7821 前田工繊の業績について考察してみた

7821 前田工繊の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1918年に前田機業場として創業され、1972年11月に繊維土木資材の製造・販売を目的として、前田工繊株式会社を設立。1983年6月に土木資材部門の一貫生産体制を整備。2000年以降、積極的な吸収合併を繰り返し、事業範囲を拡大してきた。2007年8月東証二部へ上場。2012年10月東証一部へ変更。本社は福井県。大手防災用建築・土木資材メーカー

株主構成

有価証券報告書によると2021年3月20日時点の筆頭株主は代表取締役社長兼COOの前田尚宏氏で11.5% 、次いで前田尚宏氏の資産管理会社である京侑株式会社が10.8%、株式会社日本カストディ銀行が10.4%、日本マスタートラスト信託銀行株式会社が7.7%、創業家一族 とみられる前田佳宏氏が7.0%、3401帝人が5.7%、その他は保有割合5%未満で同じく創業家一族 とみられる前田博美氏、代表取締役会長兼CEOの前田征利氏、前田工繊財団、8362福井銀行が並ぶ。外国人株式保有比率は10%以上20%未満

取締役会

取締役は5名(社内3名、社外2名)、監査役3名 (社内1名、社外2名)、監査役会設置会社である。社内取締役の斉藤康雄氏は8362福井銀行と株式会社PLANTを経て、2013年9月に同社に入社。経営管理部門に携わり、2013年12月に現職に就任した。

代表取締役の経歴

代表取締役会長兼CEOの前田征利氏は1945年7月生まれ。大阪大学基礎工学部を卒業後、1968年に3401帝人に入社。1970年4月に先代より前田機業場を引き継ぐ。1972年11月に同社を設立し、代表取締役に就任。2018年9月に現職に就任した。
代表取締役社長兼COOの前田尚宏氏は1973年9月生まれ。会長兼CEO前田征利氏の長男。大阪府立大学経済学部を卒業後、1996年4月に3401帝人に入社。2002年7月に同社を入社し、2009年12月に取締役、2012年12月に常務取締役、2013年12月に専務取締役を経て、2018年9月に現職に就任した。国内連結子会社3社の代表取締役会長と、ベトナム子会社の会長を兼任する。

報告セグメント

「ソーシャルインフラ事業」、「インダストリーインフラ事業」、「ヒューマンインフラ事業」の3セグメントに大別される。2021年9月期の売上高は43,236百万円で、ソーシャルインフラ事業が27,763百万円で64.2%、インダストリーインフラ事業が15,472百万円で35.8%を占める。
セグメント利益の9割以上をソーシャルインフラ事業が創出する。利益率はソーシャルインフラ事業が10%台後半から20%台前半、インダストリーインフラ事業が1桁台から10%台前半を推移する。ヒューマンインフラ事業は先行投資段階であり、2023年9月期より業績への寄与が見込まれる。

同社HP TOP>会社情報>IR情報>前田工繊の強み

事業モデル

ソーシャルインフラ事業では、土木工事に使用される高分子材料を手掛け、盛土補強材や土木シート、河川護岸材などの土木・建築・農業資材を製造・販売する。また、自動車資材や土木・建築資材向けに不織布の製造・販売も行う。連結子会社の未来テクノ株式会社では帆布生地製品や海洋土木品、未来のアグリ株式会社では害獣対策製品や園芸用ハウス等の農業用製品、沖縄コーセン株式会社では土木資材、株式会社釧路ハイミールではフィッシュミールや魚油の製造・販売を行う。海外拠点では、ベトナム子会社が合成木材等の製造を担う。
インダストリーインフラ事業では、超純水製造技術やカット技術を使用して、フラットディスプレイパネルや精密機器用ワイピングクロス、ネームリボン、各種工業繊維等の細巾織編二次製品等を製造・販売する。連結子会社の未来コーセン株式会社が高機能ワイピングクロスや丸編製品等の製造・販売を担う。
ヒューマンインフラ事業では、連結子会社であるBBSジャパン株式会社が高級鍛造ホイールの自動車メーカー向けOEM供給やアフター市場向け販売を行う。ドイツ子会社にて加工から販売までも行う。
その他ではヘルスケア事業として2019年6月にMDKメディカル株式会社を設立。海外医療機器ベンチャーに出資し、日本での独占的販売権を取得。市場化に向けた先行投資段階であるが、2023年9月期より業績への寄与が見込まれる。
国内には14か所の事業所と7か所の工場を持ち、海外ではドイツとベトナムに子会社を有する。国内工場では全てソーシャルインフラ事業の製品を製造する。海外売上高比率は、11.1%である。(2020年9月期)
<2>競合他社

道路用資材で国内トップの4212積水樹脂 (2021年3月期売上高64,735百万円)、建設用資材や構造機材が主力の5959岡部(2020年12月期同63,127百万円)、合成樹脂繊維製品が主力の7856萩原工業 (2020年10月期同27,231百万円)が競合として挙げられる。

連結の範囲

連結子会社10社と持分法非適用非連結子会社1社を持つ。ヒューマンインフラ事業を担うBBSジャパン株式会社は連結売上高に占める売上高の割合が10%を超える。

強み・弱み

機動的なM&Aの実施により事業範囲を拡大してきた点は強み。繊維や樹脂を基に社会インフラ関連市場の開拓を多角的に展開する。経営者の高齢化や販路拡大、人材開発等に悩む国内地方企業を中心に、積極的にM&Aを実施。同社の経営資源を投入することで、地方企業の持つ技術やノウハウを最大限に活用する。2000年以降は16社のM&Aを行う。懸念点としては、合成樹脂や合成繊維の原料である原油の価格変動リスクが挙げられる。また、永らく創業一族による経営が敷かれており、ガバナンス状況や後任問題は潜在的なリスクとなりうる。

KPI

KPIには①ROEと②ROA、③セグメント別計画売上高達成率が挙げられる
①ROE(2021年9月期):12.9%
②ROA(同):7.5%
③セグメント別計画売上高達成率(同)

第49期 決算補足資料

第49期 決算補足資料

業績

2017年9月期から 2021年9月期にかけて連続増収で売上高は約1.38倍へ増加。2021年9月期は公共事業関連資材全般や不織布マスク、自動車向け製品が好調に推移し、前期比+9.8%の増収となった。経常利益は2017年9月期から2019年9月期にかけて約1.28倍に拡大。2020年9月期はヒューマンインフラ事業での新工場や新規設備への人件費や減価償却費が嵩み、前期比▲14.0%減益したが、2021年9月期はインダストリーインフラ事業での生産稼働率の上昇や販管費の減少により、前期比+37.6%の増益となった。フリーCFは有形固定資産や有価証券の取得により投資CFが大幅マイナスとなった2019年9月期と2020年9月期を除いてプラスを推移。自己資本比率は50%台後半を推移する

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