4176 ココナラの業績について考察してみた

4176 ココナラの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2024.Q1 2023.11 1,398 97 6.94%
FY2024.Q2 2024.02 1,380 88 6.38%
FY2024.Q3 2024.05 1,450 114 7.86%
FY2024.Q4 2024.08 2,360 5 0.21%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2021.Q2 2021.02 638 58 9.09%
FY2021.Q3 2021.05 727 48 6.6%
FY2021.Q4 2021.08 769 -86 -11.18%
FY2022.Q1 2021.11 880 -227 -25.8%
FY2022.Q2 2022.02 907 -221 -24.37%
FY2022.Q3 2022.05 1,000 56 5.6%
FY2022.Q4 2022.08 1,050 -130 -12.38%
FY2023.Q1 2022.11 1,089 -220 -20.2%
FY2023.Q2 2023.02 1,106 72 6.51%
FY2023.Q3 2023.05 1,161 -72 -6.2%
FY2023.Q4 2023.08 1,323 94 7.11%
FY2024.Q1 2023.11 1,398 97 6.94%
FY2024.Q2 2024.02 1,380 88 6.38%
FY2024.Q3 2024.05 1,450 114 7.86%
FY2024.Q4 2024.08 2,360 5 0.21%

沿革

2011年7月創業者の個人事業、ウエルセルフとして活動を開始。2012年1月株式会社ウエルセルフを設立し法人化。2012年7月「ココナラ」をリリース。2014年6月株式会社ココナラに商号変更。2021年3月東証マザーズ上場個人の知識・スキル・経験を売買するマーケットプレイス「ココナラ」を運営する

株主構成

有価証券報告書によると2021年8月末時点の筆頭株主は、同社代表取締役で創業者の南章行氏で保有割合9.65%。共同創業者の新明智氏が9.54%、フィデリティ投信が7.05%で続き、以降は保有割合5%未満で海外金融機関、ベンチャーキャピタル、国内信託銀行信託口が並ぶ。外国人株式保有比率は30%以上

取締役会

取締役は4名(社内2名、社外2名)、監査役は3名(全員社外)、監査役会設置会社である。社内取締役2名はともに代表権を持つ。

代表取締役の経歴

代表取締役会長の南章行氏は1975年6月生まれ。慶應義塾大学卒業後、英国オックスフォード大学経営大学院修了。1999年4月現三井住友銀行に入行。2004年1月株式会社アドバンテッジパートナーズに入社し企業買収を担当。2012年1月に同社を設立し、以降代表取締役を務める
代表取締役社長CEOの鈴木歩氏は1982年9月生まれ。早稲田大学卒業後、2006年4月現6098リクルートホールディングスに入社し、事業開発や海外経営企画を経験。2016年5月同社に入社。執行役員、取締役を経て、2020年9月より代表取締役を務める

報告セグメント

ココナラ事業とココナラ法律相談事業の2報告セグメントに大別される。2022年8月期第1四半期売上高880百万円の構成比は、ココナラ事業が約9割、ココナラ法律相談事業が約1割。両セグメントとも赤字となっている。

事業モデル

主力事業の「ココナラ」は、多種多様な知識・スキル・経験に基づくサービス・役務の売買を行うマーケットプレイス。購入者は制作・ビジネス系の9カテゴリと、相談・プライベート系の6カテゴリに分類される約53万件(2021年8月現在)に及ぶ各種出品サービス・役務から必要となるものを選択・購入が出来る。同社は出品者によるサービス提供終了時に手数料(出品者が取引金額の20%、購入者が5%)を受領する。購入者層は男女がそれぞれ約半数、年齢層は20代~40代が中心。

2022年8月期第1四半期決算説明資料

ココナラ法律相談は、弁護士とユーザーのマッチングサイト。登録弁護士に関する情報をサイト上に掲載するが、掲載内容により無料プランと有料プランに分かれる。有料プランは成果報酬型では無く、料金体系に基づいた固定の月額利用料金を登録弁護士より広告料収入として受領する。
同社が所属するシェアリングエコノミー市場は、潜在労働力となっている専業主婦やシニア、失業者などの新たな収益源などとして今後も拡大が見込まれる。但し未成熟な市場であると考えられるため、法令整備や取引に関するトラブル等安全性に関わる問題、利用者ニーズの変化などにより市場環境は変化する可能性があるものと考えられる。

競合他社

クラウドソーシングの競合として、4484ランサーズ(2021年3月期売上高3,868百万円)、3900クラウドワークス(2021年9月期売上高7,769百万円)などが該当する。非上場企業でもスキルクラウドを運営する株式会社ヒューマン・コネクトストアカを運営するストリートアカデミー株式会社などが競合するとみられる。ココナラ法律相談事業の競合は、日本最大級の法律相談ポータルサイトを運営する6027弁護士ドットコム(2021年3月期売上高5,318百万円)などが考えられる。

連結の範囲

連結子会社は1社。2022年1月に設立したスタートアップ企業を資金と専門スキルの両面から支援する株式会社ココナラスキルパートナーズ。

強み・弱み

「ココナラ」は国内最大級の規模を誇ることが強み。サービスを検討する上で、購入者側の判断基準のひとつとして利用する評価数や購入履歴等データの蓄積が結果として他社の参入に対する障壁となっている。また同社によると一度利用したユーザーは継続して利用する傾向があり、既存顧客層からの継続・安定した収益構造を有しているとのこと。一方でTVCM等の投資が嵩んでいるため今後の収益拡大が課題となる。

KPI

ココナラ事業は流通高を構成する購入UU(各期間内に有料サービスを購入したユニークユーザー数)と一人当たり購入額を重要KPIとし、流通高にテイクレート(≒手数料率)を掛けたものが営業収益となる。
①購入UU:141,338人(2022年8月期第1四半期)
②一人当たり購入額:20,786円(同)
③テイクレート:27.6%(同、前期比+0.9%)

2022年8月期第1四半期決算説明資料

ココナラ弁護士相談事業では以下をKPIとしている。
④登録弁護士数:3,118人(同、前期比+348人)
⑤有料登録弁護士数:835人(同、前期比+103人)
⑥ARPPU(Average Revenue Per Paid User):97,246円(同、前期比+3,182円)
⑦解約率:0.9%(同、前期比+0.2%)

2022年8月期第1四半期決算説明資料

業績

確認可能な2019年8月期以降の業績をみると、営業収益は1,138百万円から2021年8月期には2,746百万円に成長。経常利益、当期利益は2021年8月期に黒転となった。但し2022年8月期はTVCM投資などにより同社は赤字になることを見込んでいる。フリーCFは2020年8月期から2期連続プラス。有利子負債はゼロで、自己資本比率は57.3%(2021年8月期)

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