4886 あすか製薬ホールディングスの業績について考察してみた

4886 あすか製薬ホールディングスの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1920年6月神奈川県にて帝国社臓器薬研究所を創設。1929年6月株式会社帝国社臓器薬研究所に改組。1945年10月帝国臓器製薬株式会社に商号変更。1955年9月東証に上場、1993年9月東証一部に変更。2005 年10月グレラン製薬株式会社と合併、あすか製薬株式会社に商号変更。2021年4月あすか製薬株式会社が株式移転によりあすか製薬ホールディングス株式会社を設立、東証一部に上場。2022年4月市場区分の見直しによりプライム市場へ移行4502武田薬品工業と親密な、婦人科領域に強い製薬会社

株主構成

有価証券報告書によると2022年3月末時点の筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行の信託口で保有割合11.47%。4502武田薬品工業が7.80%、4559ゼリア新薬工業が6.36%で続き、以降は保有割合5%未満で国内銀行、生保、信託銀行信託口、同社代表取締役山口隆氏などが並ぶ。外国人株式保有比率は10%以上20%未満

取締役会

取締役は8名(社内5名、社外3名)、監査役は4名(社内2名、社外2名)、監査役会設置会社である。代表権を持たない社内取締役2名はいずれもプロパーとみられ、うち1名は代表取締役山口氏の親族。

代表取締役の経歴

以下の3名が代表取締役に該当。
取締役社長の山口隆氏は1952年5月生まれ。東京薬科大学卒業後、1978年4月現あすか製薬株式会社入社。1987年12月取締役、1991年6月に代表取締役社長就任。ホールディングス設立に伴い2021年4月より同社代表取締役を務める。
専務取締役の丸尾篤嗣氏は1959年2月生まれ。1981年現三菱UFJ銀行入行。2010年10月執行役員としてあすか製薬株式会社に入社、2019年6月には代表取締役就任。2021年6月より同社代表取締役を務める
専務取締役の山口惣大氏は1983年12月生まれ。山口隆氏の親族にあたる。一橋大学大学院修了後、2008年4月6501日立製作所入社。2011年5月弁理士として登録。2016年2月あすか製薬株式会社に入社し、2021年6月よりあすか製薬株式会社の代表取締役社長および同社代表取締役を務める

報告セグメント

医薬品事業の単一セグメントだが、報告セグメントに含まれないその他として、動物用医薬品、臨床検査および医療機器等の事業を行っている。売上高、利益ともに医薬品事業の構成比が約9割。主要製品の売上高は下図の通り。

2022年3月期決算説明会資料

事業モデル

同社はホールディングス会社。傘下の事業会社であるあすか製薬株式会社にて、創立以来のホルモン製剤技術を基盤とした研究を通じ、内科、産婦人科、泌尿器科領域に特化した医薬品の開発・製造を行っている。なかでも婦人科領域は子宮筋膜治療薬をはじめ幅広いラインアップを持つ。販売は主に4502武田薬品工業を通じて行われ、2022年3月期は同社売上高のうち87.3%が武田薬品工業向けだった。
また新たな市場獲得を目指し、2020年にはベトナム2位の製薬企業と資本提携を、中国10位の製薬企業と同社製剤の導出契約を締結した。
社会保障費抑制の観点から医薬品業界における事業環境は年々厳しくなっている。一方で、国は疾病予防や未病領域への投資を強めており、この領域での事業を積み増すことが経営安定に寄与するものと同社は考えている。

競合他社

売上高規模が近い製薬会社として、4547キッセイ薬品工業(2022年3月期売上高65,381百万円)、4559ゼリア新薬工業(同59,532百万円)などが挙げられる。

連結の範囲

連結子会社3社を持つ。医薬品事業を担う事業会社のあすか製薬株式会社、動物用医薬品事業を行うあすかアニマルヘルス株式会社、臨床検査業務等を行う株式会社あすか製薬メディカルで構成される。

強み・弱み

内科・産婦人科・泌尿器科に注力し、高い専門性と競争力をもつことが強み。甲状腺領域の国内シェアは約96%に達する。一方で4502武田薬品工業への売上偏重がみられ、取引関係に変化が生じた場合リスク要因になるほか、製薬企業全般の課題としてが、医薬品開発は長期化・大規模化の傾向にあり、延期や資金繰りによっては開発が中止となり経営に重要な影響を与える可能性がある。

KPI

産婦人科の市場規模、医師数パイプラインの進捗がKPIとなる。
産婦人科市場規模:2025年予測945億円(2021年比15.8%増、富士経済調べ)
産婦人科医師数:11,678名(2020年、厚生労働省)

2022年3月期決算説明会資料

業績

2016年3月期から2022年3月期は1期を除き増収で、売上高規模は43,000百万円から55,000百万円台に拡大した(※2021年3月期まではあすか製薬株式会社)。営業利益は研究開発費の増加等により2019年3月期、2020年3月期に落ち込むが、売上高増加や販管費が減少を背景に2021年3月期は前期比+139.5%の増益となった。2022年3月期も産婦人科製品が伸長したことなどを背景に増収増益となった。フリーCFはマイナスの期が多いが、2022年3月期は旧事業所の売却等の影響もありプラス。自己資本比率は50~60%台。

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