7915 NISSHAの業績について考察してみた

7915 NISSHAの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1946年12月京都に日本写真印刷株式会社設立、美術全集や図録などの高級美術印刷を得意とする。1960年代からは、転写箔や電子部品などの新製品で対象市場を拡大し、業容が多角化。1961年10月に大証二部へ、1969年4月には東証二部へ上場。1979年9月に両市場ともに一部へ市場変更。1993年1月にNissha USA, Inc. を設立し米国へ進出。以降、マレーシア、韓国、中国、ドイツ、台湾等の海外市場へ事業展開。現在は、タッチパネルの主要部品であるフィルムタッチセンサーを中心に、機能性印刷物及び関連製品の製造・販売を事業とする。

株主構成

四半期報告書によると、2021年6月末時点での筆頭株主は、日本マスタートラスト信託銀行株式会社信託口で6.26%保有。次いで、創業者一族の資産管理会社と見られる鈴木興産株式会社が5.12%保有。以下は5%未満の保有率で、国内外の機関投資家、取引銀行や、取引先持株会が続く。外国人株式保有比率は20%以上30%未満

取締役会

取締役は9名(社内5名、社外4名)、監査役は4名(2名は常勤で社内、他2名は非常勤で社外)、監査役会設置会社である。代表権を持たない社内取締役4名中3名はプロパー、他1名は株式会社住友銀行(現株式会社三井住友銀行)出身者。社外取締役には、日本銀行元監事、パナソニック株式会社元役員、京都大学教授、北越紀州製紙株式会社元取締役が就任。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の鈴木順也氏は1964年12月生まれ。慶應義塾大学大学院修了後、1990年4月に株式会社第一勧業銀行(現株式会社みずほフィナンシャルグループ)入行。1998年3月、同社入社、専務取締役、取締役副社長などを経て2007年6月より現職。創業者の鈴木直樹氏、鈴木正三氏、古川宏氏に次ぐ4代目社長で、創業家の三代目社長とみられる。

報告セグメント

「ディバイス」、「産業資材」、「メディカルテクノロジー」、「情報コミュニケーション」の4セグメントで構成される。2020年12月期の売上高180,006百万円の構成比は、ディバイス57.1%、産業資材27.1%、メディカルテクノロジー11.4%、情報コミュニケーション3.5%、その他0.9%であった。また、同期の調整前セグメント利益11,417百万円の構成比は、ディバイス88.7%、産業資材7.6%、メディカルテクノロジー8.7%、情報コミュニケーション▲377百万円、その他▲195百万円であった。売上高、セグメント利益の両面でディバイスが主力となる。
なお、地域別売上高構成比は、日本14.2%、アイルランド43.6%、米国13.6%、その他28.6%であった。8割以上が海外における売上であり、殊にアイルランドの比率が高い。これは、連結売上高の44.1%を占める主要顧客のApple Operations Limited(米国Apple Inc. の子会社)が、アイルランド国籍のためである。

公式ウェブサイト内「NISSHAについて」>「すぐわかるNISSHAの事業」

事業モデル

前述のとおり4セグメントで構成されるが、事業面ではディバイス事業、産業資材事業、メディカルテクノロジー事業を3本柱とする。主力はディバイス事業で、中でもスマートフォン・タブレット用のタッチセンサーが主要製品となる。同社のタッチパネルはプラスチックフィルムをベース基材とし、薄い、軽い、割れない、曲げられるなどフィルムセンサー特有の特長を有する上、ガラスセンサーに匹敵する高透明性をも兼ね備えている。タッチパネルのフロンティアとして培ってきた30年以上の実績と経験をもとに、高品質、高付加価値のタッチパネルを提供している。
ディバイス事業に次ぐ規模の産業資材事業は、さまざまな素材の表面に付加価値を与える独自技術を有する。プラスチックの成形と同時に加飾や機能の付与を行うIMD、IML、IME は、グローバル市場でモビリティ、家電製品などに広く採用されている。また、サステナブル資材として、金属光沢と印刷適性を兼ね備えた蒸着紙や、植物由来の材料を用いた環境にやさしい成形品も提供する。
メディカルテクノロジー事業では、心疾患向けを中心に幅広い分野で使用される低侵襲医療用の手術機器や医療用ウェアラブルセンサーなどの製品を扱う。現在は、グローバルベースで大手医療機器メーカー向けの開発製造受託を展開するとともに、医療機関向けに自社ブランド製品を製造・販売している。

公式ウェブサイト内「NISSHAについて」>「すぐわかるNISSHAの事業」

競合他社

7911 凸版印刷(株)が、タッチセンサー含め印刷関連全般で競合する。売上高1,466,935百万円(2021年3月期)。

連結の範囲

同社グループは、同社及び連結子会社66社、持分法適用関連会社2社で構成される。

強み・弱み

Apple製品への高い採用実績が示すように、同社の高品位タッチセンサーが高級志向のスマートフォン等に適している点は、収益性の面で有利。金属光沢と印刷適性を兼ね備えた蒸着紙が、飲料品や食品向けサステナブル資材としてトップシェアを誇る点も強み。一方、事業領域が、スマートフォン・タブレットなどデバイスの新型モデルの発売時期や個人消費者の嗜好に左右されやすい市場に偏っているため、トレンド変化に敏感な点や取引先の製品発売動向に業績が左右される点はリスク。自動車向けのフィルムタッチセンサーや医療用ウェアラブルセンサーの成長を加速させ、医薬品市場や蒸着紙への事業展開などを進めており、それらによって収益基盤が多様化していくかが課題である。

KPI

生産実績、受注実績などはKPIとみなせる。
・生産高(2020年12月期)
ディバイス:105,901百万円(前期比+20.5%)
産業資材:48,491百万円(前期比+5.3%)
メディカルテクノロジー:20,735百万円(前期比▲13.6%)
情報コミュニケーション:6,170百万円(前期比▲13.3%)
その他:1,729百万円(前期比+300.1%)
・受注高(同上)
ディバイス:108,807百万円(前期比+20.2%)
産業資材:51,009百万円(前期比+11.5%)
メディカルテクノロジー:18,682百万円(前期比▲32.2%)
情報コミュニケーション:6,159百万円(前期比▲10.3%)
その他:1,635百万円(前期比+206.2%)
・受注残高(同上)
ディバイス:22,907百万円(前期比+36.3%)
産業資材:7,160百万円(前期比+66.9%)
メディカルテクノロジー:6,749百万円(前期比▲20.7%)
情報コミュニケーション:639百万円(前期比▲8.5%)
その他:0百万円(前期比▲90.4%)

業績

多少の上下はあるものの順調に売上高を伸ばし、2018年12月期には初の2,000億円超えを果たすが、2019年12月期はデバイス事業の減収と設備投資の負担増を主因に赤字転落。2020年12月期には持ち直し、売上高180,006百万円(前期比+3.4%)、営業利益7,290百万円(前期比+23,543百万円)、税引前利益7,051百万円(前期比+23,685百万円)となった。営業CFはほぼプラスで推移、投資CFは恒常的にマイナス。直近決算期の親会社所有者帰属持分比率は41.1%。