3662 エイチームの業績について考察してみた

3662 エイチームの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1997年6月に、林高生氏が岐阜県にてソフトウェア受託開発業のエイチームを個人事業として開業。2000年2月に有限会社エイチームを設立、携帯電話向けコンテンツの受託開発を開始。2004年11月には株式会社へ組織変更し、2012年4月に東証マザーズ上場、同年11月に同一部へ市場変更。2022年4月からは東証プライム。スマホゲームの開発、「引っ越し侍」や「ナビクル」などの比較・情報サイトの運営、「Lalune」や「Qiita」などのメディア展開の他、自転車を対象とするECも手掛ける。

株主構成

四半期報告書によると、2022年1月末時点の筆頭株主は、創業者で代表取締役社長の林高生氏の資産管理会社である株式会社林家族で30.0%保有。続いて、日本マスタートラスト信託銀行株式会社信託口が7.8%、従業員持株会が5.2%保有。以下は5%未満の保有率で林氏個人名義(3.8%)、取締役の中内之公氏ほか個人、国内外の金融機関が続く。2022年1月28日付コーポレートガバナンス報告書によると、外国人株式保有比率は10%未満

取締役会

取締役は5名(社内3名、社外2名)、監査役は3名(1名は常勤で社内、2名は非常勤で社外)、監査役会設置会社である。代表権を持たない社内取締役は、GMOインターネットグループの各社経験者ならびに日興コーディアル証券株式会社出身者。社外取締役は株式会社コメダホールディングス代表、弁護士が就任。

代表取締役の経歴

代表取締役の林高生氏は1971年12月生まれ。中学校卒業後、20代前半まで様々なアルバイトを行う。1994年にはプログラマーとして独立した。1997年6月にエイチーム創業。2000年2月に同社を設立し、現職へ就任

報告セグメント

「エンターテインメント事業」、「ライフスタイルサポート事業」、「EC事業」の3セグメンで構成される。2021年7月期の外部顧客への売上高31,252百万円の構成比は、エンターテインメント事業23.3%、ライフスタイルサポート事業65.2%、EC事業11.5%であった。また、同期の調整前セグメント利益1,904百万円の構成比は、エンターテインメント事業19.4%、ライフスタイルサポート事業76.2%、EC事業4.4%となった。調整額は▲1,203百万円。売上高、セグメント利益の両面でライフスタイルサポート事業が主力。2022年7月期第3四半期においても傾向は変わらず。
地域別売上高は、日本国内92.2%、米国4.5%、その他3.3%と国内が主力。売上高の10%以上を占める主要顧客は、Apple Inc.ならびにGoogle LLCで、両社の占有率はそれぞれ11.0%, 10.8%。なお、エンターテインメント事業の売上の93.8%が、これら2社に依存している。

事業モデル

エンターテインメント事業は、AppleやGoogleなどのプラットフォーム事業者を通じてユーザーにゲームアプリ等の提供を行い、ゲーム内で購入されたアイテムの料金を収受している。主な保有タイトルは「初音ミク-TAP WONDER」、「ヴァルキリーコネクト」、最新作の「ファイナルファンタジーVII ザ ファースト ソルジャー」など。将来的にはスマホゲーム専業から脱却し、マルチデバイスへの展開、グローバル市場への進出を志向している。
ライフスタイルサポート事業は、さらに「デジタルマーケティング支援ビジネス」ならびに「プラットフォームビジネス」に大別される。前者は引越し比較・予約サイト「引越し侍」、車の査定・買取サイト「ナビクル」、結婚式情報サイト「ハナユメ」など各種サービスの比較・情報提供サイトを運営。サイト上でサービス案内、集客を行い、サービスの提携事業者に見込客情報を提供することでの手数料収入や、成約した際の成功報酬を得る。後者の「プラットフォームビジネス」は、女性のための体調管理アプリ「Lalune」、エンジニアリング知識の記録・共有が可能な情報共有コミュニティ「Qiita」等のユーザーデータを活用したソリューションを提供するビジネスで、広告収入、有料会員向け利用料等を収益源とする。なお、主力はデジタルマーケティング支援ビジネスである。
EC事業は自転車専門通販サイト「cyma」を運営し、完全組立自転車の販売を行う。物流施設3ヶ所を持ち、ほぼ国内全域をカバー。
以上3事業とも、自社内にて企画、開発から運営まで行う体制を構築している。

2022年7月期 第3四半期決算説明資料 p.38

競合他社

比較情報サイト運営においては2371(株)カカクコム(売上高51,723百万円)、オンラインゲーム事業においては3668(株)コロプラ(売上高37,125百万円)、3765ガンホー・オンライン・エンターテイメント(株)(売上高104,626百万円)などが競合する。

連結の範囲

同社グループは、同社及び連結子会社11社で構成される。連結子会社のうち株式会社エイチームフィナジー(デジタルマーケティング支援ビジネス担当)、株式会社エイチームコネクト(デジタルマーケティング支援ビジネス担当)、株式会社エイチームライフスタイル(デジタルマーケティング支援ビジネス、プラットフォームビジネス担当)の3社は、売上高の連結売上高に占める割合が10%を超える。各社の割合はそれぞれ23.2%, 12.8%, 12.2%。

強み・弱み

異なる領域の3事業を展開することによって、<b.事業リスクを分散している点が強み。また、自社内にて企画から運営までを一貫して扱う体制は、ノウハウ蓄積の面で有利。一方、いずれの事業もインターネットを通じてサービス展開しているため、インターネット市場の動向に大きく影響される点はリスク。また、EC事業は中国を中心とした海外メーカーから製品を輸入しており、昨今の円安はコスト高を招く。

KPI

主力のデジタルマーケティング支援サービスにおける、利用件数、APRU(利用者1人/組あたりの売上高)、CPA(顧客獲得1人あたりの広告単価)などが主要KPIと見られる。

2022年7月期 第3四半期決算説明資料 p.16

業績

2008年7月期から2018年7月期までの10年間で売上高を14倍以上に、経常利益を7倍以上に拡大するなど急成長。しかしながら、翌2019年7月期以降はゲームアプリの売上減少、ライフスタイルサポート事業の一部事業撤退、新型コロナウイルス感染拡大による利用者減などが続き3期連続減収減益。2022年7月期第3四半期は、新規ゲームアプリの開発費ならびに広告宣伝費が大きな負担となり、売上高23,541百万円(前年同期比+0.1%)、営業利益▲963百万円(同▲1,543百万円)、経常利益▲935百万円(同▲1,668百万円)であった。営業CFは恒常的にプラス、投資CFは2021年7月期を除いて恒常的にマイナス。2022年7月期第3四半期の自己資本比率は66.3%。

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