7867 タカラトミーの業績について考察してみた

7867 タカラトミーの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1953年1月に合資会社三陽玩具製作所を改組して三陽工業株式会社を設立し、大型金属玩具の製造を開始。1961年10月に鉄道玩具「プラレール」を発売。営業部門を分離独立させていた販売子会社富山商事株式会社を株式会社トミー、山陽工業株式会社をトミー工業株式会社へ1963年3月に商号変更。1970年8月にミニカー「トミカ」を発売。1989年3月に販売子会社の株式会社トミーを吸収合併のうえ、株式会社トミーに商号変更。1999年3月に東証二部に上場。2000年3月に東証一部に変更。2006年3月に株式会社タカラと合併し、株式会社タカラトミーに商号変更。本社は東京都葛飾区。国内大手の玩具メーカーであり、「プラレール」や「トミカ」等がヒット商品にある

株主構成

2021年3月期第2四半期報告書によると2020年9月末時点の大株主は、筆頭株主が代表取締役会長富山氏と親族が前議決権を保有する司不動産株式会社で8.0%、次いで日本マスタートラスト信託銀行株式会社が信託口で6.7%、以下は5%未満の保有で、国内外の信託銀行等の信託口や代表取締役会長の富山幹太郎が2.8%などが並ぶ。また変更報告書によると、三井住友信託銀行と共同保有者の持分が5.45%と報告されている。外国人株式保有比率は20%以上30%未満

取締役会

取締役は11名(社内5名、社外6名)、監査役4名 (社内1名、社外3名)、監査役会設置会社である。取締役副社長の鴻巣祟氏はプロパーで入社当時18歳と見られ、専務取締役の沓澤浩也氏は40歳で入社したと見られ前職等の経歴は不明、取締役常務執行役員の富山彰夫氏は創業一族で会長の富山幹太郎氏の長男にあたり26歳で同社に入社。

代表取締役の経歴

代表取締役会長の富山幹太郎氏は1954年1月生まれ。英国ハル大学を卒業後、1982年7月に同社に入社。1983年5月に取締役、1985年5月に取締役副社長、1986年12月に代表取締役社長、2017年6月に現職に就任した。創業一族で3代目社長であった。
代表取締役社長の小島一洋氏は1961年1月生まれ。東京大学教養学部を卒業後、1983年4月に三菱商事株式会社に入社。丸の内キャピタル株式会社を経て、2009年6月に同社の社外取締役に就任。2012年4月に社内取締役、2012年に常務取締役、2017年6月に代表取締役副社長を経て、2018年1月に現職に就任した。

報告セグメント

「日本」、「アメリカズ」、「欧州」、「オセアニア」、「アジア」の5セグメントに大別される。2021年3月期は売上高141,218百万円の内、日本が104,051百万円で73.7%、アメリカズが21,793百万円で15.4%、欧州が5,986百万円で4.2%、オセアニアが1,909百万円で1.4%、アジアが7,477百万円で5.3%を占める。
セグメント利益の約90%は日本で計上。利益率は日本とアジアが1桁後半から10%台を推移、アメリカズと欧州、オセアニアは1桁台からマイナスを推移する。
クリスマス、年末年始など特定時期に売上が偏重する傾向にあるため、業績推移の確認時には注意が必要である。

