5541 大平洋金属の業績について考察してみた

5541 大平洋金属の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1949年12月に日本曹達株式会社の鉄鋼部門を分離して、日曹製鋼株式会社を設立。1952年1月に東証一部に上場。1966年11月にフェロニッケルの生産を開始。1970年1月に大平洋ニッケル株式会社を吸収合併して、大平洋金属株式会社に商号変更。本社は青森県八戸市。フェロニッケル製錬で世界大手

株主構成

2022年3月期第2四半期報告書よると2021年9月末時点の筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行株式会社の信託口で18.3% 、次いで株式会社日本カストディ銀行の信託口が14.9%、日鉄ステンレス株式会社が10.5%、その他は保有割合5%未満で立花証券株式会社、 大平洋金属取引先持株会や国内外の金融機関、ファンドが並ぶ。外国人株式保有比率は10%以上20%未満

取締役会

取締役は9名(社内6名、社外3名)、監査役4名 (社内1名、社外3名)、監査役会設置会社である。社内取締役は1名を除き プロパー入社とみられる。社内取締役は経営企画部門や営業部門、総務部門等をそれぞれ統括する。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の青山正幸氏は1954年12月生まれ。八戸工業高等専門学校を卒業後、1975年4月同社に入社。製造本部に長年従事し、2014年6月取締役を経て、2020年6月に現職に就任した。

報告セグメント

「ニッケル事業」と「ガス事業」の2セグメントに大別される。報告セグメントに含まれない事業として、不動産事業や廃棄物リサイクル事業を含む「その他」がある。2022年3月期第2四半期の売上高は24,098百万円で、ニッケル事業が23,736百万円で98.5%、ガス事業が248百万円で1.0%、その他が113百万円で0.5%を占める。
直近2期はニッケル事業の損失計上が影響し、全体での営業損失を計上。ガス事業の利益率は1桁台前半を推移する。

事業モデル

ニッケル事業では鉄とニッケルの合金であり、ステンレス鋼の原料として使われる「フェロニッケル」を製造する。またフェロニッケルの製錬過程において得られるフェロニッケルスラグから、高炉用副原料や土木用資材等のスラグ加工品の製造も行う。フェロニッケルの生産量で国内トップ。フィリピンやニューカレドニアの鉱山から主原料であるニッケル鉱石を購入し、青森県八戸の本社工場にて製品を製造。日鉄ステンレス株式会社等に商社を通してフェロニッケル製品を販売する。またフェロニッケル製品の製錬時に発生する鉱滓を連結子会社の太平洋興産株式会社に販売する。
ガス事業では、フェロニッケル製品の製造過程で使用する酸素ガスや窒素ガス等を、連結子会社の株式会社大平洋ガスセンターが製造して同社へ販売する。
その他事業では太平洋興産株式会社が不動産事業を担う。また関連会社の株式会社パシフィックソーワが一般廃棄物の焼却灰から、有用金属の抽出や人口砂利等へリサイクルを行う廃棄物リサイクル事業を行う。
海外売上高比率は64.3%で、地域ごとでは中国が27.4%、台湾が24.4%、韓国が8.7%、インドが3.8%を占める。(2021年3月期)
主要な顧客は三菱商事RtMジャパン株式会社で、連結売上高に占める売上高の割合が93.5%を占める。(同)
世界のステンレス需要は堅調な伸びが見込まれ、原料となるニッケル需要もEV用バッテリー等による増加が予測される。一方で、フェロニッケルよりも価格優位性があるニッケル銑鉄への需要シフトも進んでおり、国内事業の多角化やコスト削減による収益力の強化を図る。

2022年3月期第2四半期 決算説明資料

<2>競合他社

フェロニッケル国内3番手の5480日本冶金工業 (2021年3月期売上高112,482百万円)、 鉄鋼用合金鉄で国内最大手の5563新日本電工(2020年12月期同54,004百万円)、フェロニッケル国内2番手の5713住友金属鉱山 (2021年3月期926,122百万円)が競合として挙げられる。

連結の範囲

連結子会社2社と持分法適用関連会社6社を持つ。連結子会社にはニッケル事業と不動産事業を担う太平洋興産株式会社と、ガス事業を担う株式会社大平洋ガスセンターがある。

強み・弱み

強みとして生産力の高さが挙げられる。同社は、フェロニッケル製品において国内トップシェアを誇り、2位以下と2倍近くの生産力の差をつける。フィリピンの関連会社から直接ニッケル鉱石を供給し、世界最大級の電気炉を用いて本社工場にて集中生産を行う。今後は本社工場での更なる生産効率化と海外製錬展開を実施し、全体最適生産体制の構築を目指す。懸念点としては、原料となるニッケル鉱石の価格変動リスクが挙げられる。

KPI

KPIにはフェロニッケル製品の①生産数量と②販売数量、③国別販売実績が挙げられる
①生産数量(2021年3月期):18,414トン
②販売数量(同):20,793トン
③国別販売実績(同)

2022年3月期第2四半期 決算説明資料

2022年3月期第2四半期 決算説明資料

業績

売上高は2017年3月期から2019年3月期にかけては、フェロニッケル製品の販売価格形成の指標となるLMEニッケル価格の上昇やフェロニッケル製品需要の堅調な推移により、+26.8%増収。2021年3月期にかけては、同製品の販売数量の落ち込みが影響して▲34.3%減収。経常利益は2017年3月期から2018年3月期にかけて 原価高等により損失計上していたが、2019年3月期に3,693百万円の利益に回復。2020年3月期にかけては、売上高減少に加えて棚卸資産の簿価切り下げが響き、▲83.1%に減益。2021年3月期は持分法適用会社の投資利益が貢献して、前期比+85.9%の増益となった。フリーCFは2019年3月期と2021年3月期を除いてプラスを推移。有利子負債はゼロで、自己資本比率は80%台後半から90%前半を推移する

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