8160 木曽路の業績について考察してみた

8160 木曽路の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1952年9月に喫茶事業を目的として、名古屋市中区にて設立された株式会社まつば喫茶が起源。1966年9月にしゃぶしゃぶ専門店の木曽路1号店を名古屋市中区に開店したことを皮切りに喫茶事業からしゃぶしゃぶ、ファミリーレストラン事業へと業態をシフトさせた。中部地区を中心に店舗展開していたが、1982年7月にしゃぶしゃぶ木曽路を東京都中央区銀座に開店させるなど、積極的に全国展開。1987年11月には名証第二部に上場、2000年9月に東証第二部、2001年9月には東証及び名証第一部に指定替えとなった。現在は、しゃぶしゃぶ・日本料理の木曽路を中核に、焼肉・居酒屋など全国に202店舗(2021年3月末)を展開する飲食業を主な事業とする

株主構成

有価証券報告書によると、2021年3月末時点の筆頭株主は、従業員持株会である木曽路共栄会で発行済株式の4.26%を保有する。その他は、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)が第2位株主として3.06%を保有するほか、株式会社日本カストディ銀行の信託口が上位株主として名を連ねる。また、取引先であるアサヒビール株式会社が第4位株主として1.94%を保有するほか、麒麟ビール株式会社が1.37%(第7位)、サントリー酒類株式会社が1.37%(第7位)をそれぞれ保有する。なお、外国人保有比率は10%未満

取締役会

取締役は6名(社内4名、社外2名)、監査役は3名(社内1名、社外2名)、監査役会設置会社である。代表権を有さない社内取締役2名はプロパーとみられる。社外取締役は、東邦ガス出身の松井常芳氏と日本興業銀行などで勤務経験のある伊藤邦昭氏である。

代表取締役の経歴

代表取締役会長である吉江源之氏は1947年7月生まれ。1971年に慶應義塾大学法学部を卒業後、協和銀行(現りそな銀行)に入行。1977年4月に同社へ入社後、商品部長を経て、1981年7月には専務取締役に就任後、長年にわたって経営に関与してきた。1993年6月に代表取締役社長、2016年3月に代表取締役会長兼社長などを歴任後、2021年3月に現職に就任。
代表取締役社長である内田豊稔氏は1959年9月生まれ。駒澤大学法学部を卒業。その後の経歴は詳細不明。1996年7月に同社へ入社。名古屋工場長、取締役管理統括本部長兼人事部長などを歴任後、2021年3月に代表取締役社長に就任した。

報告セグメント

事業内容がほとんど飲食店経営であることから単一セグメントとしており、外食事業は、現状「木曽路部門」・「その他部門」・「大将軍」の三つの部門での切り分けが行われている。ただ、2021年1月に買収した千葉県を中心に焼肉店を展開する「大将軍」については別区分となっているが、2021年7月には焼肉事業本部を新設し、既存焼肉部門との一体化を促進する体制変更を進めている。

事業モデル

経営理念として「お客様の感動が私たちの喜びとし、日本一質の高い外食産業を目指す」を掲げ、上質な食材を用いて、落ち着ける店舗開発を行いながら、値ごろ感を感じてもらえるメニューの提供を目指している。店舗展開は、しゃぶしゃぶと日本料理の「木曽路」を中心に、焼肉の「じゃんじゃん亭」・「特選和牛大将軍」、居酒屋の「素材屋」、和食レストランの「鈴のれん」、など和食を中心としたメニューを得意としている。また、中部地区を中心に、関東・関西など大都市圏を中心とした出店を中長期の経営戦略としている。

競合他社

外食産業は、ファーストフード店やファミリーレストランなどがひしめき合っており、競合先は多いが、同社の主力事業であるしゃぶしゃぶ・和食関連の競合先を見ると、しゃぶしゃぶ温野菜を展開する7616株式会社コロワイド(2021年3月期売上高1,681億円)、寿司・しゃぶしゃぶのゆず庵を展開する3097株式会社物語コーポレーション(2020年6月期売上高579億円)、華屋与兵衛などを展開する7550株式会社ゼンショーホールディングス(2021年3月期売上高5,950億円)などが競合すると言える。また、非上場であるが、すかいらーくグループが運営するしゃぶ葉も競合先と言えるだろう。

連結の範囲

2021年3月末時点において、同社グループは同社のほか、2021年1月に連結子会社とした株式会社大将軍から構成される。

強み・弱み

主戦場とする中価格帯における競合が少ない点がある。同社が得意とするしゃぶしゃぶと日本料理の「木曽路」は、競争が激しいファミレス業態とは一線を画し、上質な食材とサービスを売りにしており、高単価なコース料理などをメインとしている。しゃぶしゃぶというメニューで競合する企業はあるが、同社同様の価格帯でチェーン展開できている競合は少ない。
一方で、弱み・リスクとしては、同社の主力事業が木曽路に大きく依存している点にある。新型コロナウィルスの感染拡大で大きく業績が落ち込んでいる、買収した大将軍で焼肉事業を強化し、投資リターンを出していけるかは今後の課題。

KPI

KPIとして以下のものが挙げられる。
「設備投資額(新設店)」 1,040百万円 (2021年3月期)
「設備投資額(改装築)」 437百万円 (2021年3月期)
「新設店店舗数」 4店 (2021年3月期)
「改装築店舗数」 3店 (2021年3月期)
新型コロナウィルス感染拡大の影響で、設備投資関連の動きにはややブレーキがかかった状況にあり、新設店舗数は2022年3月期では2店にとどまる見込みである。ただし、今後は既存ブランドの新規出店などに加え、大将軍買収後のブランド再編・新規出店も想定される。

2021年3月期決算説明資料

業績

2017年3月から2020年3月までの売上高は、約44,000百万円前後で安定的に推移していた。ただ、2021年3月期については、新型コロナウィルスの感染拡大による影響で大きく売上高はおちこみ、2021年3月期売上高は31,067百万円、当期純損失は▲5,533百万円と、大きな減収減益を記録した。同社は強固な財務体質を強みとし、自己資本比率は75%前後で推移してきたが、2021年3月期は55%台まで低下している