4776 サイボウズの業績について考察してみた

4776 サイボウズの業績について考察してみた

PERAGARU管理人

沿革

1997年8月、愛媛県松山市にて設立された。社名は「電脳」を意味する「cyber」と、親しみを込めた「子供」の呼び方「坊主(bozu)」に由来し、「電脳社会の未来を担う者達」という意味も込められている。1997年10月に「サイボウズOffice」シリーズを発売。初期ソフトウェアはスケジュール、行き先案内板、掲示板、施設予約の4アプリケーションのみ。製品パッケージやマニュアルも作らず、顧客自身がホームページからソフトをダウンロードする配布形態によって製作コスト削減・製品の低価格化を実現した。2000年8月に東証マザーズに上場、2002年3月に東証二部、2006年7月に東証一部へ市場変更。2007年より中国、ベトナム、米国など海外展開。2021年には日経コンピュータ「顧客満足度調査 クラウド基盤サービス部門」1位を獲得、また「働きがいのある会社ランキング」に8年連続でランクインしている。

株主構成

有価証券報告書によると、2021年6月末時点での大株主は共同創業者かつ元取締役の畑氏(18.9%)、Cbzサポーターズ株式会社(17.6%)、サイボウズ従業員持株会(4.8%)である。Cbzサポーターズは代表取締役社長の青野慶久氏が100%出資している会社で、個人の持ち分を合わせて19.4%を保有し、実質的には同氏が筆頭株主である。なお、外国人株式保有比率は10%以上20%未満。

取締役会

取締役17名(全員社内)、監査役3名(全員社外、1名は常勤)、監査役会設置会社である。
「全社員が情報を発信し、情報にアクセスできる組織」、「全社員取締役化」を掲げ、2020年12月、社内公募で取締役を募り、2021年3月の株主総会を経て増員した経緯がある。新しい取締役のなかには新卒1年目(公募当時)の社員も見られる

代表取締役の経歴

代表取締役社長の青野慶久氏は1971年6月生まれ。大阪大学工学部を卒業後、1994年4月に松下電工株式会社へ入社。松下電工で青野氏の上司だった高須賀宣氏、大阪大学の先輩だった畑慎也氏の3名で同社を起業した。2005年より代表取締役社長を務める。

報告セグメント

「ソフトウェア事業」の単一セグメント。「kintone」、「サイボウズOffice」、「Garoon」を中心にパッケージソフト、クラウド両方で業務効率化サービスを提供する。2020年12月期末においては自社クラウド基盤「cybozu.com」上で提供するサービス売上が積み上がり、連結売上高は15,674百万円(前期比+16.8%)であった。このうちクラウド関連事業の売上高は11,945百万円(前期比+24.9%)となっている。

cybozu ビジネスハイライト 2020.1.1~2020.12.31

事業モデル

直販とパートナー販売でクラウドサービスを提供する。現在はクラウド版販売の半数以上がパートナーからの販売となっている。主力製品である業務アプリ構築クラウド「kintone」は、プログラミング等のスキルがなくてもデータベース、情報共有、コミュニケーション等のツールを作成できるPaaS(Platform as a Service)である。最低5ユーザーから契約でき、1ユーザー月額1,500円。同サービスの契約社数は18,000社(2020年12月期、前期比+28.6%)を突破し、順調に伸長している。2019年7月には自治体専用閉域ネットワークLGWANに対応し、官公庁でも活用されてきている。
中小企業向けグループウェア「サイボウズOffice」は勤怠管理や経費申請等のビジネスに必要な機能を集約したサービス。数人から300人程度の組織に最適なツールであり、クラウド版は最低5ユーザーから、1ユーザー500円から契約できる。同サービスは5年連続で過去最高売上高を記録し、2020年末時点で69,000社を超える顧客へ提供している。
大企業・中堅企業向けグループウェア「Garoon」は、詳細な権限設定、国際化、システム連携にも対応する総合ビジネスパッケージ。300名から数万人規模の組織向けに提供されている。近年は同サービスの認知度が高まっており、2020年12月末時点でパッケージ製品とクラウドサービスを合わせて累計導入社数5,800社を突破した。クラウド版は最低10ユーザーから契約でき、1ユーザー月額800円から提供している。

株主会議2021 サイボウズと語る一日

近年、働き方の多様化が進んでいることやSaaS市場の盛り上がりから、グループウェアの市場規模も拡大するものとみられる。

競合他社

業務を効率化するグループウェアで国内高シェアを誇る。時価総額(2022年2月現在)は約760億円。同業種の1位は日本オラクル(4716)、2位はトレンドマイクロ(4704)、3位はオービックビジネスコンサルタント(4733)、4位はジャストシステム(4686)であり、サイボウズの時価総額は日本オラクルの約7%である。

連結の範囲

東京、上海、ホーチミン、カリフォルニア、シドニー拠点の連結子会社5社と、関連会社2社によって構成されている。

強み・弱み

クラウド版の成長性が挙げられる。主力サービスの1つである「Garoon」に関してはパッケージ売上高が微増しているものの、その他のサービスは総じてパッケージ売上高が減少している。本業で得た資金の大半を、クラウドサービスに使用するサーバー等に投資していることや、市場規模拡大の追い風、ユーザーにクラウドの利便性が浸透してきていることから、今後さらなる伸びが期待できる。同社の提供するサービスは顧客が業務を遂行するための基盤となっており、クラウドサービスを提供する他社の動向をみても、比較的高い価格の決定権を有する点も強みといえる
一方で、グローバル市場における認知度の低さが課題。日本国内と比較してライバル企業が圧倒的に多く、競争も激しい。商習慣の違いにフィットした機能やサービス展開、またパートナー企業の新規開拓が急がれる。

株主会議2021 サイボウズと語る一日

KPI

クラウドサービスの海外契約数はKPIになるといえる。以下、主力サービス「kintone」の、中華圏、APAC、米国での2020年度末時点の契約数である。
①中華圏1,110社(前期比+7.8%)
②APAC750社(前期比+27.1%)
③米国520サブドメイン(前期比+44.4%)

株主会議2021 サイボウズと語る一日

業績

売上高・利益ともに安定的な成長を継続しており、2016年12月期から2020年12月期までの5年間で売上高は1.9倍、経常利益は3.9倍、営業CFは3.1倍となった。投資CFは恒常的にマイナス。直近5年間の財務CFは▲459百万円~▲270百万円(主に配当金の支払額)で推移し、現金及び現金同等物の期末残高は1,587百万円~3,956百万円で推移している。投資に必要な資金は本業の儲けで確保できており、必要な時に資金調達を行う余裕があることが読み取れる。自己資本比率は5年間を通じて50%前後で推移している。



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