6579 ログリーの業績について考察してみた

6579 ログリーの業績について考察してみた

PERAGARU管理人

ログリーの事業概要

Web記事内容を解析し、おすすめ記事の表示や広告を自動配信するサービスを提供する。提供しているサービスの主力商品はwebの媒体主がコンテンツのオススメやネイティブ広告(web記事に合った広告をコンテンツの中に混ぜて掲載)のLOGLY lift for Oublisherと、決められた広告枠にネイティブ広告を出稿するLOGLY liftである。いずれもネットユーザーへの空気を読むネイティブ広告としてwebページのデザインに溶け込み、ユーザーの体験に合わせた広告配信を行っているネイティブ広告プラットフォームとして、業績を拡大している。
得意分野はネイティブ広告と相性の良い健康・美容関連だがそれ以外の領域への開拓、あるいは誰でも簡単に動画やweb媒体の解析が可能な顧客獲得支援サービスを投入することでマーケティング事業の拡大を目指している。従業員数は57名 (2020年9月末時点)。前期末時点では50名で業績の拡大とともに増員している。
・沿革
同社は2006年に栃木県足利市にて設立され、翌2007年には東京都内に本社を移転。2009年に現主力商品につながるレコメンドサービス「newziaコネクト」の提供を開始。2012年には現在の主力商品に成長したネイティブ広告配信サービスの「LOGLY LIFT」の提供を開始する。2016年には海外進出を果たし、台湾にて「LOGLY lift」のOEM提供を果たす。2018年6月には東京証券取引所マザーズに上場。 2019年10月に強みを生かした2本目の成長の柱としてユーザー分析DMPサービスの「Juicer」を展開している。
・株主構成
2020年9月末時点の大株主は、同社の代表取締役社長吉永浩和氏(24.4%)をはじめ経営陣が大株主に名をつらねている。その他は同業であるアイティメディア社(4.1%)が挙げられる。
・取締役会構成
同社の取締役は6名(社内3名、独立役員の社外3名。)、監査役3名 (独立役員の社外3名)であり、監査役会設置会社である。監査等委員である取締役を除く3名のうち代表取締役の吉永氏と岸本氏は株式会社ソフトウエアマネジメント(現CAICA)出身。池永氏はソフトバンクで取締役を務めた後、当社取締役に就任といずれも上場企業出身。
・代表取締役の経歴
代表取締役社長の吉永浩和氏は1977年生まれ。大学卒業後、株式会社ソフトウエアマネジメント(現CAICA)に入社。その後早稲田大学大学院に進学し分散処理に関する研究をし、近い将来「ログデータ」が大きな価値を持つ時代が来ると予想しログデータを活用した起業を決意。当社を設立する。
・報告セグメントと事業の構成、ビジネスモデル
同社はネイティブ広告プラットフォーム事業の単一セグメント。2020年3月期の顧客別販売実績は株式会社レギネ(487百万円)、株式会社アドスタイル(276百万円)となっている。
・競合他社
ネット広告を広義にみればGoogle社などクラウド型の広告プラットフォームを展開している会社は多数あり、知名度からすれば最も競合になる。一方でネット記事と親和性の高い広告表示(空気を読む広告)に限定すると、そのニッチ性からライバルはほぼいない。
・連結の範囲
企業への投資、VC事業を展開するログリー・インベストメント株式会社が100%子会社。ログリーの経営陣が役員を兼任している。

ネイティブ広告プラットフォーム事業

・事業モデル
同社の主力商品は日本初のネイティブ広告プラットフォームの「LOGLY lift」である。従来インターネット広告といえばバナー広告でクリック数に応じて報酬が支払われる型が主流だったものの、閲覧者側のマンネリとともにクリック数が減少されつつあった。その弱点を補い、更にインターネットサイトと親和性の高いサービスとしてネイティブ広告を同社が開発。
※インターネット広告の94%はクリックされない。

同社のネイティブ広告は記事と生地の合間に埋め込む「インフィード広告」と閲覧履歴などから導き出された「レコメンド・ウィジェット」の2通りの表示方法を採用。記事に関係なく表示するバナー広告ではなく、サイトによって異なるWEB媒体のデザインに馴染ませて広告表示させるのがバナー広告との違いである。

コロナ禍の在宅環境における現在はインターネット閲覧の機会の増加に比例してネット広告閲覧数も増加しており、特需状態である。
・強みや弱み
ネット広告は時にWEBページを重たくしてしまったり、広告によってページが見づらくなってしまったりするが「LOGLY lift」はwebページとの親和性が高く自然な形で広告が表示され、しかもその表示される広告が閲覧者の興味をひくものであり従来のネット広告より高いクリック率が期待できる点が強みである。
逆に広告から流入しなくとも自社の社名あるいは商品名が繰り返し表示される事に意味があると考える媒体主やライトユーザーにとっては従来の広告出稿で十分であるとも考えられる。そういった層は安価な広告を求めているため広告流入の優位性が確保できなくなった場合は、同社の強みが消え、むしろ弱みとなる可能性がある。
・事業の盛衰
ネイティブ広告もサービス提供から多少時間が経過し、サイト閲覧者も広告に見慣れつつあるため広告のクリック率の爆発的な上昇は期待できない。またGoogleをはじめとする大企業が様々な形でも広告提供サービスを行っており、他の商品とのクロスセルや、より高度な広告表示サービスが求められる。
・KPI
中長期における成長方針は以下の通り。
①既存事業の2022年3月期の売上高成長規模4.5倍へ(2017年度比)

②新規事業によるイノベーション創出
③既存事業と連携した新規事業の立ち上げ(クロスセル)

売上目標達成のためにwebサイト閲覧者が媒体主の望む行動を起こす事(CV)が重要となる。いくら広告を表示しても流入数が少ない場合はCVの値を増加させる事が困難となるため、広告に接触→広告に流入→成果を断続的にかつマンネリ化させない仕組み作りが目標達成の鍵である。
そのためには興味関心のきっかけづくり、興味関心の醸成、購入までの導線(直接購入か別経路での購入か)web閲覧者の購入意欲の向上といった広告出稿技術が求められる。

・懸念点
同社の営業利益率は安定せず、直近の2020年3月期(2.34%)、2019年3月期(7.39%)とムラがあり、四半期毎の営業利益率の変動幅も大きく、利益率は外部環境に左右されやすい業態と言える。
・業績の進捗
2021年3月期第2四半期の売上高は2,255百万円(前年同期比+179..9%)とコロナ特需もあり堅調に推移。営業利益は162百万円(前年同期比+675%)と、売上に比例して変動費は伸びているものの固定費は抑えられており高収益を実現。
新型コロナの影響が落ち着くまでは同社にとって追い風の環境であり、将来に向けた新商品開発も進めており中長期的に成長を加速できる環境は整っているものの想定外に早いコロナ収束など外部環境の変化には気を配りたい。