事業モデル

国内老舗玩具メーカーとして、14カテゴリーの玩具を製造から販売まで一貫して手掛ける(同社は玩具を全15~16のカテゴリーで認識していると見られ、アニュアルレポートでは全15中14、同社海外向けサイトhttps://heritage.tomy.com/では全16中15をラインナップと記載している。日本玩具協会や米国玩具工業組合の分類とは異なるもよう)。玩具小売店への販売の他、直営店、自社通販サイト等の販売チャネルを持つ。「プラレール」や「トミカ」等の定番玩具から、ポケモンやアナと雪の女王といったアニメや映画とのコラボ玩具まで幅広く取り扱う。130以上の国と地域に事業を展開。販売地域をセグメント別に5地域に分け、地域毎の顧客ニーズに合わせたマーケティングを実施。開発・生産は日本とアジア、企画・製造は日本と米国・欧州、販売は全5地域に連結子会社を持つ。
知名度の高いロングセラーのブランドや商品が業績を底支えする一方で、継続的な研究開発及び商品企画やリニューアルによって、ヒットコンテンツを生み出し続けることで業績を積み上げる必要がある
国内玩具市場は2019年度で前年度比97.4%の8,152億円と、2014年以来6年連続で8,000億円を超えており、ほぼ横ばいに推移。品目別で見るとジグソーパズルやカードゲームの伸び率が高い。また国内のモバイルアプリゲーム市場は1兆円を超える規模であり、デジタル事業の拡大に注力する。
国内市場が少子高齢化の傾向にある中で、アジアを中心とした海外市場へ積極的に展開。海外売上比率は2021年3月期で38.2%

同社アニュアルレポート(2020年3月期)

競合他社

玩具メーカーの競合として、7867バンダイ(2021年3月期売上高740,903百万円)、マテル・インターナショナル、レゴ、エポック社、ハズブロ社などが挙げられる。今後の市場成長を牽引するとして同社も注目するアジア市場では、中国の玩具メーカー大手である奥廸玩具(AULDEY)や高楽(GOLDLOK TOYS)といった新興企業の動向にも注意が必要である。

連結の範囲

連結子会社32社と持分法適用関連会社1社、関連会社2社を持つ。主要な連結子会社には玩具の卸販売やロジスティクスの管理・運営を行うタカラトミーマーケティングと、ショップやイベントの運営を行うタカラトミーフィールドテック北米・欧州・オセアニアで展開するTOMY International,Inc. が挙げられる。

強み・弱み

強みとして、人気ブランドの知名度が挙げられる。代表商品として国内では、鉄道玩具「プラレール」やミニカー「トミカ」、着せ替えできる「リカちゃん人形」が高い知名度を有し、海外では「トランスフォーマー」、「ベイブレード」、「Lamaze」などの人気ブランドを有す。トミカの累計販売台数は2020年1月時点で6億7,000台以上に及び、リカちゃん人形の累計販売数は2017年で6,000万体以上に及ぶ。
確立したブランド力を生かして、トミカでは日用品や雑貨、書籍、アパレル等の周辺分野に進出。玩具製品以外の収入源を増やすべく注力しているが、大きな環境変化を迎えた玩具業界において、グローバルな経営基盤を活用した自社IPの活用や新たなIP獲得の出遅れ、デジタルコンテンツや新たなプラットフォームへの対応、乳幼児向け玩具への進出などの重点戦略で成果を出せるかはリスクとなる。また、少子化の進む国内市場縮小、特定コンテンツの成否による業績変動リスク、海外事業展開する上での為替リスク、原油や金属素材などの原材料の価格変動リスクなども挙げられる。

KPI

KPIには海外売上比率と地域別売上高などが挙げられる
①海外売上比率:38.2%(2021年3月期)
②地域別売上高(同)
③玩具市場規模:2019年度国内8,152億円、世界863億ドル
④為替動向(米ドル等)

2021年3月期決算発表会資料

業績

2015年3月期から2019年3月期にかけては増収で、海外事業の収益性改善などもあり経常利益は1.8倍に増加した。しかしその後は、ヒット商品の創出に至らなかったこと、新型コロナ流行の影響を受け3期連続減収・2期連続減益で、2021年3月期は売上高前期比▲14.3%、経常利益は前期比▲29.7%であった。営業CFはプラスを継続。投資CFはマイナスを継続。財務CFはマイナスを継続していたが、2021年3月期にプラスプラス展開。自己資本比率は2021年3月期で51.6%。前期の46.5%から改善した