2160 ジーエヌアイグループの業績について考察してみた

2160 ジーエヌアイグループの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2023.Q1 2023.03 4,206 397 9.44%
FY2023.Q2 2023.06 9,890 5,079 51.35%
FY2023.Q3 2023.09 6,451 1,326 20.55%
FY2023.Q4 2023.12 5,463 6,306 115.43%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q1 2017.03 350 -76 -21.71%
FY2017.Q2 2017.06 361 -68 -18.84%
FY2017.Q3 2017.09 752 26 3.46%
FY2017.Q4 2017.12 1,185 272 22.95%
FY2018.Q1 2018.03 1,012 106 10.47%
FY2018.Q2 2018.06 1,146 133 11.61%
FY2018.Q3 2018.09 1,459 181 12.41%
FY2018.Q4 2018.12 1,401 148 10.56%
FY2019.Q1 2019.03 1,575 251 15.94%
FY2019.Q2 2019.06 1,844 430 23.32%
FY2019.Q3 2019.09 1,914 400 20.9%
FY2019.Q4 2019.12 2,113 221 10.46%
FY2020.Q1 2020.03 2,125 416 19.58%
FY2020.Q2 2020.06 2,255 445 19.73%
FY2020.Q3 2020.09 2,573 550 21.38%
FY2020.Q4 2020.12 2,820 458 16.24%
FY2021.Q1 2021.03 3,872 773 19.96%
FY2021.Q2 2021.06 2,593 682 26.3%
FY2021.Q3 2021.09 3,071 505 16.44%
FY2021.Q4 2021.12 3,154 -336 -10.65%
FY2022.Q1 2022.03 3,933 478 12.15%
FY2022.Q2 2022.06 4,221 526 12.46%
FY2022.Q3 2022.09 4,607 490 10.64%
FY2022.Q4 2022.12 4,657 -117 -2.51%
FY2023.Q1 2023.03 4,206 397 9.44%
FY2023.Q2 2023.06 9,890 5,079 51.35%
FY2023.Q3 2023.09 6,451 1,326 20.55%
FY2023.Q4 2023.12 5,463 6,306 115.43%

沿革

2001年11月に米国法人Gene Network, Inc.の日本法人として株式会社ジーエヌアイを東京都に設立。その後の組織変更で米国法人は当社傘下の子会社へ。2005年5月中国法人「上海ジェノミクス有限公司」の株式76.74%を取得し、F647の第一相(以下P1)を開始。これが現在中国で販売中の「アイスーリュイ」となる。2006年12月F351の中国における治験許可を申請。2007年6月上海ジェノミクス有限公司を100%子会社化。同年8月東証マザーズ上場。2011年6月株式会社ジーエヌアイグループへ商号変更。2011年8月北京コンチネント薬業有限公司の持ち分を51%取得し子会社化、同社は2022年2月に香港証券取引所のメインボードにH株上場する旨申請。2011年9月中国でF647(アイスーリュイ)が特発性肺繊維症の適応で新薬承認を取得し、2014年2月より「アイスーリュイ」販売開始。現在は中国においてアイスーリュイの適応症拡大やF351の肝線維症薬などを開発中

株主構成

参照日時:2023/06/30

氏名又は名称所有株式数割合
JP MORGAN CHASE BANK 3806211,749,1003.68%
イン・ルオ1,447,7123.05%
SIX SIS LTD.1,376,5942.9%
MORGANSTANLEY SMITH BARNEY LLC CLIENTS FULLY PAID SEG ACCOUNT1,000,0002.11%
株式会社SBI証券386,4240.81%
JP JPMSE LUX RE NOMURA INT PLC 1 EQ CO373,6110.79%
STATE STREET BANK WEST CLIENT - TREATY 505234372,3940.78%
松井証券株式会社370,6000.78%
JP MORGAN CHASE BANK 385771256,3940.54%
上田八木短資株式会社247,4000.52%

取締役会

参照日時:2022/12/31

役職名・氏名生年月日任期所有株式数
取締役 代表執行役社長 CEO (最高経営責任者)
イン・ルオ
1965年7月16日注21,447,700
取締役執行役CFO
鈴木 勘一郎
1954年5月22日注249,300
取締役
トーマス・イーストリング
1959年10月16日注22,100
取締役
指輪 英明
1958年5月17日注2-
取締役
菊池 加奈子
1962年8月1日注2-
取締役
関谷 和樹
1956年5月20日注2-
取締役
松井 亮介
1979年4月23日注236,100

