9058 トランコムの業績について考察してみた

9058 トランコムの業績について考察してみた

PERAGARUアナリスト

四半期業績推移随時更新中

(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2023.Q1 2022.06 41,556 1,882 4.53%
FY2023.Q2 2022.09 42,333 1,778 4.2%
FY2023.Q3 2022.12 43,961 2,066 4.7%
FY2023.Q4 2023.03 39,910 1,712 4.29%
(単位:百万円) 決算期 売上 営業利益 営業利益率
FY2017.Q4 2017.03 33,852 1,412 4.17%
FY2018.Q1 2017.06 34,392 1,227 3.57%
FY2018.Q2 2017.09 35,019 1,293 3.69%
FY2018.Q3 2017.12 37,398 1,999 5.35%
FY2018.Q4 2018.03 34,919 1,425 4.08%
FY2019.Q1 2018.06 36,881 1,498 4.06%
FY2019.Q2 2018.09 36,464 1,485 4.07%
FY2019.Q3 2018.12 40,505 2,222 5.49%
FY2019.Q4 2019.03 37,261 1,528 4.1%
FY2020.Q1 2019.06 39,240 1,678 4.28%
FY2020.Q2 2019.09 40,977 1,994 4.87%
FY2020.Q3 2019.12 43,653 2,424 5.55%
FY2020.Q4 2020.03 39,593 1,470 3.71%
FY2021.Q1 2020.06 35,932 1,572 4.37%
FY2021.Q2 2020.09 36,713 2,020 5.5%
FY2021.Q3 2020.12 40,703 2,698 6.63%
FY2021.Q4 2021.03 38,937 1,953 5.02%
FY2022.Q1 2021.06 39,605 2,164 5.46%
FY2022.Q2 2021.09 40,111 1,795 4.48%
FY2022.Q3 2021.12 42,693 2,225 5.21%
FY2022.Q4 2022.03 40,575 1,806 4.45%
FY2023.Q1 2022.06 41,556 1,882 4.53%
FY2023.Q2 2022.09 42,333 1,778 4.2%
FY2023.Q3 2022.12 43,961 2,066 4.7%
FY2023.Q4 2023.03 39,910 1,712 4.29%

沿革

1955年3月武部純三氏が愛知小型運輸株式会社(現ラネット株式会社)の株式を譲受。1959年6月株式会社ナゴヤトランスポートセンターを設立し、自動車運送取扱事業を開始。1989年6月アイコー倉庫株式会社、中部物流サービス株式会社及びアイコーシステム輸送株式会社を吸収合併し、トランコム株式会社に商号変更。1995年4月日本証券業協会に店頭売買有価証券として登録。2002年2月東証二部及び名証二部へ上場。2003年2月6201豊田自動織機と資本・業務提携。2011年10月日本ユニシス株式会社(現8056BIPROGY)と業務提携。2012年12月東証一部及び名証一部へ上場。2022年4月東証の市場区分見直しによりプライム市場へ移行。物流センターの構築や運営、配車などの輸送マッチング・配送、生産請負・人材派遣など、調達物流・生産物流・販売物流など物流にまつわる事業全般を提供する

株主構成

有価証券報告書によると2022年9月末時点の筆頭株主は、同社代表取締役武部篤紀氏の資産管理会社とみられる株式会社AICOHで27.21%を保有。武部氏個人名の保有と合わせると、保有割合は29.11%になる。日本マスタートラスト信託銀行の信託口が10.38%、ビービーエイチフォーフィデリティロープライスドストックファンドが8.49%、株式会社日本カストディ銀行が5.97%で続き、以降は保有割合5%未満で海外金融機関やノルウェー政府が並ぶ。尚、大量保有報告書によると米運用会社のダルトン・インベストメンツの保有割合が6.06%であると報告されている。外国人株式保有比率は30%以上

取締役会

取締役は9名(社内4名、社外5名)、社外5名のうち3名は監査等委員。監査等委員会設置会社である。社内取締役は全員がプロパーとみられる。

代表取締役の経歴

代表取締役社長執行役員の武部篤紀氏は1974年7月生まれ。慶應義塾大学理工学部を卒業後、1999年7月同社に入社。経営企画グループや海外グループの要職を歴任後、2016年6月に取締役就任、2022年4月より代表取締役を務める

報告セグメント

「ロジスティクスマネジメント事業」、「物流情報サービス事業」、「インダストリアルサポート事業」の3報告セグメントと、報告セグメントに含まれない海外事業および情報システム開発事業のその他に大別される。2022年3月期第二四半期売上高83,889百万円の構成比は、ロジスティクスマネジメント事業32.5%、物流情報サービス事業55.0%、インダストリアルサポート事業3.4%、残りがその他である。セグメント利益は、ロジスティクスマネジメント事業2,005百万円、物流情報サービス事業1,315百万円、インダストリアルサポート事業153百万円、その他が360百万円であり、調整額を差し引くと営業利益は3,660百万円であった。

