3932 アカツキの業績について考察してみた

3932 アカツキの業績について考察してみた

PERAGARU管理人

アカツキの事業概要

同社はモバイルゲームの開発・運営を目的として2010年6月に現CEO香田哲朗氏と非常勤取締役塩田元規氏により東京都渋谷区のマンションの一室で創業、2016年にマザーズ上場、2017年には東証一部に市場変更を果たした。現在は東京都品川区に本社に本社を置く他、福岡、台湾の3拠点で1000名以上のメンバーが働く企業へと成長した。
2020年11月2日提出の四半期報告書によると、同年9月末時点の同社主要株主構成は、塩田元規氏19.10%、株式会社サンクピア(塩田氏の資産管理会社)15.68%、香田哲朗氏10.51%、株式会社Owl Age(所在地から創業者の資産管理会社と思料される)7.84%等となっていた。しかし、同年11月24日に塩田氏保有株式の海外売出しを決議、直後提出された変更報告書によると、塩田氏の保有割合は11.19%に低下した。
また同社は、優秀な人員の確保を目的としてストック・オプションの付与を役員及び従業員に対して行っている。2020年3月末現在、これらのストック・オプション及び新株予約権による潜在株式数合計は830,010株であり、発行済株式総数13,975,500株の5.9%に相当する。
同社役員は、取締役5名、監査役3名で構成される。尚、共同創業者の1人、塩田氏は2020年6月に代表取締役を退任し、現在は非常勤の取締役となっている。先述の株式売出しの件も含め、同氏と同社の関係性の低下が伺われる。
同社の報告セグメントはゲーム事業の単一セグメントとなっており、同社、連結子会社4社、非連結子会社17社の合計22社により構成されている。モバイルゲーム事業、ライブエクスペリエンス事業(複合型エンターテインメント施設運営等)、その他事業(著名人向け公式アプリ開発サービス、YouTubeチャンネル配信等)を展開している。新規タイトルのリリース時期の関係で変動するものの、直近の四半期ではモバイルゲーム事業の売上高が全体の約97%を占めており、同社の主力事業となっている。

ゲーム事業

国内SNS運営事業者が提供するプラットフォームやプラットフォーム運営事業者が運営する各アプリマーケットにおいてモバイルゲームを提供する事業を行っている。モバイルゲームは月額基本料無料、一部アイテム課金制を採用するタイトルが主流であり、同社においても同様の仕組みを採用している。
ゲームタイトルはオリジナルタイトルと他社IP利用タイトルに大別され、オリジナルタイトルは、企画、開発、運営、マーケティングまでの一連過程を自社にて実施し、合計3タイトルの提供を行っている。他社IP利用タイトルは他社のIP(著作権等の知的財産権)を利用し、協業によりゲームの提供を行い、収益についてはIP使用会社から同社へ配分されるもので、合計5タイトルが提供されている。(2020年3月現在)

アカツキの財務状況と経営指標

同社は売上高及び営業利益を重要な経営指標とし、高収益事業を開発・展開していくことにより利益率向上を図っている。実際に2016年3月期の売上高5,954百万円、営業利益2,146百万円から2020年3月期は32,048百万円、11,053百万円と一貫して成長を続けている。売上高営業利益率についても2016年3月期36.04%、2020年3月期34.48%と一定以上の水準を維持している。足元の2021年3月期第2四半期も売上高は過去四半期最高、営業利益は歴代2位を記録し、営業利益率は42.58%と既存ゲーム事業(全四半期までにリリースされたゲーム事業)の好調さを主因に高水準となった。
2021年3月期第2四半期累計の同社キャッシュフローは、営業キャッシュフローが前年同期比対比で₊975百万円の5,254百万円、投資キャッシュフローが同▲979百万円の▲3,977百万円、財務キャッシュフローが同▲1,961百万円の▲2,481百万円であった。営業キャッシュフローは売上債権が増加したものの法人税等の支払額が減少したこと等により増加、投資キャッシュフローは定期預金の預け入れ等により減少、財務キャッシュフローは社債償還等による減少が主因と言える。直近3年のフリーキャッシュフロー推移は2018年3月期+5,453百万円、2019年3月期+441百万円、2020年3月期+2,642百万円だった。2019年3月期にフリーキャッシュフローが他時期に比較し減少しているのは、定期預金預け入れ3,000百万円により投資キャッシュフローが減少したことが主因とみられる。現金及び現金同等物の期末残高は,直近3年間19,746百万円→21,176百万円→23,204百万円と増加している。

アカツキのカタリスト

同社の業績に影響を及ぼす恐れがある項目として、モバイルゲーム事業は競合他社が多数存在すること、ユーザーの求める品質が高まり開発期間が長期化し、開発費用の高騰する傾向があることなどが挙げられる。
開発費の予実管理及びスケジュール管理が欠かせないが、同社はグループを含め多数のオリジナルタイトルをゼロから企画・開発・運営まで自社で一貫して行っており、ノウハウが蓄積されているものと考える。
また、オリジナルタイトル(収益分配率は高いものの、イラスト費やプロモーションコスト負担も高い)と他社IPタイトル(収益分配率は低くなるが、ユーザー認知度が高くサービス提供直後から一定のユーザー獲得を見込める)を並行して展開しているほか、同時複数タイトルの開発・運営が可能な人員整備を掲げ、リスクヘッジに努めている。