8219 青山商事の業績について考察してみた

8219 青山商事の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2023.Q2 2022.09 35,880 -1,878 -5.23%
FY2023.Q3 2022.12 46,360 2,159 4.66%
FY2023.Q4 2023.03 60,342 6,828 11.32%
FY2024.Q1 2023.06 44,304 1,856 4.19%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q4 2017.03 80,954 12,072 14.91%
FY2018.Q1 2017.06 60,322 4,575 7.58%
FY2018.Q2 2017.09 48,116 -1,032 -2.14%
FY2018.Q3 2017.12 65,438 5,401 8.25%
FY2018.Q4 2018.03 80,970 11,647 14.38%
FY2019.Q1 2018.06 58,507 3,103 5.3%
FY2019.Q2 2018.09 46,685 -2,042 -4.37%
FY2019.Q3 2018.12 63,222 2,903 4.59%
FY2019.Q4 2019.03 81,886 10,665 13.02%
FY2020.Q1 2019.06 55,821 1,247 2.23%
FY2020.Q2 2019.09 46,061 -2,804 -6.09%
FY2020.Q3 2019.12 54,349 -492 -0.91%
FY2020.Q4 2020.03 61,465 2,867 4.66%
FY2021.Q1 2020.06 28,880 -7,448 -25.79%
FY2021.Q2 2020.09 32,185 -6,403 -19.89%
FY2021.Q3 2020.12 44,684 -1,777 -3.98%
FY2021.Q4 2021.03 55,655 1,224 2.2%
FY2022.Q1 2021.06 37,769 -2,017 -5.34%
FY2022.Q2 2021.09 29,362 -5,042 -17.17%
FY2022.Q3 2021.12 44,181 2,117 4.79%
FY2022.Q4 2022.03 54,649 7,123 13.03%
FY2023.Q1 2022.06 40,924 1 0%
FY2023.Q2 2022.09 35,880 -1,878 -5.23%
FY2023.Q3 2022.12 46,360 2,159 4.66%
FY2023.Q4 2023.03 60,342 6,828 11.32%
FY2024.Q1 2023.06 44,304 1,856 4.19%

沿革

1964年5月広島県において紳士既製服の小売を主に、その他食料品、広島県の特産品販売等の事業を行う青山商事株式会社を設立。1987年11月大証二部、広証に上場。1990年12月東証二部に上場。1992年9月東証一部、大証一部に指定。2000年11月「ザ・スーツカンパニー」の1号店(日本橋店)を開店。2011年7月株式会社物語コーポレーションのFCとして、「焼肉きんぐ」等のフードサービス事業を展開すべく、同社100%出資の連結子会社株式会社globを設立。2016年4月雑貨・インテリアショップを運営する株式会社WTWの全株式を株式会社バルス(現株式会社Francfranc)より取得し、同社100%出資の連結子会社とする。「洋服の青山」に代表されるビジネスウェア事業のほか、カード事業、印刷・メディア事業、雑貨販売事業、総合リペアサービス事業、フードサービス事業を営む

株主構成

有価証券報告書によると2021年3月末時点の大株主は、株式会社日本カストディ銀行(信託口)12.60%、株式会社HK (後述の青山物産と住所が同じため代表である青山氏の資産関連会社の類とみられる)5.98%。以下5%未満の保有で、代表取締役社長の青山理氏、同氏が代表を務める有限会社青山物産、株式会社SBII証券、星野商事株式会社、株式会社三井住友銀行、国内外の信託銀行が並ぶ。

取締役会

取締役は5名(社内3名、社外2名)、監査役は4名(社内1名、社外3名)、監査役会設置会社である。取締役兼常務執行役員商品本部長の岡野真二氏はプロパー、取締役兼常務執行役員グループ経営本部長兼総合企画部長の山根康一氏は株式会社住友銀行(現株式会社三井住友銀行)出身で法人営業部長まで務めた後同社へ。

代表取締役の経歴

代表取締役社長の青山理氏は1959年3月生まれ。創業者である青山五郎氏の長男。日本大学を卒業後、同社に入社。1988年6月取締役商品部長に昇格し、その後青山洋服商業(上海)有限公司董事長などを経験。2005年6月より代表取締役社長兼執行役員社長として就任している。複数の子会社の役員も兼任している。

