6182 ロゼッタの業績について考察してみた

6182 ロゼッタの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

2004年2月現代表取締役CEO五石順一氏が株式会社アイピーオーバンクから有限会社Pearly Gatesの株式持分100%を譲受。AI型の機械翻訳研究開発事業を創業する。同年4月に株式会社化し、5月に株式会社Pearly Gatesを株式会社ロゼッタへ商号変更。11月翻訳支援ツールである「TraTool」をリリース。2006年11月AI型の自動翻訳サービス「熟考」をリリース。2015年11月東証マザーズに上場。2017年12月「スピード翻訳」サービス運用開始。2018年2月1文字1円のAI自動翻訳「アイちゃん」をリリース。

株主構成

有価証券報告書によると2021年2月末時点の筆頭株主は、代表取締役CEOの五石順一氏で26.0%を保有。次いで浮舟邦彦氏が5.0%、BBH FOR MATTHEWS ASIA GROWTH FUNDが5.0%、同社取締役人事本部長のジェイコブソン陽子氏が4.5%を保有。そのほかに、国内外のカストディアン、株式会社SBI証券、同社の取締役である秀島博規氏などが並ぶ。

取締役会

取締役は6名(社内4名、社外2名)、監査役は3名(全員社外、1名は常勤)、監査役会設置会社である。代表権を持たない社内取締役3名は、リーマン・ブラザーズ証券株式会社、シンプレクス株式会社、第一生命保険株式会社、株式会社ライブドア出身者など、経歴は様々である。

代表取締役の経歴

代表取締役CEOの五石 順一氏は1964年12月生まれ。京都大学を卒業後、株式会社ノヴァに入社。その後、株式会社グローヴァの代表取締役や株式会社海外放送センター(現・株式会社グローヴァ)の代表取締役を経験し、2004年2月有限会社Pearly Gates代表取締役CEO(現同社、現職)へ就任。株式会社CLASSⅢの取締役、株式会社T-4PO Constructionの代表取締役も兼任。

報告セグメント

「MT事業」、「HT事業」、「クラウドソーシング事業」、「GU事業」の4報告セグメントに大別され、2021年2月期の売上高4,075百万円の構成比はMT事業69.3%、HT事業22.4%、クラウドソーシング事業8.3%、GU事業0.0%である。セグメント利益は、MT事業342百万円、HT事業167百万円、クラウドソーシング事業22百万円、GU事業▲75百万円であり、全社費用等を差し引いた営業利益は393百万円であった。

事業モデル

MT事業は、AI型の機械翻訳(MT: Machine Translation)を開発し、インターネットを通じて顧客に提供するサービス型ソフトウエアまたはAPIとして販売している。主なサービスは、超高精度AI機械翻訳「T-4OO」で、主な収益は初期費用と翻訳利用料となる
HT(Human Translation)事業は、従来型の昔ながらの人間による翻訳/通訳/語学教育等の業務受託サービスを提供している。 クラウドソーシング事業は、WEBのプラットフォーム上で世界中から登録している多数のバイリンガルに対して、多言語翻訳、翻訳品質評価、海外現地リサーチ、AI開発事業者向け学習データ(機械翻訳・音声認識コーパス)の作成、アプリケーションのローカライズテスト等の多様な外国語関連の仕事が簡単かつ迅速に依頼できるクラウドソーシングサービス「conyac」などを提供する。主な収益は、受託した業務の委託料となる。料金は、内容、言語、ボリューム等に応じて案件ごとに異なり、受託時または納品に際してWEBのプラットフォーム上で業務委託料を受領する。
GU事業は2021年2月期連結会計年度に追加された報告セグメントで、「人類を場所・時間・言語・物理的な制約から解放する」というシン・企業ミッションの事業セグメント。AI、AR (拡張現実)、VR(仮想現実)、5G/6G/7G(高速大容量・多数同時接続通信)、4K/8K/12K(超解像映像)、映像配信ソリューション、ウェアラブルデバイス、ロボット、HA(人間拡張)等の最新テクノロジーを統合して、世界中の人々が「いつでもどこでも誰とでも言語フリーで」交流し、生活し、仕事し、人生を楽しめる「グローバル・ユビキタス」を実現するとしている。
同社事業はコロナ禍の影響を受けるものの、年間新規導入企業数は1,000社を超え、総導入企業数は5,000社を突破。既存顧客においても翻訳文字数は最高値を更新し続けていることから、一社当たりの契約金額が増加しているとのこと。翻訳分野は引き続き堅調な推移が見込まれるが、研修や通訳の分野については依然不透明感が残るとみられる

競合他社

2468ヒュートレック(直近決算期売上高27億円)や2483翻訳センター(直近決算期売上高115億円)など、産業翻訳を事業とする会社は数多く存在する。

連結の範囲

AI型の機械翻訳とその周辺業務を自動化するロボティック・プロセス・オートメーションの研究開発・販売を行う4社(同社及び株式会社CLASSⅢ、株式会社T-4PO Construction、RPAコンサルティング合同会社)、従来型の昔ながらの人間による翻訳と通訳・語学教育等の業務受託サービスを行う1社(株式会社グローヴァ)、クラウドソーシング事業を行う2社(Xtra株式会社、anydooR USA Inc.)の7社から構成されている。

強み・弱み

15年以上にわたる機械翻訳の開発実績(翻訳エンジンやデータベース等)があることが強み。最近では総務省所管の国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が開発を始めた専門分野別産業向け文書機械翻訳エンジン「みんなの自動翻訳@TexTra®」が同社のMT事業サービスに対して競合関係となりつつあることが懸念される。

KPI

2021年2月期のKPIとみられる開示は、セグメント別売上高・営業利益の比較やMT事業における受注高推移など。
・MT事業 受注高3,004百万円(前期比+280百万円)

2021年2月期 決算説明会資料

業績

2016年2月期から2021年2月期までの5年間の業績推移をみると、売上高は1,668百万円から4,075百万円、経常利益は216百万円から368百万円と増収増益だが、2018年2月期は開発先行投資の大幅増額やのれんの減損処理などにより経常損失であった。営業CFは恒常的にプラス、投資CFは恒常的にマイナス。2021年2月期における自己資本比率は44.5%。