8368 百五銀行の業績について考察してみた

8368 百五銀行の業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1878年12月、第百五国立銀行設立。1897年7月普通銀行に改組、株式会社百五銀行として発足。1973年4月に東証二部、名証二部に上場、翌年2月に一部に変更。2020年には預金総額5兆円を突破。旧三菱銀行と親密で三重県を地盤とする地方銀行である。

株主構成

有価証券報告書によると2021年3月末時点の筆頭株主は、日本マスタートラスト信託銀行の信託口で保有割合4.39%と5%超保有する株主は確認出来ない。以降は国内銀行信託口、国内生保、海外金融機関、百五銀行従業員持株会、三菱UFJ銀行、1803清水建設などが並ぶ。外国人株式保有比率は10%以上20%未満

取締役会

取締役は10名(社内6名、社外4名)、監査役は5名(社内2名、社外3名)、監査役会設置会社である。社内取締役は全員プロパー入社とみられる。

代表取締役の経歴

代表取締役は2名。
取締役頭取の伊藤歳恭氏は1953年7月生まれ。早稲田大学卒業後、1976年4月同行に入行。行内要職を歴任後、2015年4月現職に就任。現在は津商工会議所会頭も務める。
取締役専務執行役員秘書室長の杉浦雅和氏は1957年1月生まれ。一橋大学卒業後、1980年4月同行に入行。行内要職を歴任後、2021年6月現職に就任

報告セグメント

「銀行業」および「リース業」の2報告セグメントに大別されるほか、報告セグメントに含まれないクレジットカード業務や金融商品取引業務などのその他がある。2021年3月期の連結経常収益93,573百万円の構成は、銀行業83.0%、リース業11.7%、残りがその他/b>だった。経常利益は9割超を銀行業が占める。

事業モデル

第一地方銀行として、三重県にて銀行業を営む。預金残高、貸出残高の規模は全国の地銀、第二地銀102行中20位台中盤~後半程度に位置する。2021年3月末時点の県内預金シェアは44.7%、貸出金シェアは38.1%に達する。三重県内のほか、東京都、大阪府、愛知県、和歌山県に拠点を持ち、特に市場規模が大きい隣県の愛知県にも進出を加速している。
同時点の貸出先別残高シェアは、個人が大勢を占めるその他が39.82%、不動産業、物品賃貸業11.93%、製造業10.16%などとなっている。隣県の愛知県での貸出金残高増加を主因に、2021年3月期の貸出金平残は前年比+8.3%となった。

第28回インフォメーション・ミーティング(2020年度決算)資料

また店舗網やATM配置見直し(ピーク時各146拠点、615台を2022年3月末は各112拠点、547台へ削減見込)などにより、経費低減を図っている。コアOHRは70.81%

第28回インフォメーション・ミーティング(2020年度決算)資料

銀行業界は預金量の増加が続く中、金融政策による低金利環境が続き貸出利息が減少、収支バランスが悪化している。そうした中、地銀間の経営統合や広域連携など、業界再編の動きがみられている。またATM手数料の見直し、グループ会社を通じた金融商品の販売など、収益構造に変化が起きている。

競合他社

三重県を地盤とする地方銀行として、三重銀行と第三銀行が合併し2021年5月に誕生した7322三十三FG (2021年3月期経常収益76,245百万円)、親密先とされているが営業エリアが近接する8522名古屋銀行(同69,050百万円)8356十六銀行(同111,346百万円)なども競合と考えられる。

連結の範囲

連結子会社は11社。リース業を行う百五リース株式会社、クレジットカード業務等を行う株式会社百五カード、証券業務を行う百五証券株式会社などが存在する。

強み・弱み

県内で圧倒的なシェアを持つこと、市場規模の大きい愛知県に近接していることが強み。一方で貸出金利回りが0.86%と、第一地銀平均の0.97%に比して低く、貸出競争が同行収益を圧迫する懸念がある。また営業エリアの三重県、愛知県域の経済動向、特に同域主力産業である製造業の動向が業績に影響を与えると考えられる。同行は利回りの高い円債の償還が2020年度ピークを迎えることを課題に挙げていた。地域内中小企業向けならびに住宅ローンの貸出増強に取り組み、課題解決にあたった。またコロナ関連の実質無利子・無担保融資の実行額が2021年3月期末で1,341億円となり、大半が据置期間3年以内となっている。今後の償還に向けた取引先支援が今後の課題となる。

KPI

銀行に共通するKPIと考えられる以下と、同行は収益指標として顧客向けサービス業務利益(2021年3月期18億円、2022年3月期中計29億円)、法人ソリューション手数料(同1,987百万円、2,000百万円)、などをKPIとして掲げている。
①預金残高(2021年3月期末 5兆3,879億円)
②貸出残高(同3兆9,883億円)
③総資金利鞘(全店:同0.18%、2021年3月末第一地銀平均0.21%)
④不良債権比率(同1.48%、2021年3月末第一地銀国内基準行平均1.77%)
⑤単体自己資本比率(同10.11%、2021年3月末第一地銀平均0.21%9.61%)
※第一地銀平均は全国地方銀行協会調べ

業績

2017年3月期から2021年3月期をみると、主に国債等売却収益や株式等売却収益が変動要因となり800~900億円台で推移した。連結経常利益は130億円~160億円で推移していたが、2021年3月期は株式等売却収益の増加、資金調達費用の減少などから増益となり184億円だった。不良債権比率は2.04%から1.48%に低下。連結自己資本比率は貸出金増加等によるリスクアセット額増加から一時10%を下回っていたが、2021年3月期末は10.11%。国内基準行に求められる4%を大きく上回っている。