4776 サイボウズの業績について考察してみた

4776 サイボウズの業績について考察してみた

PERAGARU管理人

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2023.Q1 2023.03 6,059 1,238 20.43%
FY2023.Q2 2023.06 6,229 793 12.73%
FY2023.Q3 2023.09 6,448 1,093 16.95%
FY2023.Q4 2023.12 6,696 270 4.03%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q1 2017.03 2,315 602 26%
FY2017.Q2 2017.06 2,298 249 10.84%
FY2017.Q3 2017.09 2,298 280 12.18%
FY2017.Q4 2017.12 2,591 -329 -12.7%
FY2018.Q1 2018.03 2,695 604 22.41%
FY2018.Q2 2018.06 2,828 465 16.44%
FY2018.Q3 2018.09 2,769 482 17.41%
FY2018.Q4 2018.12 3,011 -448 -14.88%
FY2019.Q1 2019.03 3,211 792 24.67%
FY2019.Q2 2019.06 3,336 460 13.79%
FY2019.Q3 2019.09 3,340 577 17.28%
FY2019.Q4 2019.12 3,530 -97 -2.75%
FY2020.Q1 2020.03 3,804 885 23.26%
FY2020.Q2 2020.06 3,866 747 19.32%
FY2020.Q3 2020.09 3,865 663 17.15%
FY2020.Q4 2020.12 4,139 -25 -0.6%
FY2021.Q1 2021.03 4,448 924 20.77%
FY2021.Q2 2021.06 4,525 496 10.96%
FY2021.Q3 2021.09 4,637 438 9.45%
FY2021.Q4 2021.12 4,879 -417 -8.55%
FY2022.Q1 2022.03 5,184 313 6.04%
FY2022.Q2 2022.06 5,379 10 0.19%
FY2022.Q3 2022.09 5,630 530 9.41%
FY2022.Q4 2022.12 5,874 -242 -4.12%
FY2023.Q1 2023.03 6,059 1,238 20.43%
FY2023.Q2 2023.06 6,229 793 12.73%
FY2023.Q3 2023.09 6,448 1,093 16.95%
FY2023.Q4 2023.12 6,696 270 4.03%

沿革

1997年8月、愛媛県松山市にて設立された。社名は「電脳」を意味する「cyber」と、親しみを込めた「子供」の呼び方「坊主(bozu)」に由来し、「電脳社会の未来を担う者達」という意味も込められている。1997年10月に「サイボウズOffice」シリーズを発売。初期ソフトウェアはスケジュール、行き先案内板、掲示板、施設予約の4アプリケーションのみ。製品パッケージやマニュアルも作らず、顧客自身がホームページからソフトをダウンロードする配布形態によって製作コスト削減・製品の低価格化を実現した。2000年8月に東証マザーズに上場、2002年3月に東証二部、2006年7月に東証一部へ市場変更。2007年より中国、ベトナム、米国など海外展開。2021年には日経コンピュータ「顧客満足度調査 クラウド基盤サービス部門」1位を獲得、また「働きがいのある会社ランキング」に8年連続でランクインしている。

株主構成

有価証券報告書によると、2021年6月末時点での大株主は共同創業者かつ元取締役の畑氏(18.9%)、Cbzサポーターズ株式会社(17.6%)、サイボウズ従業員持株会(4.8%)である。Cbzサポーターズは代表取締役社長の青野慶久氏が100%出資している会社で、個人の持ち分を合わせて19.4%を保有し、実質的には同氏が筆頭株主である。なお、外国人株式保有比率は10%以上20%未満。

取締役会

取締役17名(全員社内)、監査役3名(全員社外、1名は常勤)、監査役会設置会社である。
「全社員が情報を発信し、情報にアクセスできる組織」、「全社員取締役化」を掲げ、2020年12月、社内公募で取締役を募り、2021年3月の株主総会を経て増員した経緯がある。新しい取締役のなかには新卒1年目(公募当時)の社員も見られる

代表取締役の経歴

代表取締役社長の青野慶久氏は1971年6月生まれ。大阪大学工学部を卒業後、1994年4月に松下電工株式会社へ入社。松下電工で青野氏の上司だった高須賀宣氏、大阪大学の先輩だった畑慎也氏の3名で同社を起業した。2005年より代表取締役社長を務める。

