9470 学研ホールディングスの業績について考察してみた

9470 学研ホールディングスの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1947年3月東京都にて株式会社学習研究社を設立。1965年6月研秀出版株式会社(現株式会社学研教育みらい)を設立。1982年8月東証二部へ上場。1984年2月東証一部へ指定。2009年10月会社分割により持株会社へ移行し、商号を株式会社学研ホールディングスへ変更。2015年10月株式会社学研イノベーション(現株式会社学研教育みらい)、Gakken Asia Pacific Pte.Ltd.を設立。教室・塾事業、出版事業、高齢者福祉・子育て支援事業、園・学校事業などを行っている。HD傘下企業ではココファンのブランド名で保育園事業も展開する。

株主構成

有価証券報告書によると2021年3月末時点の大株主は、奨学金給与等の事業を行う公益財団法人古岡奨学会が12.65%、日本マスタートラスト信託銀行株式会社が5.67%を保有。以下5%未満の保有で、株式会社日本カストディ銀行、株式会社進学会ホールディングス、株式会社三井住友銀行、株式会社河合楽器製作所、学研ビジネスパートナー持株会、株式会社日本政策投資銀行、大日本印刷株式会社、凸版印刷株式会社などが並ぶ。

取締役会

取締役は12名(社内9名、社外3名)、監査役は4名(社内2名、社外2名)、監査役会設置会社である。代表権を持たない社内取締役8名の内、5名がプロパー。他3名は、株式会社神戸教育研究センター(現株式会社創造学園)、株式会社三菱総合研究所、航空自衛隊等の出身者。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の宮原博昭氏は1959年7月生まれ。防衛大学を卒業後、西本貿易株式会社に入社。1986年9月同社へ入社し、2010年12月より現職へ就任。

報告セグメント

「教育分野」、「医療福祉分野」の2報告セグメントと、報告セグメントに含まれない「その他」に大別される。2021年9月期第2四半期の売上高78,077百万円の構成比は、教育分野55.2%、医療福祉分野41.1%、その他3.7%である。セグメント利益(又は損失)は、教育分野3,843百万円、医療福祉分野1,285百万円、その他▲168百万円であり、営業利益は4,970百万円であった。

事業モデル

教育分野では、教室・塾事業、出版コンテンツ事業、園・学校事業を行う。教室・塾事業は、主に小学生を対象にした「学研教室」の運営、幼児から高校生を対象にした進学塾の運営及び家庭教師派遣サービスの提供、学習教材の製作及び販売、進学塾向けテストの製作、実施等を行う。出版コンテンツ事業は、主に取次・書店ルートなどを通じた出版物の発行、文具・雑貨の企画開発及び販売、デジタルコンテンツの制作販売、看護師及び医師などを対象とした専門書の発行等を行う。園・学校事業は、主に幼稚園・保育園向け出版物、保育用品・備品などの製作販売、小・中学校向け教科書などの製作販売、高校・大学向け出版物及び教材類の製作販売、就職支援サービス等を行う。
医療福祉分野では、主にサービス付き高齢者向け住宅、認知症グループホームなどの介護施設や子育て支援施設の設立・運営等を行う。
その他は、物流サービスの提供、グループ専門サービスの提供等を行う。

2021年9月期第2四半期 決算説明会資料

学習塾業界においては、対面授業の需要は依然として高い一方、コロナ禍における感染防止対策を契機に、個別指導のみならず、集団講義や自宅での学習支援までオンライン化が進展。学校教育業界においては、教育ICT環境等の整備実現を目指したGIGAスクール構想が前倒しされている。社会人教育業界においては、企業がテレワークを推奨している中、自己学習時間の増加や企業研修においてオンライン語学等で遠隔教育の需要が高まり、eラーニング市場は拡大している。また、医療福祉分野の介護業界においては、団塊の世代が後期高齢者となる2025年問題や認知症高齢者人口の急増にともない介護のニーズが更に高まっている。このような状況の中、同社グループは2020年11月策定の3ヵ年計画「Gakken2023」のもとで「揺るぎない成長基盤の確立」をスローガンに定め、教育分野では「新たなまなびの創造と多様な学習機会の創出」、医療福祉分野では「トップカンパニーを目指し持続可能な街づくりに貢献」、グループ全体で「DX加速とグローバル展開」を経営方針に掲げている

競合他社

9783ベネッセホールディングス(直近決算期売上高4,275億円)、9733ナガセ(直近決算期売上高342億円)など、教育出版業や幼児向けの教育事業も展開する企業が競合として挙げられる。非上場では、ドッツカードや七田式プリントで絶大な支持を誇る株式会社 しちだ・教育研究所や、公文式を展開する株式会社公文教育研究会なども競合となる。いずれの企業も、0歳からの幼少期の段階で囲い込みを進める戦略で、通信教育からお教室の展開まで複合的に手掛ける企業が多く競争が厳しい市場である。

連結の範囲

同社グループは、同社及び連結子会社54社、非連結子会社14社、関連会社8社(うち持分法適用関連会社1社)にて構成され、学習塾などの教育サービス、出版物の発行や保育用品などの製作販売、サービス付高齢者向け住宅や認知症グループホームなどの介護施設・子育て支援施設の運営等の事業を行う。

強み・弱み

教育と出版に関する多様な事業展開が強み。学研教室は1980年開室で40年以上の歴史を有す。ベテラン講師陣が定年退職の時期を迎えていることが予想され、今後の教室数拡大においては後継者不足のリスクがある。GIGAスクール構想によりデジタル教材の普及が進むことが見込まれ、追加の収益機会とみられる。それぞれの事業分野において各種法令・諸規則等の適用を受けており、これら法令・諸規則の改正もしくは解釈の変更、法的規制の新設によっては経営成績に影響を及ぼす可能性があることが懸念される。

KPI

①教育分野 学研教室 教科会員数・認可教室数
②教育分野 塾 生徒数・教室数
③教育分野 出版 新刊点数
④医療福祉分野 拠点数
⑤医療福祉分野 入居率・充足率

業績

2016年9月期から2020年9月期までの5期をみると、売上高は99,049百万円から143,564百万円、経常利益は2,922百万円から5,273百万円と増収増益。子供一人当たりの教育費増加により、市場が緩やかに拡大していることなどが背景とみられる。営業CFは恒常的にプラス、投資CFは2017年9月期を除いてマイナス。2021年9月期第2四半期の自己資本比率は35.7%。