5445 東京鐵鋼の業績について考察してみた

5445 東京鐵鋼の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1939年6月に東京鐵鋼株式会社を設立し、銑鉄や鋳鉄の製造を開始。1959年4月に普通鋼鋼塊の製造を開始。1969年5月に棒鋼の生産を開始。1971年6月に東証二部に上場。1974年4月に東証一部に上場。本社は東京都千代田区。東証プライム市場に区分。建設用棒鋼が主力の国内中堅電炉メーカー

株主構成

2022年3月期有価証券報告書によると、2022年3月31日時点で筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行株式会社の信託口で9.2%、次いでBBH FOR FIDELITY LOW-PRICED STOCK FUNDが8.1%、業務提携先の5410合同製鐵が5.0%、その他は保有割合5%未満で株式会社三井住友銀行、GOLDMAN SACHS INTERNATIONAL、朝日工業株式会社、東京鐵鋼従業員持株会、BBH FOR FIDELITY GROUP TRUSTBENEFITと続く。その他には国内外の金融機関が並ぶ。外国人株式保有比率は20%以上30%未満

取締役会

取締役11名(社内7名、社外4名)、監査等委員5名 (社内1名、社外4名)、監査等委員会設置会社である。専務取締役の柴田隆夫氏は株式会社日本総合研究所を経て、同社に入社。取締役で常勤監査等委員の中嶌知義氏は株式会社三井住友銀行の出身である。その他4名の社内取締役はプロパーとみられる。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の吉原毎文氏は1947年5月生まれ。玉川大学を卒業後、1973年5月に同社に入社。営業部門に長年に渡って従事する。1981年2月に取締役、1985年2月に常務取締役、1988年6月に代表取締役副社長を経て、1992年6月に現職に就任。2代目社長である

報告セグメント

「鉄鋼事業」の単一セグメントである。報告セグメントに含まれない事業として、貨物運送、設備等のメンテナンス事業等を含む「その他」がある。2022年3月期の売上高66,089百万円の内、鉄鋼事業が65,164百万円で98.6%、その他が924百万円で1.4%を占める。
鉄鋼事業のセグメント利益率は、製品の販売価格や主原料の鉄スクラップ価格による変動が大きく、期によって10%前半からマイナスまで推移する。

事業モデル

鉄筋コンクリート用棒鋼や継手、溶接閉鎖型せん断補強筋等の棒鋼及び棒鋼加工品の製造・販売を主に行う。表面がネジ状に加工されたネジテツコン(超張力ネジ節棒鋼)は、専用の継手使うことで鉄筋接合時のガス圧縮が不要。専門的な知識を持たない作業員でも容易に取り扱えるため、建設現場の省力化や工期の短縮を実現。また、職人技に依存しない点から、安定した品質での建設物の提供も可能とする。太径の高強度鉄筋の接合も簡易化でき、超高層建築を手掛けるゼネコンからの需要が強く、ネジテツコンと専用の継手で国内首位のシェアを誇る
専門の建設知識を持つ社員が、顧客の建設プロジェクトの設計初期段階から工法や建設資材の提案を行う。プロジェクト毎に最良の工法や建設資材の提案を実施することで、市況影響の少ない高付加価値製品の拡販を狙う。営業部門と開発部門の連携を強化し、提案過程で発生した課題を開発部門に速やかに共有し、顧客ニーズに合った製品提供の短期化を図る。
連結子会社2社を通して原材料を調達し、栃木県の小山工場と青森県の八戸工場で加工。同社及び連結子会社4社が販売を担う。
その他事業では連結子会社2社にて、それぞれ貨物輸送や設備のメンテナンスを行う。
主な仕入先はエムエム建材株式会社。主要な販売先は3社で、連結売上高に占める売上高の割合は伊藤忠丸紅住商テクノスチール株式会社が31.8%、エムエム建材株式会社が22.3%、阪和興業株式会社が22.3%を占める。(2022年3月期)
人口減に伴い国内の住宅着工戸数は減少しているが、今後は公共建設物の更新による土木需要や工場・倉庫への投資の増加が見込める。同社では新商品・新工法の開発や省力化工法の促進により、高付加価値製品の拡販体制を強化売上高への市況影響の緩和を目指す

競合他社

棒鋼やネジ節棒鋼を扱う5540共栄製鋼 (2022年3月期売上高292,719百万円)が挙げられる。

連結の範囲

連結子会社7社、非連結子会社2社、持分法適用関連会社1社を持つ。連結子会社の内、1社は韓国で製品の販売を担う。また2018年に資本業務提携した持分法適用関連会社の株式会社伊藤製鐵所とは相互に製品の販売を行う。

強み・弱み

強みとして高い技術提案力と製品開発力が挙げられる。同社では顧客の建設プロジェクトの設計段階から関与し、省力化の技術提案を実施 する。質の高い提案にむけて技術提案部門の育成・増強に注力するとともに、営業と開発の一体体制を整備し、顧客ニーズに合った製品をスピーディーに提供する。懸念点としては主原料の鉄スクラップ価格の変動による売上高への影響が挙げられる。

KPI

KPIには①鉄筋棒鋼出荷推移と②スクラップ市況推移、③棒鋼市況推移、④設備投資額、⑤高付加価値製品の販売比率が挙げられる
①鉄筋棒鋼出荷推移(2022年3月期)

2022年3月期 決算説明資料

②スクラップ市況推移(同)
③棒鋼市況推移(同)

2022年3月期 決算説明資料

④設備投資額(同):2,412百万円

2022年3月期 決算説明資料

⑤高付加価値製品の販売比率(同):75%

2022年3月期 決算説明資料

業績

売上高は2018年3月期から2019年3月期にかけて、主力製品のネジテツコンや関連商品の拡販により前期比+20.1%に拡大。2020年3月期は人手不足による建設工事の後ろ倒しや東京オリンピック需要が落ち着いたことから、前期比▲8.5%に減少した。2021年3月期は製品出荷数量が回復して前期比+5.8%に増加。2022年3月期は棒鋼出荷数量が減少したものの、販売価格の引き上げにより前期比+5.9%の増加となった。経常利益は原材料の市況価格変動の影響が大きい。2018年3月期は原材料コストが上昇し、▲875百万円の赤字に転換。2019年3月期には製品価格の上昇により、原材料のコストアップ分を吸収して3,265百万円の黒字に回復。2022年3月期は主原料の鉄スクラップ価格の急騰と電力エネルギー等の副資材価格の上昇を受けて、再び▲644百万円の赤字に転じた。フリーCFは2020年3月期と2021年3月期を除いてマイナスを推移。自己資本比率は60%台後半から70%台前半を推移する。

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