞれ連結売上高に占める売上高の割合が10%を超える。

強み・弱み

強みとして多角的な事業展開が挙げられる。不動産事業、医薬品事業、械関連事業。繊維事業を展開する同社では。連結売上高の40%を超える事業がない点が特徴に挙げられる。事業部間でのつながりが多く、幅広い顧客層に向けたアプローチを可能とする。また近年では事業の構造改革に着手。採算性の高い新規事業を開拓する一方で、不採算事業を撤退または大幅に縮小することで事業基盤の安定化を目指す。
懸念点には、医薬品事業における医療政策の売上高への影響や、医薬品開発過程で開発を継続できない事象が発生した場合の研究開発費の未回収リスクが挙げられる。

KPI

KPIには①セグメント別売上高構成比と②設備投資額、③研究開発費が挙げられる
①セグメント別売上高構成比(2020年12月期)
②設備投資額:2,910百万円(同)
③研究開発費:2,190百万円(同)

2020年12月期 決算説明会資料
2020年12月期 決算説明会資料

業績

売上高は長期的に420 億円から480億円前後で安定推移。直近ピークは2015年12月期の485億円で、そこから2019年12月期の443億円まで低下傾向にあった。なお。2020年12月期は、新型コロナ流行下における商業施設の休業や営業時間短縮による賃貸収入の減少や、機械関連事業での消防自動車や衣料品の売上減少を受けて、396億円(前期比▲10.0%)と400億円を割り込んだ。経常利益は2016~2018年12月期の20億円台から2019年12月期は34億円。2020年12月期は45億円と水準を切り上げている。不採算事業の事業撤退や、既存事業の収益性改善により大幅な増益となった。2019年12月期以降、事業改革を進めたことで経常利益率は改善傾向にある。フリーCFは2017年12月期を除き、プラスを推移。自己資本比率は40%台前半を推移する