5445 東京鐵鋼の業績について考察してみた

5445 東京鐵鋼の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1939年6月に東京鐵鋼株式会社として設立され、銑鉄及び鋳鉄の製造を開始1959年4月に普通鋼鋼塊の製造を開始。1969年5月に棒鋼の生産を開始。1971年6月東証二部上場、1974年4月東証一部上場。建築用棒鋼の製造が中心の国内中堅電炉メーカー。

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月末時点の筆頭株主は、MLI (Merrill Lynch International)ジェネラルオムニノンコテラテラルノントリーティで8.6%、それ以降も国内外の信託銀行等の信託口や顧客アカウントが続き、業務提携先の合同製鐵株式会社が4.9%、株式会社三井住友銀行が4.8などが並ぶ。外国人株式保有比率は20%以上30%未満

取締役会

取締役は10名(社内6名、社外4名)、うち監査等委員4名 (常勤1名、社外3名)、監査等委員会設置会社である。常務取締役の柴田隆夫氏は株式会社日本総合研究所を経て、2010年5月に同社に入社。2012年6月に取締役、2020年6月に現職へ就任した。取締役中嶌知義氏は株式会社三井住友銀行を経て、2016年9月に同社に入社。2018年6月に現職に就任した。その他の4名の取締役はプロパー出身者とみられる。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の吉原毎文氏は1947年5月生まれ。玉川大学を卒業後、1973年5月同社へ入社。営業部門を中心に従事し、1981年2月取締役、1985年2月常務取締役、1988年6月代表取締役副社長を経て、1992年6月現職へ就任した。

報告セグメント

「鉄鋼事業」の単一セグメントで、報告セグメントに含まれない事業として「その他」がある。その他は、貨物運送、設備等のメンテナンス事業等を含む。直近2021年3月期第3四半期は調整前の売上高50,941百万円の内、鉄鋼事業が47,377百万円で93.0%、セグメント外のその他が3,563百万円で7.0%を占める。
セグメント利益は製品の販売価格や量、主な原料である鉄スクラップの価格による変動が大きく、マイナスの年もあれば利益率10%以上の年もある。

事業モデル

棒鋼及び棒鋼加工品の製造販売を主に行う。 主要製品には鉄筋コンクリート用棒鋼や継手、溶接閉鎖型せん断補強筋が並ぶ。鉄筋コンクリート用棒鋼で表面がネジ状に加工されたネジテツコン(超張力ネジ節棒鋼)は、鉄筋同士をガス圧縮なしで接合できるという特徴を持つ。専門的な知識を持たない作業員でも容易に取り扱え、建設現場の省力化や工期の短縮につながっている。超高層建築を手掛けるゼネコンからの需要が強く、ネジテツコンと専用の継手では国内首位のシェアを誇る。
製品提案時には専門の建設知識を持つ社員が、顧客の建設プロジェクトの設計初期段階から関与し、プロジェクト毎に工法や建設資材の提案を行う。またこの際に生じた課題は、製品開発部門に共有され、製品の開発や改善に反映させている。
主な仕入先はエムエム建材株式会社。主要な販売先は3社で、2020年3月期では伊藤忠丸紅住商テクノスチール株式会社が総販売高の35.7%、エムエム建材株式会社が21.7%、阪和興業株式会社が18.5%を占める。栃木県の本社工場、青森県の八戸工場に製造設備を有す。
人口減に伴い国内の建設需要は減退しているもの、公共建設物を中心に更新需要が今後見込める

同社HP TOP>東京鉄鋼とは>SETP2. 建設業界に革新をもたらした「ネジテツコン」

競合他社

関西地盤の電炉大手メーカー5440共英製鋼株式会社(2020年3月期売上高239,343百万円)、日本製鉄系の電炉大手メーカー5410合同製鐵株式会社(同168,042百万円)などが競合として挙げられる。

連結の範囲

同社グループは同社と連結子会社8社(国内7社、海外1社)、非連結子会社2社、持分法適用関連会社1社から構成される。連結子会社には製品の配送部門を担うトーテツ興運株式会社や製品の加工・販売を行うトーテツ産業株式会社、加工品の販売を担う東京鐵鋼土木株式会社、原材料の集荷・販売を行う株式会社関東メタルとトーテツ資源株式会社等が並ぶ。海外では韓国で製品の販売を行う1社の連結子会社がある。持分法適用関連会社は製品の販売を相互に行う株式会社伊藤製鐵所である。

強み・弱み

強みとして、鉄筋コンクリート用棒鋼の製品技術力が挙げられる。注力製品であるネジテツコンは、建設業界の人手不足による省人化ニーズに応え、建設コスト削減や工期短縮を可能にする付加価値の高い製品である。また既存の製品だけではなく、個別の建設プロジェクト毎にベストな製品の提案販売も行う主原料の鉄スクラップの価格変動に伴う、利益率の変動が業績に与える影響は懸念点として挙げられる。

KPI

KPIには連結売上高経常利益率とROEが挙げられる。
①連結売上高経常利益率:10.2%(2020年3月期)
②ROE:9.7%(同)

業績

2016年3月期から2020年3月期の過去5期をみると、売上高は決算期によって増減があるものの緩やかに拡大し、約18%の増加。経常利益は約1.7倍に拡大しているが、原料の価格変動の影響を受けやすく決算期毎の増減幅が大きい。営業CFはプラスを継続、投資CFは継続してマイナス。財務CFは年によってプラスとマイナスでムラがある。自己資本比率は2020年3月期で74.9%と、前期の67.2%から改善して健全な財務状況を保つ。