9058 トランコムの業績について考察してみた

9058 トランコムの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

沿革

1955年3月武部純三氏が愛知小型運輸株式会社(現ラネット株式会社)の株式を譲受。1959年6月株式会社ナゴヤトランスポートセンターを設立し、自動車運送取扱事業を開始。1989年6月アイコー倉庫株式会社、中部物流サービス株式会社及びアイコーシステム輸送株式会社を吸収合併し、トランコム株式会社に商号変更。1995年4月日本証券業協会に店頭売買有価証券として登録。2002年2月東証二部及び名証二部へ上場。2003年2月株式会社豊田自動織機と資本・業務提携。2011年10月日本ユニシス株式会社と業務提携。2012年12月東証一部及び名証一部へ上場。物流センターの構築や運営、配車などの輸送マッチング・配送、生産請負・人材派遣など、調達物流・生産物流・販売物流など物流にまつわる事業全般を提供する。

株主構成

有価証券報告書によると2021年3月末時点の筆頭株主は、ラネット株式会社で27.26%を保有。次いで、ビービーエイチフォーフィデリティロープライスドストックファンドが7.79%、株式会社日本カストディ銀行が7.51%、MSCO CUSTOMER SECURITIESが5.00%を保有。そのほかに、国内外の信託銀行等が並ぶ。外国人株式保有比率は30%以上

取締役会

取締役は11名(社内6名、社外5名)、社外5名のうち4名は監査等委員。監査等委員会設置会社である。代表権を持たない社内取締役のうち3名はプロパー。

代表取締役の経歴

代表取締役会長の清水正久氏は1950年6月生まれ。大阪大学を卒業後、三井生命保険株式会社に入社。1976年愛知小型運輸株式会社(現ラネット株式会社)に入社し、2008年1月に同社へ入社。現職へ就任。
代表取締役社長執行役員の恒川穣氏は1961年4月生まれ。中京大学を卒業後、トシン電機株式会社(現トシン・グループ株式会社)に入社。2016年4月現職へ就任。

報告セグメント

「ロジスティクスマネジメント事業」、「物流情報サービス事業」、「インダストリアルサポート事業」の3報告セグメントに大別される。2021年3月期の売上高142,061百万円の構成比は、ロジスティクスマネジメント事業38.9%、物流情報サービス事業57.0%、インダストリアルサポート事業4.1%である。セグメント利益は、ロジスティクスマネジメント事業4,598百万円、物流情報サービス事業3,172百万円、インダストリアルサポート事業185百万円であり、調整額を差し引くと営業利益は8,243百万円であった。

事業モデル

ロジスティクスマネジメント事業は、顧客企業の物流機能の一括受託業務及び物流センターの運営業務を行う
物流情報サービス事業は、空車情報と貨物情報のマッチング(求貨求車)業務及び幹線輸送業務を行う「とらなび」を運営。全国幹線輸送実績No.1の配車台数を実現。人とITを駆使した専門のアジャスターが間に入り、協力輸送企業と荷主企業とをマッチング。運賃の数%~20%ほどが利用手数料として収益源になっているものとみられる。このほか、貨物オーナー向けのWEB受付サービス「みんなのコンパス」や、求貨求車システム 「COMPASS」、BIツールの提供などITを活用するサービスを提供する他、ドライバーの求人情報サイトやトラック車両リースなどの事業も手掛ける。
インダストリアルサポート事業は、生産請負業務及び人材派遣業務を行う

同社HP ホーム > トランコムとは

物流業界は深刻化するトラックドライバー不足、環境負荷低減などの社会課題を抱えており、物流企業が果たすべき責任と役割は大きな転換期を迎えている。同社は、社会を支える効率的な物流の実現に向けて、2021年4月より新たな中期経営計画「TRANCOM VISION 2025」を策定し、国内の輸配送の物流領域で、「サスティナブルで効率的な輸配送の実現」を目指す。これまで培ってきた、中長距離を中心とした貨物と空車のマッチング(求貨求車サービス)、物流センター運営などのネットワークやノウハウを最大限活用し、アイデアとテクノロジーを組み合わせた「はこぶ」仕組みを創造し、広く多くの企業に利用されるプラットフォーム提供へ挑戦するとしている。

競合他社

物流事業を営む企業は多数存在する。輸送トラックの空車マッチングサービスでは、運送会社の2割が利用するといわれるトラボックス株式会社の「トラまっぷ」などが競合となる他、富士運輸、トラボックス、イーソーコ、NTTドコモの4社が協力して2017年に生み出されたリアルタイム空車情報を提供する「docomap JAPAN」(株式会社ドコマップジャパン)なども競合するとみられる。

連結の範囲

同社グループは、同社及び連結子会社14社及び持分法適用関連会社1社にて構成され、顧客企業の物流業務全般を一括で請け負い、物流ネットワークの構築、運営等を総合的・包括的に提供することを主な事業としている。

強み・弱み

分析力・提案力を駆使し、顧客に合わせた物流システムの提案が可能な点が強み。物流情報サービスでは、2020 年度の日当たり車両運行手配件数は8,800件で幹線輸送市場シェア率は5.7%を有する。配車台数では全国幹線輸送No.1の実績も有する。法令に基づく安全や環境等に係わる規制を受けており、各種規制に違反した事実が認められた場合には、車両の使用停止や事業の停止、許可の取消処分などの罰則を受ける場合がある点が弱み。

同社HP ホーム > トランコムとは

KPI

下記のような指標がKPIとなり得る。
①ロジスティクスマネジメント事業: 売上高・営業利益・営業利益率・売上高増減・取扱品目構成
②物流情報サービス事業:      貨物情報数・空車情報数・成約件数(HPに日次更新あり)・情報数推移
③インダストリアルサポート事業:  売上高・営業利益・営業利益率

業績

2017年3月期から2021年3月期までの5期をみると、売上高は133,313百万円から152,285百万円、経常利益は5,543百万円から8,401百万円と安定推移。直近期では、貨物輸送需要の減衰により売上高が減少しているが、各拠点での生産性向上や個人宅配部門の物量増加等により増益となっている。営業CFは恒常的にプラス、投資CFは恒常的にマイナス。自己資本比率は60%台で安定推移。