4054 日本情報クリエイトの業績について考察してみた

4054 日本情報クリエイトの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1994年8月に日本情報クリエイト株式会社を設立し、1995年1月に建築見積システムの発売を開始。2006年6月に不動産ホームページ制作ツール「Web Manager Pro」の発売を開始。2013年1月に業者間物件流通サービス「不動産BB」の運営を開始。2020年7月に東証マザーズに上場。本社は宮崎県。賃貸用不動産会社向けに仲介・管理業務の効率化ソフトを提供する

株主構成

2021年6月期第2四半期告書によると2020年12月末時点の筆頭株主は、代表取締役社長の米津健一氏の資産管理会社である株式会社NJCで41.2%、次いで米津健一氏が31.2%、以下保有割合5%未満で日本情報クリエイト従業員持株会、国内銀行信託口、海外銀行の顧客口座、証券会社等が並ぶ。外国人株式保有比率は、2020年9月29日更新のコーポレート・ガバナンスに関する報告書によると、10%未満

取締役会

取締役は7名(社内5名、社外2名)、うち監査等委員3名 (社内1名、社外2名)、監査等委員会設置会社である。取締役の経歴を見ると、6203トヨタ自動織機や6902デンソー、東京トヨペット株式会社等とトヨタグループ出身者が代表取締役社長を含めて3名在籍する。その他2名の取締役は、メイワスカイ株式会社や4502
武田薬品工業
等を経験。代表取締役社長を除く、社内取締役4名はそれぞれ開発部、営業部、管理部、監査等委員会に属する。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の米津健一氏は1963年2月生まれ。1981年4月に6203豊田自動織機に入社。その後出版会社の株式会社ほるぷや、自治体向けにシステム開発をする株式会社プロデュースメディアを経て、1994年8月に同社を設立した。

報告セグメント

「不動産業務支援事業」の単一セグメントで、不動産仲介業務向けの「仲介ソリューション」と、不動産管理業務向けの「管理ソリューション」に大きく2分される。2021年6月期第3四半期の売上高は1,942百万円の内、仲介ソリューションが630百万円で32.4%、管理ソリューションが1,294百万円で66.6%、その他が17百万円で0.9%を占める。ソリューションごとの個別の利益は公表されていないが、全体の利益率は20%台前半から中盤を推移する。

事業モデル

不動産業界向けにITを活用した業務効率化サービスを提供する。仲介ソリューションでは、業者同士によるクラウド上での物件流通を可能にした「不動産BB」や、ホームページ制作ツール「Web Manager Pro3」等を無償で提供。これらの製品やサービス上で物件の仕入から集客、契約までを一貫して顧客に提供できるソリューションとして「電子入居申込」や「IT重説」など非対面で行えるツールを有償で提供する
管理ソリューションでは、賃貸物件の総合管理システム「賃貸革命」や、「賃貸革命」上での入出金データを会計ソフトと連動する「会計連動」等の商品を展開。物件の入退去管理や入出金、建物の保守点検等の一連の管理業務に係るソリューション提供を実施
不動産BBを無償ソフトとして不動産会社に提供し、その後の物件への集客から契約、物件管理までの各種課金ソフトへの顧客取り込みを狙うフリーミアム制度を採用。同社が提供する課金サービスの導入社数は全国で6,102社(2020年6月時点)である。また不動産会社と入居者をつなぐアプリとして「くらさぽコネクト」を展開。不動産会社と入居者が契約更新や請求の通知、問い合わせをアプリ上で行うことができ、スムーズな非対面やりとりを実現する。
国内の不動産テック業界市場規模は拡大傾向(図参照)である上に、新規開業する不動産事業者数は毎年5,000社以上である。同社は不動産テック事業を今後も成長が期待できる分野として位置付ける。

2021年6月期 第2四半期 決算説明資料

競合他社

SaaS型不動産業務支援ソフトを提供する3796株式会社いい生活(2021年3月期売上高2,214百万円)、賃貸管理ソフト「いえらぶCLOUD」を提供する株式会社いえらぶGROUP(非上場),「賃貸名人」を提供する株式会社ダンゴネット(非上場)などが競合として挙げられる。

連結の範囲

連結の対象となる子会社や関連会社を持たない

強み・弱み

強みとしてサービス提供の一貫性とフリーミアム制度が挙げられる。同社のビジネスモデルは、無償サービスである「不動産BB」を通して集客を行い、その後に係る各種不動産業務を連動した課金ソフトを通して提供することで、課金顧客への移行をスムーズに実現する仕組みを構築する。不動産業務に係る一連の手続きをカバーした支援サービスを提供しており、課金顧客の解約率は0.6%(2020年6月期第4四半期)と低水準を誇る。課金ソフトの導入社数は2016年から2020年の過去5年で約1.3倍に増加し、2020年6月期の売上高の内、ストック売上高が7割近を占める。新型コロナ流行に伴うリモート化や、重要説明事項や契約の電子化によるさらなる需要獲得を狙う。
懸念点としては、不動産業界に特化したビジネスモデルであるため、国内の不動産業界の景気悪化によりシステム投資の減退が生じた際の売上高への影響が挙げられる。

KPI

KPIには①課金解約率、②ストック売上高、③導入社数(有償)、④不動産BB導入事業所数の4つが挙げられる
①課金解約率:0.3%(2021年6月期第3四半期)
②ストック売上高:67.9%(同)
③導入社数(有償):6,102社(2020年6月期)
④不動産BB導入事業者数:16,319(2021年6月期第3四半期)

2020年6月期 決算説明資料

業績

売上高は2016年3月期から2020年6月期までの5期で約1.5倍に増加した。2019年6月期から2020年6月期にかけては、政府による働き方改革の推進や、新型コロナ流行に伴う非対面ツールのニーズ拡大の影響を受けて前年比+10.6%の増収となった。経常利益は過去5期で2.8倍と大幅に増益。新型コロナ流行前より積極的なリモート商談を社内で取り入れていたため、2020年6月期は新型コロナ流行よる営業活動への影響が少なく、前年比+49.2%の増益となった。CF計算書の作成がされた2018年6月期以降、フリーCFはプラスで推移。財務CFは2019年6月期を除いて、マイナス。自己資本比率は2020年6月期で51.5%。前期の48.4%から改善した。有利子負債はゼロ。