4344 ソースネクストの業績について考察してみた

4344 ソースネクストの業績について考察してみた

PERAGARU管理人

沿革

1996年8月東京都にて株式会社ソース設立。1996年12月ハードディスクの加速ユーティリティソフト「驚速95」を、1997年6月タイピングソフト「特打」を発売。1999年10月ソースネクスト株式会社に商号変更。2006年12月東証マザーズ上場、2008年6月東証一部に変更。2012年3月9433KDDIの「auスマートパス」向けを皮切りに、スマホ向けアプリの開発、提供を開始する。2017年12月にAI翻訳機「POCKETALK(ポケトーク)」発売。2022年2月ポケトーク事業を分社化、連結子会社として株式会社ポケトークを設立。第三者割当増資により13.8億円の資金調達を実施した。セキュリティや個人向け低価格商品が中心のソフト開発会社

株主構成

有価証券報告書によると2021年9月末時点の筆頭株主は、代表取締役の松田憲幸氏で保有割合26.66%。株式会社ヨドバシカメラが10.59%、日本マスタートラスト信託銀行の信託口が8.48%で続き、以降は保有割合5%未満で代表取締役会長松田氏の親族松田里美氏、国内信託銀行信託口、海外金融機関、株式会社新進商会、ソースネクスト社員持株会が並ぶ。外国人株式保有比率は10%未満

取締役会

取締役は7名(社内4名、社外3名)、監査役は3名(社内1名、社外2名)、監査役会設置会社である。代表権を持たない社内取締役は株式会社リクルート出身の藤本氏、監査法人、コンサル出身の青山氏の2名で構成される。

代表取締役の経歴

代表取締役は2名。取締役会長兼CEOの松田憲幸氏は1965年5月生まれ。大阪府立大学卒業後、1989年4月日本アイ・ビー・エム株式会社入社、1993年9月独立、1996年8月に同社を設立し、以降代表取締役を務める
取締役社長兼COOの小嶋智彰氏は1977年6月生まれ。京都大学卒業後、カリフォルニア大学にてマーケティングを学び、帰国後の2001年9月同社に入社。2008年6月に取締役就任、2021年2月より代表取締役を務める

報告セグメント

IoT製品、ソフトウェアの企画・開発・販売及びその他のサービス事業の単一セグメント。販売チャネル別の売上高が公表されており、2022年3月期第3四半期累計期間の売上高78億円(前期比▲18.0%減)の内訳は、自社オンラインショップ43.2%(同▲20.6%減)、家電量販店27.0%(同▲31.8%減)、法人営業22.8%(同▲11.1%減)、海外での売上が含まれるその他7.0%(同205.6%)だった。
年次の販売チャネル別、プロダクト別売上・粗利推移は下図の通り。

2021年3月期決算説明資料

事業モデル

市場ニーズを捉えた価格戦略が同社の特徴で、2003年には当時高価だったPCソフトの価格を1,980円に統一し購入者層を拡大、2006年にはセキュリティソフトの更新料を無料にしてシェア・売上を拡大、2013年からはキャリアフリーの使い放題サービスを実施し、月額継続課金により安定的な収入モデルを確立した。
互いの言葉を話せない人同士が自国語のままで対話できるAI通訳機「ポケトーク」シリーズは2018年発売後、61言語の音声・テキスト翻訳および21言語のテキスト翻訳に対応し、累計出荷台数は90万台を突破した。直近はコロナ禍で売上が低迷する中、専用機に加えソフト部分を切り出してパソコンに使えるようにした製品の投入などを行っている。また米国ではアマゾン経由の個人販売に加え、教育や医療、公共機関といった法人取引が伸び、2021年4-12月において前年同期比+252%と販売台数が増加している。
同社事業における開発方法は、自社企画製品を自社にて開発するケース、国内外の開発会社に開発委託するケース、他社が著作権をもつ製品のライセンス供与を受け製品化するケースに大別される。「ポケトーク」などのIoT製品は海外の生産委託先より仕入を行っている。販売チャネルは報告セグメントに記載の通り、自社サイトでの直接販売、家電量販店等への卸売販売、スマホのキャリアなど法人企業向けの製品・コンテンツ提供の3つを軸としている。スマホキャリア向けのコンテンツ提供は、アプリ使い放題サービスに加え、IoT製品並びにテレワーク関連ハードウェアの販売やレンタル提供を行っている。

競合他社

ソフトウェア開発会社では4686ジャストシステム(2021年3月期売上高41,174百万円)やウイルス対策ソフトの4704トレンドマイクロ(2021年12月期売上高190,359百万円)、AIを活用した翻訳サービスを提供する6182メタリアル(2021年2月期売上高4,004百万円)などが挙げられる。

連結の範囲

連結子会社は4社。ポケトーク事業を受け持つ株式会社ポケトーク、語学学習ソフト「Rosetta Stone」の販売を行うロゼッタストーン・ジャパン株式会社と米国、オランダの海外現地法人で構成される。

強み・弱み

翻訳機の分野で先行する「ポケトーク」のほか、パソコンソフト販売本数においても高シェアをもつことが強み。「ポケトーク」は2022年1月の「翻訳機」月間販売金額シェア98%で、50か月連続シェア1位を記録している。リスク要因として、開発業務等を業務委託していることから、機密情報漏洩などが考えられる。また翻訳機需要は訪日外国人数の増減に左右されると考えられる。

KPI

ポケトークの売上と相関の高い訪日外国人数など、下記がKPIになると考えられる。
①訪日外国人数(2021年12月12,100人)
②出国日本人数(2021年12月48,900人)
③累計登録者数(2019年で1,700万人)

2022年3月期第3四半期決算説明資料

業績

直近5期の業績を見ると、売上高は2017年3月期から2020年3月期にかけて約1.8倍の規模に。ポケトークの売上寄与が大きい。しかし2021年3月期は、コロナ禍において訪日外国人客数が激減し、ポケトークの販売台数が大きく落ち込んだことから前期比▲25.7%の減収となった。営業利益はポケトークの広告宣伝費等先行投資により2018年3月期から3期連続減収。2021年3月期はテレワーク関連商品の拡充、販管費の圧縮により増益となった。フリーCFは直近5期のうち4期がマイナス。投資有価証券やソフトウェアの取得による投資CFのマイナス幅拡大や、棚卸資産の増加が見受けられ、営業CFもマイナスの期がみられる。 2021年3月期の自己資本比率は60.0%。有利子負債が増加し、前期の70.3%から低下した。

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