報告セグメント

「ソフトウェア事業」の単一セグメント。「kintone」、「サイボウズOffice」、「Garoon」を中心にパッケージソフト、クラウド両方で業務効率化サービスを提供する。2020年12月期末においては自社クラウド基盤「cybozu.com」上で提供するサービス売上が積み上がり、連結売上高は15,674百万円(前期比+16.8%)であった。このうちクラウド関連事業の売上高は11,945百万円(前期比+24.9%)となっている。

cybozu ビジネスハイライト 2020.1.1~2020.12.31

事業モデル

直販とパートナー販売でクラウドサービスを提供する。現在はクラウド版販売の半数以上がパートナーからの販売となっている。主力製品である業務アプリ構築クラウド「kintone」は、プログラミング等のスキルがなくてもデータベース、情報共有、コミュニケーション等のツールを作成できるPaaS(Platform as a Service)である。最低5ユーザーから契約でき、1ユーザー月額1,500円。同サービスの契約社数は18,000社(2020年12月期、前期比+28.6%)を突破し、順調に伸長している。2019年7月には自治体専用閉域ネットワークLGWANに対応し、官公庁でも活用されてきている。
中小企業向けグループウェア「サイボウズOffice」は勤怠管理や経費申請等のビジネスに必要な機能を集約したサービス。数人から300人程度の組織に最適なツールであり、クラウド版は最低5ユーザーから、1ユーザー500円から契約できる。同サービスは5年連続で過去最高売上高を記録し、2020年末時点で69,000社を超える顧客へ提供している。
大企業・中堅企業向けグループウェア「Garoon」は、詳細な権限設定、国際化、システム連携にも対応する総合ビジネスパッケージ。300名から数万人規模の組織向けに提供されている。近年は同サービスの認知度が高まっており、2020年12月末時点でパッケージ製品とクラウドサービスを合わせて累計導入社数5,800社を突破した。クラウド版は最低10ユーザーから契約でき、1ユーザー月額800円から提供している。

株主会議2021 サイボウズと語る一日

近年、働き方の多様化が進んでいることやSaaS市場の盛り上がりから、グループウェアの市場規模も拡大するものとみられる。

競合他社

業務を効率化するグループウェアで国内高シェアを誇る。時価総額(2022年2月現在)は約760億円。同業種の1位は日本オラクル(4716)、2位はトレンドマイクロ(4704)、3位はオービックビジネスコンサルタント(4733)、4位はジャストシステム(4686)であり、サイボウズの時価総額は日本オラクルの約7%である。

連結の範囲

東京、上海、ホーチミン、カリフォルニア、シドニー拠点の連結子会社5社と、関連会社2社によって構成されている。

強み・弱み

クラウド版の成長性が挙げられる。主力サービスの1つである「Garoon」に関してはパッケージ売上高が微増しているものの、その他のサービスは総じてパッケージ売上高が減少している。本業で得た資金の大半を、クラウドサービスに使用するサーバー等に投資していることや、市場規模拡大の追い風、ユーザーにクラウドの利便性が浸透してきていることから、今後さらなる伸びが期待できる。同社の提供するサービスは顧客が業務を遂行するための基盤となっており、クラウドサービスを提供する他社の動向をみても、比較的高い価格の決定権を有する点も強みといえる
一方で、グローバル市場における認知度の低さが課題。日本国内と比較してライバル企業が圧倒的に多く、競争も激しい。商習慣の違いにフィットした機能やサービス展開、またパートナー企業の新規開拓が急がれる。

株主会議2021 サイボウズと語る一日

KPI

クラウドサービスの海外契約数はKPIになるといえる。以下、主力サービス「kintone」の、中華圏、APAC、米国での2020年度末時点の契約数である。
①中華圏1,110社(前期比+7.8%)
②APAC750社(前期比+27.1%)
③米国520サブドメイン(前期比+44.4%)

株主会議2021 サイボウズと語る一日

業績

売上高・利益ともに安定的な成長を継続しており、2016年12月期から2020年12月期までの5年間で売上高は1.9倍、経常利益は3.9倍、営業CFは3.1倍となった。投資CFは恒常的にマイナス。直近5年間の財務CFは▲459百万円~▲270百万円(主に配当金の支払額)で推移し、現金及び現金同等物の期末残高は1,587百万円~3,956百万円で推移している。投資に必要な資金は本業の儲けで確保できており、必要な時に資金調達を行う余裕があることが読み取れる。自己資本比率は5年間を通じて50%前後で推移している。

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