(注)1.取締役 指輪英明氏、菊池加奈子氏、関谷和樹氏、及び松井亮介氏は、社外取締役であります。

2.取締役の任期は、2022年12月期に係る定時株主総会の終結の時から2023年12月期に係る定時株主総会の終結の時までであります。

3.当社は指名委員会等設置会社であります。各委員会の委員については、下記のとおりです。なお、氏名の前に◎が付いた者は各委員会の委員長であります。 報酬委員会:◎関谷 和樹、松井 亮介、鈴木 勘一郎 指名委員会:◎イン・ルオ、指輪 英明、関谷 和樹 監査委員会:◎指輪 英明、関谷 和樹、松井 亮介

※有価証券報告書から抜粋

代表取締役の経歴

取締役代表執行役社長兼CEOのイン・ルオ氏は1965年7月生まれ。1982年に北京ユニオン医科大学を卒業し、1991年に米国コネティカット大学ヘルスケアセンターで理学博士号を取得。1993年からカリフォルニア大学サンフランシスコ校でHIVの研究に従事。2001年5月ベンチャーキャピタルの出資を受けて上海ジェノミクス社(現在の同社)を創業。2005年6月より代表取締役を務める

報告セグメント

2023年09月期 参照日時:2023/09/30

セグメント売上高(百万円)
医薬品事業18,273
医療機器事業2,275

「医薬品事業」と「医療機器事業」の2報告セグメントに大別される。2021年12月期は売上収益12,690百万円、営業利益1,624百万円だが、医薬事業が売上収益の85.6%、営業利益の6割程度を占める。地域別では中国での売上収益が全体の8割以上を占める。

2021年12月期連結決算概要

事業モデル

医薬品事業は、創薬ターゲットの研究開発、低分子化合薬の治験・臨床開発、新薬販売を主に中国で行う。薬品となる可能性を持つ候補物や途中まで治験や臨床試験の済んだ化合物を他社へ売却するライセンスアウトは前提とせず、自社グループ内での化合物の収益化を方針とする。特発性肺線維症を適応症とし販売中の「アイスーリュイ」は、自社で開発した化合物のため収益性が高く、中国内で採用する病院数が増加し、業績拡大に寄与している。研究開発のパイプラインには化合物が4つ。進捗状況は下図参照。

2021年12月期連結決算概要

F351はHBVに起因する肝線維症の第Ⅲ相臨床試験を2022年1月に開始、遅くとも2025年の中国での上市を目標としている。F573はImmune Pharmaceuticals Inc.から導入した化合物で、肝不全を対象とした第Ⅰ相臨床試験を同じく2022年1月に開始した。「タミバロテン」は東光薬品工業が日本で急性前骨髄球性白血病治療薬として販売済みで、2015年に中国で輸入薬として承認申請済だが進展がない。
なお、中国子会社の北京コンチネント薬業有限公司(以下BC、議決権保有比率55%)へ、F351を含む化合物の知的財産権を譲渡することで中国での効率的な新薬承認体制を構築している。新設されたBCの持株会社Continent Pharmaceuticals Inc.は上場予定だったが、BCそのものの上場申請により現在の方針不明。
医療機器事業では、2017年に株式の70%を取得し、2020年12月に完全子会社化した米国のBerkeley Advanced Biomaterials LLCを拠点に独自開発した人工骨を生体材料として製造販売する。

競合他社

  • ベーリンガーインゲルハイム
  • 4507 塩野義製薬(23年3月期売上高426,684百万円)

連結の範囲

連結子会社は15社。同社の傘下に、医薬品の製造・販売を行う北京コンチネント薬業有限公司、医薬品の研究開発を行う上海ジェノミクス社、GNI Hong Kong Limited、GNI USA ,Inc、等、医療機器の開発・製造・販売を行うBerkeley Advanced Biomaterials LLCなどで構成される。研究開発拠点を米国・中国に持つ。

強み・弱み

販売中の新薬を持ち安定した収益源を保有していることが強み。また、中国の現地子会社を通じて中国における医師や病院とのネットワークを構築しており、治験・臨床開発から販売までを中国市場で有利に進めるうえで大きな強みとなるものと考えられる。一般的に、研究開発から発売までは長時間を要すことが多く、その開発も必ず成功するとは限らない。医薬品業界は、創薬開発の難易度が一層増しており、成功した化合物をグローバル展開することで幅広く投資回収することが定石となっているが、同社はライセンスアウトを戦略の前提としないため、中国外の地域におけるネットワークは脆弱と見られる

KPI

創薬ベンチャーにおいては前述の図に示されるパイプラインの進捗状況と、対象疾患の患者数と効能からみこめる価格帯がKPIとなる。パイプラインの進捗状況としては新薬開発の治験者数の推移が参考となり得る。
①パイプラインの進捗状況(どれかの試験が進んだり、中止となること)
②新薬開発の治験者数の推移

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