事業モデル

ロジスティクスマネジメント事業は、顧客企業の物流機能の一括受託業務及び物流センターの運営業務を行う。取扱品目別にみると、薬粧品・生活衛生品が44.6%、食品26.6%、一般雑貨品12.1%などの構成比率が高い(2022年3月期)。
物流情報サービス事業は、空車情報と貨物情報のマッチング(求貨求車)業務及び幹線輸送業務を行う「とらなび」を運営。全国45か所の情報センター(アジャスターが電話を使い、車と荷物のマッチングを行っている)、約13,000社のパートナー企業による輸配送ネットワークを活用したマッチングサービスと全国62か所の物流拠点とパートナー企業のネットワークを活用した配送サービスにより全国の最適輸配送システムを提供する。人とITを駆使した専門のアジャスターが間に入り、協力輸送企業と荷主企業とをマッチング。運賃の数%~20%ほどが利用手数料として収益源になっているものとみられる。このほか、貨物オーナー向けのWEB受付サービス「みんなのコンパス」や、求貨求車システム 「COMPASS」、BIツールの提供などITを活用するサービスを提供する他、ドライバーの求人情報サイトやトラック車両リースなどの事業も手掛ける。
インダストリアルサポート事業は、生産請負業務及び人材派遣業務を行う。
主要取引先は8113ユニ・チャーム。同グループに対する売上高は全体の12.9%に達する(2022年3月期)。海外には協力会社を合わせ中国、タイ、シンガポールなど20拠点を展開するが、本邦での売上が90%を超えるということで、海外売上高比率の詳細開示はなされていない。

同社HP ホーム>IR情報>早わかりトランコム

物流業界は深刻化するトラックドライバー不足、環境負荷低減などの社会課題を抱えており、物流企業が果たすべき責任と役割は大きな転換期を迎えている。同社は、社会を支える効率的な物流の実現に向けて、2021年4月より新たな中期経営計画「TRANCOM VISION 2025」を策定し、国内の輸配送の物流領域で、「サスティナブルで効率的な輸配送の実現」を目指す。これまで培ってきた、中長距離を中心とした貨物と空車のマッチング(求貨求車サービス)、物流センター運営などのネットワークやノウハウを最大限活用し、アイデアとテクノロジーを組み合わせた「はこぶ」仕組みを創造し、広く多くの企業に利用されるプラットフォーム提供へ挑戦するとしている。

競合他社

3PLでは9037ハマキョウレックス(2022年3月期売上高125,094百万円)や9069センコーグループホールディングス(同623,139百万円)、9086日立物流(同743,612百万円)などが競合となる。輸送トラックの空車マッチングサービスでは、運送会社の2割が利用するといわれるトラボックス株式会社の「トラまっぷ」や、富士運輸、トラボックス、イーソーコ、NTTドコモの4社が協力して2017年に生み出されたリアルタイム空車情報を提供する「docomap JAPAN」(株式会社ドコマップジャパン)なども競合するとみられる。

連結の範囲

同社グループは、同社及び連結子会社16社及び持分法適用関連会社1社にて構成され、顧客企業の物流業務全般を一括で請け負い、物流ネットワークの構築、運営等を総合的・包括的に提供することを主な事業としている。

強み・弱み

分析力・提案力を駆使し、顧客に合わせた物流システムの提案が可能な点が強み。物流情報サービスでは、2020 年度の日当たり車両運行手配件数は8,800件で幹線輸送市場シェア率は5.7%を有する。配車台数では全国幹線輸送No.1の実績も有する。法令に基づく安全や環境等に係わる規制を受けており、各種規制に違反した事実が認められた場合には、車両の使用停止や事業の停止、許可の取消処分などの罰則を受ける場合がある。また物流機能の一括受託にかかる契約期間は1年ごとの自動更新となるケースが多く、また設備等の先行投資を伴う場合がある。予期せぬ事象により大口契約が更新できない場合は業績に影響を及ぼす可能性がある。

KPI

下記のような指標がKPIとなり得る。
①ロジスティクスマネジメント事業:物流センター新設・撤退、稼働状況等
②物流情報サービス事業:貨物量、空車量、取引実績(「とらなび」ホームページにてリアルタイムで更新) (HPに日次更新あり)
③インダストリアルサポート事業:人材派遣者数

業績

2021年3月期にコロナ禍による顧客の生産活動縮小の影響を受け減収となったが、その他の期は堅調に売上を伸ばしている営業利益率は概ね4%台を維持。営業CFの範囲内に投資を抑え、フリーCFはプラス有利子負債はゼロで利益の積み増しにより自己資本比率は上昇傾向、2022年3月期末は67.7%

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