報告セグメント

「ビジネスウェア事業」、「カード事業」、「印刷・メディア事業」、「雑貨販売事業」、「総合リペアサービス事業」、「フードサービス事業」の6報告セグメント及び報告セグメントに含まれない事業セグメントである「その他」に大別される。2021年3月期の売上高161,404百万円の構成比は調整前で、ビジネスウェア事業67%、カード事業3%、印刷・メディア事業7%、雑貨販売事業10%、総合リペアサービス事業5%、フードサービス事業5%、その他2%。セグメント利益(又は損失)は、ビジネスウェア事業▲15,778百万円、カード事業2,083百万円、印刷・メディア事業▲354百万円、雑貨販売事業645百万円、総合リペアサービス事業▲716百万円、フードサービス事業181百万円、その他▲521百万円であり、営業損失は14,404百万円であった。

事業モデル

ビジネスウェア事業は、国内及び中国の一般消費者に対しメンズやレディスのビジネスウェア及び関連洋品の販売を行っており、「洋服の青山」、「THE SUIT COMPANY」等の店舗を展開する。既製服の補正加工、店内外演出物の企画、販売消耗品及び景品の企画、メンズスーツ等の発注・供給等は子会社が担う。
カード事業は、クレジットカード事業を行う。
印刷・メディア事業は、全国の流通小売業を中心顧客に、販促支援企業として多様なサービスを提供している。
雑貨販売事業は、株式会社大創産業と販売代理店契約を締結し、100 円ショップ「ダイソー」を展開している。
総合リペアサービス事業は、2015年に買収した事業で、日本、オーストラリア及びニュージーランドを中心としたアジア太平洋地域において、「ミスターミニット」の統一ブランドのもと、消費者にむけた靴修理、鍵複製などの各種サービスを行う。
フードサービス事業は、株式会社物語コーポレーションが運営する「焼肉きんぐ」及び「ゆず庵」のFC店舗を展開している。
その他は、リーバイ・ストラウスジャパン株式会社が運営する「リーバイスストア」のFC店舗を展開する「カジュアル事業」、株式会社ゲオが運営する「セカンドストリート」及び「ジャンブルストア」のFC店舗を展開する「リユース事業」等を行う。
同社グループを取り巻くビジネス環境は、構造的な生産年齢人口の減少とオフィスウェアのカジュアル化に加え、デジタルによる業務革新やEC市場の拡大、そして冠婚葬祭の簡素化やサステナブルへの意識の高まりなどにより、大きく変化している。その上、新型コロナウイルス感染症の影響が重なり、更に大きなインパクトを受けた。ワクチン接種の普及等によるコロナ収束後においても厳しい経営環境が続くと予想される。持続的成長を実現していくため、これまで取組んできたビジネスウェア事業の再構築プロジェクトに加え、不採算店舗の追加の統廃合及び希望退職の募集などによる構造改革と共に、更なるビジネスウェア事業の変革と挑戦を進めていくことが重要であると同社は認識している。

競合他社

7416はるやまホールディングス(直近決算期売上高382億円)、7494コナカ(直近決算期売上高478億円)、8214AOKIホールディングス(直近決算期売上高1,431億円)などが競合として挙げられる。

連結の範囲

同社グループは、同社及び子会社29社で構成され、ビジネスウェア事業、カード事業、印刷・メディア事業、雑貨販売事業、総合リペアサービス事業及びフードサービス事業の6事業の他、リユース事業等を行う。

強み・弱み

ビジネスウェア市場のリーディングカンパニーとして成長してきた同社には、「販売力・店舗開発力、商品調達力、品質へのこだわり、顧客基盤」という独自の強みがある。前述の通り、中核事業であるビジネスウェア事業は、構造転換を必要としており、短期的な消費動向、や冷夏や暖冬などの天候要因の影響も多いため、早期に収益を確保できる事業体制を再構築できるかが最大の懸念点である。

KPI

月次で、洋服の青山とTHE SUIT COMPANYの店舗数や全店及び既存店の客数や単価などの売上高情報の開示がある。加えて、次のような指標も半期の決算毎に開示している。いずれもコロナウイルス感染症拡大の影響を受けて低下基調にある。
①商品別売上高
②メンズスーツ販売着数、平均販売単価
③国内スーツ輸入状況

業績

2017年3月期から2021年3月期までの5期をみると、売上高は252,777百万円から161,404百万円、経常利益(又は損失)は21,084百万円から▲11,436百万円と減収減益基調で、足元は赤字となっている。新型コロナウイルス感染症の影響もあり、特に直近期の減少幅が大きい。営業CFは2020年3月期より直近2期マイナス、投資CFはマイナス基調だったが、直近期はプラスへ転換。FCFはプラスだったのが2020年3月期にマイナスとなったが、2021年3月期にはプラスへ戻している。自己資本比率は2016年3月期から60%代を割り込んで低下基調で推移しており、2021年3月期には48.8%と50%を下回った

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