8016 オンワードホールディングスの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1927年10月樫山商店として創業。1947年9月樫山商事株式会社を設立。1960年10月東京・大阪・名古屋各証券取引所第二部へ上場。1964年7月東京・大阪・名古屋各証券取引所第一部へ指定替え。1988年9月株式会社オンワード樫山に社名変更。2007年9月会社分割による純粋持ち株会社体制へ移行、株式会社オンワードホールディングスに商号変更。アパレル関連事業を中心に 展開している。

株主構成

有価証券報告書によると2020年8月末時点の大株主は、公益財団法人梶山奨学財団が6.42%、以下5%未満の保有で信託銀行の信託口、オンワードホールディングス取引先持株会、日本生命保険相互会社、第一生命保険株式会社、株式会社三井住友銀行、東レ株式会社などが並ぶ。

取締役会

取締役は6名(社内4名、社外2名)、監査役は4名(社内2名、社外2名、2名は常勤)、監査役会設置会社である。代表権を持たない社内取締役3名は、いずれもプロパー社員である。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の保元道宣氏は1965年9月生まれ。東京大学を卒業後、通商産業省(現経済産業省)に入省。その後2006年5月に同社へ入社し、2015年3月に現職へ就任。株式会社オンワード樫山の取締役、株式会社オンワードデジタルラボの代表取締役社長も兼任。

報告セグメント

「アパレル関連事業」、「ライフスタイル関連事業」の2報告セグメントに大別され、2021年2月期の売上高174,323百万円の構成比はアパレル関連事業80.0%、ライフスタイル関連事業20.0%である。セグメント損益は、アパレル関連事業が▲20,165百万円、ライフスタイル関連事業が147百万円であり、調整額を差し引くと▲21,230百万円であった。2020年2月期から海外事業の構造改革に伴う費用計上や国内の実店舗の不振が続き、2期連続で営業損失を計上している。

事業モデル

主要事業であるアパレル関連事業は、オリジナルブランドの「23区」「自由区」「ICB」「組曲」が基幹ブランドで、百貨店主要ブランドとして「J.PRESS」や「五大陸」、海外ブランドの「JOSEPH」、「Paul Smith」、「DAKS」「TOCCA」などの百貨店主要ブランド、「any FAM」などのショッピングセンターブランド、海外の著名デザイナー、ファッションハウスも取り扱う。分種別には、婦人服が7割を占め、紳士服は約2割、子供服やその他も扱う。販売チャネルはコロナウイルス感染症拡大の影響から急速にECシフトが進むが、2020年2月期までは百貨店で62.3%を占め、次いでECが16.8%の他、SC・アウトレットやその他と続く。2021年2月期は連結合計で売上高に占めるECの比率は23.8%であった。ラグジュアリー分野の高価格帯の商品の取扱いが中心で、従来は百貨店への出店でリアル販路を拡大してきたが、ここにきて急速にオンラインストアのメリットを融合したOMO(Online Merges with Offline)ストアとして都心中心型から都心・郊外バランス型へ切り替えている。国内事業と海外事業に分けて管理しており、海外事業の欧州地区はオンワードラグジュアリーグループの生産事業やジル・サンダーなどのブランド事業を運営。アジア地区は、中国で外部パートナーと組んでネットビジネスや新たな販路を開拓中。北米地区は「J.PRESS」ブランドを中心に展開し、オーダーメイドスーツ事業も開始している。
ライフスタイル関連事業は、バレエ用品の「Chacott」、ダンス、フィットネス用品などを展開し、ダンススタジオを運営。また、雑貨・ペット関連用品、サービスも展開。海外では蕎麦会席レストラン「円(YEN)」を運営する。
現在、新型コロナウィルス感染拡大の影響による厳しい経営環境の中、直営オンラインストア「オンワード・クローゼット」をはじめとしたEコマースでの売上高は大きく伸長しているものの、実店舗の売上高が減少。仕入の抑制や固定費の削減に努める一方、不採算事業であったイタリア事業などからの撤退、不採算ブランドの廃止、国内外の不採算店舗の撤退等を遂行している。また、中期経営ビジョン「ONWARD VISION 2030」を策定しており、アパレルセグメントのビジネスモデル改革を図りつつ、ライフスタイルセグメントの拡大を図るとしている

中期経営ビジョン「ONWARD VISION 2030」

競合他社

アパレル業界では、国内外に競合が多数存在する。

連結の範囲

2021年2月期における連結子会社数は63社。紳士服、婦人服等の繊維製品の企画、製造および販売(アパレル関連事業)を主な事業内容とし、更にライフスタイル関連事業を行う。

強み・弱み

同社は90年以上の長い業歴を有し、長年培ったノウハウをもとにした重厚なモノづくりを得意としていることが強み。デザイナー変更により人気急上昇中のジルサンダーなど、アパレル事業で変化の兆しが見えつつあることも好感される。一方で、景気変動による個人消費の低迷、他社との競合、ファッショントレンドの急激な変化などへの対応は今後も課題である。

KPI

既存店及び全店の店舗売上及びEコマース売上の月次が開示されている。リアル販路においては購買率・来店客数・客単価など、ECにおいては訪問者数・購入割合・平均購入単価などがKPIと想定される
・2021年年度4月 売上前年比
店舗売上 ‐既存店 514.2% ‐全店 342.6% (前年同月は緊急事態宣言による店舗閉鎖)
Eコマース売上 ‐既存店 87.7% ‐全店 92.2%

業績

2017年2月期から2021年2月期までの5期をみると、売上高は244,900百万円から174,323百万円、経常利益又は損益は5,577百万円から▲21,230百万円と減収減益。2020年2月期より経常損失となっており、不採算店舗の撤退や海外事業の構造改革、新型コロナウィルスの影響による実店舗の売上高減少などが要因とみられる。営業CFは2020年2月期まではプラスだが、直近期はマイナス、投資CFは期によってばらつきがあるが、直近期はプラス。2021年2月期における自己資本比率は38.3%。