5563 新日本電工の業績について考察してみた

5563 新日本電工の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1934年12月大垣電気冶金工業所を株式会社に改組し、株式会社電気冶金工業所として設立。1936年11月日本電気冶金株式会社へ商号変更。1949年5月株式上場し、現在は東証一部。1963年東邦電化株式会社と合併し、社名を日本電工株式会社とした。2014年7月には中央電気工業株式会社と経営統合し、新日本電工株式会社に商号変更。フェロアロイ(合金鉄)の生産を主な事業とする

株主構成

有価証券報告書によると2020年12月末時点の筆頭株主は、日本製鉄株式会社で保有割合20.65%。他は5%以下で、メガバンク、国内銀行信託口、日鉄鉱業株式会社、新日本電工取引先持株会等が名を連ねる。また、2021年3月30日更新のコーポレート・ガバナンス報告書によると、外国人株式保有比率は10%未満である

取締役会

取締役は7名(社内4名、社外3名)、監査役は4名(全員社外)、監査役会設置会社である。社内取締役は全員が大株主の日本製鉄出身者である

代表取締役の経歴

代表取締役社長の青木泰氏は1960年3月生まれ。一橋大学商学部卒業後、1983年3月に新日本製鐵株式会社(現日本製鉄株式会社)に入社。執行役員、常務執行役員などを歴任後、2020年3月に同社取締役副社長に就任、2021年1月より代表取締役社長を務めている

報告セグメント

「合金鉄」、「機能材料」、「環境」、「電力」の4報告セグメントおよび報告セグメントに含まれない「その他」に大別される。2020年12月期第の売上高54,004百万円の構成比は、合金鉄が57.8%、機能材料17.9%、環境11.1%、電力2.5%、その他10.6%だった。営業利益の構成 は、合金鉄が33.1%、機能材料は23.1%、環境27.2%等となっていた。

事業モデル

合金鉄事業は、合金鉄(すべての鉄の製鋼過程で使用される添加剤)の製造販売を行う。徳島と鹿島に生産拠点を持ち、販売先の8割強は日本製鉄で、全体でも国内向けがほとんど である。またマレーシア現地法人での生産、販売、中国現地法人を通じての南アフリカマンガン鉱山投資についても当事業に含まれる。
機能材料事業はハイブリッド車や電気自動車に用いられる高機能製品等を製造販売し、自動車関連製品の売上が半分以上を占める。富山、妙高、徳島に生産拠点を持つ。環境事業は、郡山工場にて排水の循環再利用や排水に含まれる有価物の回収、焼却灰の処理などを行う。
コロナ禍による経済活動縮小から鉄鋼需要は減少し、それに伴い合金鉄の販売数量も減少しているが、アジア太平洋地域の鉄鋼生産の中長期的な増加により、安定成長が見込める市場である。

同社HP TOP>株主・投資家の皆様>株主・投資家向けイベント>新日本電工大事典(pdf)

競合他社

合金鉄メーカーとして、5541太平洋金属(2020年3月期売上高441億円)、日本重化学工業株式会社(非上場、2019年度売上高221億円)などが挙げられる。

連結の範囲

連結子会社7社、持分法適用関連会社2社で、廃棄物溶解固化処理を行う中央電気工業株式会社、化学工業製品等の販売を行う共栄産業株式会社、マンガン鉱山の権益を保有する中国現地法人、合金鉄の製造、販売を行うマレーシア現地法人などで構成される。

強み・弱み

世界有数の競争力を持つ国内工場と、マンガン鉱石権益の取得による安定的な供給体制が同社の強み。また高炭素フェロマンガンは日本でシェア1位を持つ。一方で、取引価格は市況で決定されるため、国際的な製品需給により同社の業績は左右される。また権益を保有するマンガン鉱山の所在地南アフリカや生産拠点があるマレーシアの地政学リスクを持つ。

KPI

①粗鋼生産量
②合金鉄(主製品)、マンガン鉱石(主原料)市況
③為替(米ドルなど)

2020年12月期 決算説明会資料

業績

2016年12月期から2018年12月期は建設関連や製造業向けの需要が旺盛で増収だったが、以降は中国の景気悪化懸念やコロナ禍による生産減により減収となった。経常利益は売上の他、市況に大きく左右され安定せず、2017年12月期は9,239百万円だったものの、2019年12月期は6,426百万円の赤字だった。自己資本比率は長期借入金の増加や利益剰余金の減少により2016年12月期の70%台から60%台へ低下がみられる。