3409 北日本紡績の業績について考察してみた

3409 北日本紡績の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1948年10月に北日本紡績株式会社を設立し、各種繊維の紡績や加工を開始 。1954年3月に東証二部に上場。19640年5月に長繊維ウーリー加工糸の生産・販売を開始。2008年9月に東証二部から上場廃止。2013年7月に東証二部に再上場。本社は石川県。帝人グループからの受託生産が事業の柱3期連続赤字にて、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせる事象等が存在。

株主構成

2021年3月期有価証券報告書よると2021年3月末時点の筆頭株主は、合同会社サクセスインベストメントで14.1%、次いで個人投資家の正井宏治氏が6.9%、以降は保有割合5%未満で個人投資家の山上豊氏、前取締役社長の直山秀人氏、個人投資家の鷲津有一氏、3401帝人、個人投資家の足立裕亮氏、株式会社ディスコと続く。その他には個人投資家が並ぶ。外国人株式保有比率は10%未満

取締役会

取締役は6名(社内4名、社外2名)、うち3名(社内1名、社外2名) が監査等委員、監査等委員会設置会社である。社内取締役にプロパーはおらず、2768双日8363北國銀行、株式会社FFBI-Management等の多様な経歴を持つ取締役が揃う。取締役の本秀行氏は監査等委員長を兼任する。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の粕谷俊昭氏は1959年3月生まれ。慶應大学商学部を卒業後、1982年4月に4183三井化学に入社。住友商事ケミカル株式会社やダイソーケミカル株式会社、株式会社和円商事を経て、2020年5月に現職に就任した。

報告セグメント

「紡績事業」、「テキスタイル事業」の2セグメントに大別される。報告セグメントに含まれない事業として、ヘルスケア事業等の新規事業を含むその他がある。2022年3月期第1四半期の売上高は165百万円で、紡績事業が84百万円で50.7%、テキスタイル事業が58百万円で35.3%、その他が23百万円で14.0%を占める。
2021年3月期は紡績事業とその他で損失を計上したが、利益率は紡績事業が1桁中盤、テキスタイル事業は1桁前半、その他はマイナスで推移する傾向がある。

事業モデル

紡績事業では、主力の自動車向けのアラミド繊維や高級インナー向け紡績糸であるポリテロン、ポリエステルなどのその他紡績を製造・販売する。また、帝人からの染色加工を受託する。
テキスタイル事業では、中東向けに民族衣装用生地の販売を行う。2020年9月より、抗菌・抗ウイルス糸の研究開発を開始し、機能性に優れた生地の提供体制を整える。
紡績事業の生産体制は本社松任工場に集約し、テキスタイル事業では委託先の加工場で製品を製造する。
その他事業として、ヘルスケア事業とリサイクル事業が挙げられる。ヘルスケア事業では、2020年8月より不織布マスクの製造販売を開始し、2021年1月には化粧品や医薬部外品を製造する株式会社中部薬品工業を連結子会社化。今後は不織布マスクの生産を株式会社中部薬品工業に委託するとともに、防護服等の医薬部外品を中国から輸入して販売する。
2020年9月には、リサイクル事業へ新規参入。使用済みペットボトルを使った繊維の生産や、製造自動車解体後のエアバックのナイロン製品への加工を進める
連結売上高に占める主要な顧客への売上高は、帝人が28.0%、帝人フロンティア株式会社が21.1%、GEEDEEKAY INTERNATIONALが15.1%、株式会社クラボウインターナショナル10.1%を占める。(2021年3月期)
帝人グループ向けの売上が多い中、ヘルスケア事業やリサイクル事業等の独自事業での売上高拡大を狙う。

競合他社

植物繊維セルロースを扱う3111オーミケンシ (2021年3月期売上高6,788百万円)、天然素材を使用した紡績糸を扱う3125新内外綿(同2,939百万円、2021年7月に上場廃止)、羊毛紡織に強い3201ニッケ(2020年11月期同104,915百万円)が競合として挙げられる。

連結の範囲

ヘルスケア事業を担う株式会社中部薬品工業を連結子会社に持つ

強み・弱み

強みとして帝人グループからの受託体制と高い品質管理能力が挙げられる。同社の連結売上高の約半分を帝人グループ向けの売上高が占めており、安定的な取引関係を保つ。また生産設備を本社松任工場に集約することで、品質管理の徹底や多品種・小ロット製品などの細やかな生産対応を可能にする。懸念点には、帝人グループの業績変動による売上高変動リスクが挙げられる。また、高い紡績技術を有する一方で営業力が弱く、企画から研究開発、新規事業の開発力がないことが課題である。現在、抗ウイルス抗菌紡績糸の開発を進めるが、上市に至るか、販売基盤を構築できるかも懸念点である。

中期経営計画2022-2024

KPI

KPIには事業・製品別売上高が挙げられる
事業・製品別売上高(2022年3月期第1四半期)
・紡績事業:84百万円(50.7%)
(アラミド:65百万円、ポリテロン:10百万円、その他紡績:7百万円)
・テキスタイル事業:58百万円(35.3%)
(衣装用生地販売:58百万円)
・その他:23百万円(14.0%)

中期経営計画2022-2024

業績

過去10年の業績を見ると、売上高は2015年3月期が397百万円と4億円を割り込み最低値で、次いで振るわなかった2017年3月期以降は、右肩上がりに伸長し約1.5倍となっている。経常利益は2016年3月期から2018年3月期までの3期はかろうじて黒字を維持したが、2019年3月期以降再び赤字転落し2021年3月期は▲101百万円と赤字幅を拡大している。テキスタイル事業や新規事業でのコスト増加の影響とみられる。2021年3月期は新型コロナ流行を受けて主力の自動車向けアラミド繊維の受注が伸び悩んだ他、高級インナー用向け製品の在庫が膨らみ、紡績事業では営業損失を計上。テキスタイル事業では、新型コロナ流行前に販売を進めていたことから業績が順調に推移し、前期から一転して営業利益を計上。全体では紡績事業とその他の事業での損失を補えず、経常損失を維持。フリーCFは、期によって変動幅が大きい。2021年3月期の自己資本比率は51.4%。前期の35.1%から大幅に改善。