5481 山陽特殊製鋼の業績について考察してみた

5481 山陽特殊製鋼の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1935年1月、1933年創業の山陽製鋼所の事業を継承し、山陽製鋼株式会社を設立。1959年1月山陽特殊製鋼株式会社へ商号変更。1989年9月大証、1954年1月東証へ上場するも、会社更生法適用を申請したことを受け1965年6月上場廃止。その後1980年11月に大証、1985年11月に東証に再上場し、現在は東証一部。2006年6月に現在の日本製鉄株式会社の持分法適用関連会社となった後、2019年3月に連結子会社となった。特殊鋼製品 の製造販売を営む。

株主構成

有価証券報告書によると2020年9月末時点の筆頭株主は、親会社の日本製鉄で保有割合52.97%。以降は保有割合5%以下で山陽特殊製鋼協栄会、国内信託銀行信託口、メガバンク、取引先、山陽特殊製鋼従業員持株会が並ぶ。また、2020年6月25日更新のコーポレート・ガバナンス報告書によると、外国人株式保有比率は10%以上20%未満である

取締役会

取締役は9名(社内5名、社外4名)、監査役は4名(社内2名、社外2名)、監査役会設置会社である。社内取締役は親会社の日本製鉄出身3名、プロパー出身2名で構成される

代表取締役の経歴

代表取締役社長の樋口眞哉氏は1958年9月生まれ。1976年に東京大学法学部卒業後、同年新日本製鉄(現日本製鉄)に入社。常務執行役員、代表取締役副社長等を歴任後、2016年4月同社顧問に就任、2016年6月より代表取締役社長を務める。尚、社長の交代が発表されており、2021年6月より宮本勝弘氏(現日本製鉄代表取締役副社長、一橋大学法学部卒)が代表取締役社長に就任予定

報告セグメント

「鋼材」、「粉末」、「素形材」の3報告セグメントに大別される。2021年3月期第3四半期の売上高97,161百万円のうち、鋼材事業が9割超を占め、素形材、粉末、報告セグメントに含まれないその他事業と続く。同期間に3,890百万円の損失を計上し、うち鋼材事業が3,340百万円の損失を計上した。

事業モデル

特殊鋼(高度、強度、耐熱性、耐摩耗性など用途に応じた特殊な性能を持たせた鋼)の製造販売を行う。主要な顧客は伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社。2020年3月期売上 高の11.3%を占める。同社製品の主な最終需要先は自動車、産業機械、建設機械業界等。自動車業界向けがベアリング等の部品メーカー向けも含めおよそ6割にのぼる。本社姫路工場の他、スウェーデン、インド、メキシコに生産拠点を持つ。2020年3月期の地域別売上高では国内が約4割、スウェーデン企業の子会社化に伴い増加し、欧州向けがも約4割となっている。
コロナ禍の影響により納入先業界の活動水準が低下、同社の受注も大幅に減少していたが、2020年夏ごろから改善し、回復局面にある

2020年第3四半期 決算説明資料

競合他社

特殊鋼メーカーとして、5486日立金属 (2020年3月期売上収益881,402百万円)、5471大同特殊鋼(2020年3月期売上高490,421百万円)、5482愛知製鋼(同242,262百万円)、5632三菱製鋼(同117,138百万円)などが挙げられる。

連結の範囲

親会社は5401日本製鉄。連結子会社は41社、持分法適用関連会社は2社と多く、同社製品の販売や原料の調達を行う陽鋼物産株式会社や、2018年6月に子会社化したインドにて製造販売を行うMahindra Sanyo Special Steel Pvt.Ltd、2019年3月に子会社化したスウェーデンにて製造販売を行うOvakoなどの多数の海外現地法人等で構成される。

強み・弱み

機械装置に用いられる軸受(ベアリング)用鋼の品質、信頼性の高さが同社の強み。一方で、同社製品の納入先は自動車業界が多く、同業界のリスクを負っている。また原材料価格や燃料価格、為替の変動も同社業績に影響を与える。

KPI

①自動車市場の動向
②特殊鋼受注数量
③原材料、燃料価格(鉄、ニッケル、電力、天然ガス価格等)

2020年第3四半期 決算説明資料

業績

2016年3月期から2020年3月期までの5期間の業績推移をみると、売上高は変動があるものの、2019年3月期にインドおよびスウェーデンの子会社株式を取得し、2020年3月期から連結対象となったため2016年3月期比で約1.8倍に伸長。利益は減少基調が続いていたことに加え、2020年3月期は本体の売上減少や売上数量減少に伴うコストアップ、海外子会社ののれん償却費増加等により赤字となった。自己資本比率は60%台で推移していたが、上述の連結化に伴う有利子負債増加の影響等で、2019年3月期より50%台に低下した。営業CFは売上債権と棚卸資産の増加によりマイナスとなった2018年3月期を除きプラスで推移、投資CFは恒常的に10,000百万円程度のマイナスで、子会社株式取得のあった2019年3月期は69,046百万円と大幅にマイナスであった。