3665 エニグモの業績について考察してみた

3665 エニグモの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

2004年2月ショッピング・コミュニティサイトの運営を目的に株式会社エニグモを東京都港区に設立。2005年2月グローバル・ショッピング・コミュニティとして「BuyMa(バイマ)」のサービスを開始。2010年11月ファッションを主軸にリニューアルし現在のソーシャル・ショッピング・サイト「BUYMA(バイマ)」へ。2015年10月にはグローバル版「BUYMA」もリリース。2022年1月現在で会員数が約960万人まで拡大。2012年7月東証マザーズ上場、2019年4月東証一部変更。2022年4月に東証プライム市場へ移行。現在は、パーソナルショッパーと呼ばれる専門性の高い出品者が様々なアイテムを売買出来るプラットフォームを運営する。

株主構成

有価証券報告書によると2022年1月末時点の大株主は、ソニー株式会社24.0%代表取締役である須田将啓氏で12.4%、取締役の安藤英男氏で8.3%、日本マスタートラスト信託銀行6.6%をはじめとする国内外の信託銀行等の信託口などである。外国人保有比率は2022年4月28日付のコーポレート・ガバナンス報告書によると10%以上20%未満である。

取締役会

取締役は7名(社内3名、社外4名)であり、そのうち3名(全員社外、常勤1名)は監査等委員である。社内取締役の経歴はそれぞれで、安藤英男氏は同社設立時からのメンバーで、前職は株式会社電通国際情報サービス。もう1名の金田洋一氏は、加工食品の製造販売や卸などをする企業2社を経て2010年10月より同社へ入社した。

代表取締役の経歴

代表取締役最高経営責任者の須田将啓氏は、1974年4月生まれ。慶應義塾大学大学院修了後、2000年4月博報堂入社。2004年2月に同社を設立し取締役就任。2013年4月までは共同最高経営責任者だった。もう1名の共同最高経営責任者であった田中禎人氏は退任済

報告セグメント

「ソーシャルコマース事業」の単一セグメントである。地域別の売上高は有価証券報告書でのみ報告されている。2021年1月期の地域ごとの売上高は日本73.5%、米国6.9%、その他19.7%であった。

事業モデル

ファッションを中心に、服飾、美容、生活雑貨などの幅広いアイテムを取引するCtoCのECマーケットプレイス『BUYMA』(バイマ)を運営。海外在住の日本人が中心となって世界中のブランド品を中心としたアイテムをパーソナルショッパーとして出品しており、注文が入ってから買い付けるため、出品者は在庫リスクを負わずに済む。世界166カ国19万人以上のパーソナルショッパーを抱え、約1.7万ブランド630万品以上のアイテムが出品されている。決済の間に同社が入るシステムのため、購入者は安心して購入できる。同社の収益源はプラットフォーム間での売買手数料で購入者からは決済システム利用料として出品価格の5.50%、パーソナルショッパーからは成約手数料として5.50~7.70%を収受。法人ショップも出品者として登録が可能であるが、BtoCを中心としたAmazonや楽天などとは異なる点が特徴となっている。
2019年8月より「BUYMA TRAVEL」を独立サイトとして運営を開始し、パーソナルショッパーから“現地ならではのパーソナライズされた旅行体験”の出品をうけ、2020年2月にグランドオープンした。ただ、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から、マーケティングを一時停止している。

競合他社

ファッションのECプラットフォームとして、3092 ZOZO(2022年3月期売上高166,199百万円)などが挙げられるが、ファッションアイテムを販売している大手は国内仕入れ商品を中心に取り扱っている。ハイブランド品を海外から直輸入可能なECサイトは、海外企業の展開するサイトの日本語サイトが数年で急速に充実してきており、カナダのモントリオールを拠点とする2003年設立の「SSENSE」や、英国ロンドンを拠点とする「MATCHESFASHION」、NY証券取引所に上場する「FARFETCH」など、いずれも100を超える国で展開する競合サイトである。国内上場企業では同様のプラットフォームを同一規模で提供する競合企業はない。

連結の範囲

ソニー株式会社は同社の24.0%を保有するその他の関係会社に該当し、同社はソニーの持分法適用会社であるが、同社の方針・政策決定及び事業展開は独立性が維持されている。

強み・弱み

強いリーダーシップを持つ須田将啓氏の下、高い成長性維持してきた事業遂行能力の高さが強み。一方で、比較的参入障壁が低く、グローバルプレーヤーの日本参入も相次ぎ、競争環境が激化することが想定されるのが懸念点。「BUYMA」は円建て決済を前提とした取引で、同社は為替リスクを負わず、出品者が現地通貨建ての仕入れ価格と円建ての出品価格との間の為替変動リスクを負う。出品価格の変更はパーソナルショッパー毎の裁量だが、為替変動を小刻みに反映しないことも多く、円高傾向が強い時には購入者から見て他の方法(例えば海外旅行で直接海外で購入する)よりも割高なため取引数が縮小する懸念がある

KPI

同社より定期的に開示のある下記項目がKPIとなるだろう。
①    会員数989万8,925人 (前年同期比+11.9%)
②    アクティブ会員数134万3,295人 (前年同期比▲2.2%)
③    総取扱高15,170百万円 (前年同期比▲5.9%))
④    取扱件数621,961件 (前年同期比▲11.1%))

2023年1月期第1四半期 決算説明資料

業績

安定的な成長を継続しており、2018年1月期から2022年1月期までの5期間で売上高・営業利益ともに約1.7倍となった。2018年1月期だけは、非中核事業を行う子会社の譲渡によるのれん減損を計上し、増収減益であった。自己資本比率は79.1%とかなり高い。営業CFは安定してプラスで5年連続増加、投資CFは2018年1月期以降、大きくはないがマイナスを継続している。ただ、総じてみると、現時点では財務の健全性は堅牢であると評価できるだろう。

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